悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

純喫茶トルンカ 八木沢里志

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下町のわかりにくい場所にある純喫茶。
古い歴史もあるおの喫茶店にはとても美味しいコーヒーを入れてくれるマスターがいます。
そのマスターを取り巻く人間たちの模様を描いた作品。

 

この本の目次

日曜日のバレリーナ

再会の街

恋の雫

 

登場人物

立花勲
この店の店主。
コーヒーに対して強いこだわりを持つ男で、たいへん美味しいコーヒーが味わえるのがこの店の魅力。
風貌はとても怖い人間ですが、人当たりもよく、常連客からはマスターと呼ばれているようです。

立花雫
この店の一人娘。
とても元気な高校2年生ですが、とある事情では母は海外で暮らしています。
つまり父であるマスターと二人暮らしで、家事全般と店のお手伝いを元気にこなす少女です。

 

奥山修一
トルンカでアルバイトをする大学生。
特に目指すことも、将来に対する希望もなく、このままずっと学生でいたいと思うような人物。
初めてできた彼女と最近別れたばかりです。

 

雪村千夏
修一を見てすぐに、前世では結ばれていたと言い出す不思議ちゃんです。
若く見えますが、修一よりも年上です。
彼女と修一には接点があるのです。

 

沼田弘之(ヒロ)
自分の人生には後悔しか残っていない50代の男性。
酒にも溺れ、体も悪いのです。
過去にこの街に住む女性を思い出しやって来たのです。

 

本庄絢子
この街の花屋でアルバイトをする元気な女性。
格言、名言マニアですが、ちょっと違和感がある使い方をします。
沼田と親しくなっていきます。

早苗
この街で住んでいた女性。
素朴で飾らない人柄ですが、すでにこの世にはいません。
沼田にとっては、とても大切な人だったのです。

 

立花菫
雫の姉ですが、性格はまるで違っていて、幼い頃から落ち着きがあり大人びていましたが…。

 

荻野
菫の元彼氏。
菫と別れた(ふられた)後は、大学進学のため、地元を離れていました。
就職で戻ってきて、偶然雫と出会い、トルンカにまた立ち寄る様になりました。



浩太
雫の幼馴染。
幼児期から一緒に育ち、小中高と学校まで同じで、一番の仲良しですが、恋の対象にはなりません。

 

あらすじ

この本は喫茶店トルンカを舞台にした人間ドラマです。
「日曜日のバレリーナ」では主人公はトルンカでバイトする大学生の修一。
修一の両親は夫婦関係が破綻しています。
父は愛人のもとへ幼い修一を連れて行ったりしていました。

とてもとても暇な日に、トルンカに現れた不思議な女性。
彼女は前世で修一と結ばれていたというのです。

修一はこの雪村千夏と名乗る女性にドン引きしますが、トルンカの自称看板娘の女子高生で店主の娘でもある立花雫は、彼女のことがとても気に入り、修一とくっつけたがるのです。

修一は彼女がいたのですが、煮え切らない性格のため、振られてしまい、まだ引きずっている様子。

不思議ちゃんの千夏は修一を見るために毎週トルンカに通っていたのですが、ピタリと来なくなりました。

「再会の街」では世捨て人である沼田の過去と、このトルンカがまだ「喫茶ノムラ」の時代に重なるお話です。
この物語のもうひとりは、花屋でアルバイトする常連客の絢子。
彼女は元気物でいつも明るく、看板娘の雫は、絢子ねえさんと慕っています。
沼田はこの絢子を見たときに自分の過去を思い出すのでした。

 

「恋の雫」
タイトル通り、雫ちゃんの初恋物語です。
そして姉の菫についても描かれています。

感想みたいななんやかんや

どこにでもいる人達、どこにでもあるような喫茶店ですが、そこにしかないないお話です。
普通の人に見えて、人にはそれぞれ色んな思いがそれぞれあります。

何気なく手に取った本(電子書籍ですが、)なのですが、3編ある物語はいずれもなかなか味わいのあるものでした。

鴨川食堂という小説と雰囲気が似ているかもしれませんが、あちらは一応探偵という副業も兼ねています。

 

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この作品はそういったところは全くありませんが、人と人との結びつきというものを改めて考えさせられる物語です。

それほど深いお話ではないのですが、ジーンとくるシーンもしっかりとあります。

人にはそれぞれ深い物語があって、それを秘めながら日々暮らしています。
それを語りたいときは静かに聞いてほしいし、逆にそれに触れられたくないときは、詮索してもらいたくないものです。

この店のマスターは、非常に強面の人物ですが、そのあたりの機微をよくわかっているのか。無口で余計なことは語りません。
それでいて、お客様の話には耳を傾けているのです。

マスターはコーヒー職人。
本当に旨いコーヒーをいれるために、この店を買い取って始めた喫茶店
1杯1杯しっかりと精魂込めてたててくれるコーヒーに、それぞれの物語を秘めた人たちの憩いの場として、この下町に愛されています。

ちなみに場所は東京の谷中銀座通り商店街の外れにある大変見つかりにくい場所、という設定です。
私は大阪生まれで東京のことは全くわかりませんが、下町というのは大変好きです。
大阪にも下町というのはあり、私の住む住吉区というのも下町情緒がまだまだ残った土地柄です。



東京はわかりませんが、江戸、深川を中心とした時代劇とかもいいですよね。
一時は宇江佐真理さんの「髪結い伊三次」シリーズも楽しく読んでいました。

 

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また読もうかなと思っていたら、それらの文庫はすべて処分したようですね。
電子書籍と違って文庫といえども場所を取るので。

 

脱線しましたが、純喫茶トルンカには続編があり、「純喫茶トルンカ しあわせの香り」というのを今読んでいます。
トルンカの常連さんたちにもちゃんと物語があるんですよね。

 

ちなみに私は電子書籍と言いながら、購入したものもある反面、Kindle Unlimitedを不定期に利用しています。

新刊の話題の書籍は読み放題サービスにあまりありませんが、特にテーマやこだわりがない人にとってはとても価値のあるサービスです。

未体験の人はぜひお試しくださいね。

 

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