悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

森崎書店の日々 八木沢里志

セ・リーグヤクルトスワローズ以外はすべて借金という一強独走態勢になっています。
2位から最下位まではどんぐりの背比べで、もはやペナントレースの行方は優勝ではなく、2位争いですね。
そして開幕9連敗とぶっちぎりの最下位を独創していた阪神ですが、交流戦でヤクルトと優勝争いをするほどの盛り返しで、最下位を脱出し、2位争いに加わっています。
逆に開幕ダッシュに成功した巨人は、4月5月は貯金をためていましたが、6月に入ってブレーキ。
そして7月の成績も散々ですね。
球界の盟主と言うのは今は昔ですね。

目を引いたのはJリーグの新加入外国人選手。
清水エスパルスピカチュウ選手。
ブラジルのMFで30歳と若くはありませんが、活躍次第ではスターになれる「名前」を持っています。
とは言え、本名ではなくニックネーム。
そしてそのニックネームのもとになったのは小さくて、すばしっこいということから幼い頃につけられたとか。
しかし権利関係の問題で、このニックネームが使えないとなるとちょっと残念。



さて、通勤時間に電車内で読むKindle Unlimited。
先日読み終えたのが、八木沢里志さんのこの作品。
神保町の森崎書店という日本純文学専門の古本屋がこの小説の舞台。
大阪の人間なので、東京の下町などの話はたくさんあっても、情景が浮かばないのが残念です。

あらすじ

古本屋の街、東京神保町が舞台の小説です。
恋に破れたうら若きOL、貴子。
彼女は現実の辛さを受け入れられず、会社を辞めてしまいます。
そんな彼女を受け入れようとしたのは、叔父のサトル。
サトルはひょろりとした人間で頼りがいがなさそうな叔父。
子供の頃は懐いていたようですが、もうかれこれ10年くらい会っていませんでした。

母に言われるままに、叔父のサトルと会うために神保町に行くのでした。
子供の頃は仲が良かった叔父ですが、大きくなるに連れ、疎遠となり、妻にも逃げられたのもあり、心の何処かでは軽んじていたところがあったのです。

叔父は事情を母から聞いていたのか、優しく接してくれるのでした。
森崎書店の二階を片付け、なんとか住めるようにしたものの、古本独特のカビ臭い匂いが充満しています。
古本屋の手伝いをして居候することになった貴子。
はじめは仕事にも本にも興味はなく、ただただ居眠りばかりをする怠惰な生活。

森崎書店の常連さんや馴染みの喫茶店など、この街の一員として徐々になじんでいきます。
しかし、元彼との別れによる心の澱はやはりまだ残っているのでした。




感想

何とも言えない味わいのある小説でした。
以前読んだ「純喫茶トルンカ」も読んでいて気持ちが良かったのですが、この本も同じように心が洗われるようなところがあります。

 

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登場する人物は主人公の貴子と叔父のサトルですが、この叔父が頼りがいがなさそうで、ものすごく優しい人です。
冴えないタイプですが、美しい奥さんの桃子さんと恋仲になって結婚したのも、きっとそういう優しさがあったからだと思います。
ひょろっとして力はありませんが、姪の貴子を泣かせた元カレに直談判に行く姿なんかは格好いいです。
そしてそこで貴子はしっかりと未来を見つめることができるようになるのです。
ああ、良かったと思えるシーンですね。

桃子さんというサトルの奥さんがまたかなり変わったキャラクター。
この本の後半は「桃子さんの帰還」というタイトルの続編のような流れです。
桃子さんとサトル叔父との馴れ初めや失踪の理由なども描かれ、サトル叔父も貴子と同じく、自分の中でけじめをつけなければいけないのですね。
これもまた良いエンディングとなっています。

 

古本屋がぶたいになっているだけあって、古本の良さ、本との出会いというものにもちょっといいシーンがあったりします。

こんな具合に、かつてその作品み読み感銘を受けた人が、ペンで横に線を引いているのだ。自分も同じくその箇所に感銘を受けたから、知らない誰かと心が通じたようでうれしくなった。

 

なんとなくわかります。
Kindleは古本というものではありませんが、多くの読者が感銘を受けたところに線が引いてあったりします。
そこでは同じように良かったと思える部分だったりすると、見知らぬ人なのですが、共感している気持ちになったりしますよね。


読まないと後悔する!とまでは言いませんが、殺伐とした世の中で、こんなお話を読んでいると心が洗われますね。


 

 

 

 

 

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