髪結い伊三次シリーズ第2弾
今回は捕物帳というよりも登場人物たちの恋愛のもつれ、そして信頼していた同心都の仲違いなどショッキングなことが目白押し。
息もつかせぬ展開が待っている。
とは言え、びっくりするような事件は特にない。
あの時代にはありそうな事柄を見事に表現した作品。
なんともいい感じ。
そう時代劇の好きな人にはたまらないシチュエーションで描かれている。
必殺仕事人、大江戸捜査網、破れ傘刀舟悪人狩り、暴れん坊将軍
こういう時代劇が好きな人ならこのシリーズはぜひとも読むべし。
「紫紺のつばめ」
伊勢屋の若旦那都の関係の誤解より伊三次とお文は仲違いしする。
伊勢屋の先代に世話になったが、その息子には世話にならない。お文には決めた男、伊三次がいる。
しかし先代の恩もあり、無碍に断れない。
金のない男の伊三次。ついに見切りをつけられたとショック。お文との仲は最悪の状態になる。
「ひで」
伊三次の幼なじみ日出吉は板前だったが、恋仲の娘が大工の娘で条件として大工になること。
板前をやめて大工になるが、慣れぬ仕事でついに命を落とす。
巻末の解説では実話をもとにしたとなっている。ちょっと他のストーリーとは違う趣向。
「菜の花の戦ぐ岸辺」
伊三次が人殺しの下手人としてしょっぴかれる。
不破はかばわず、友人の同心緑川に取り調べを一任する。
濡れ衣が晴れて開放されるが、伊三次の心は不破と離れ、ついに小者を辞める。
それにしても不破というのはつまらない男だなあ。ガッカリだ。
そういや中村主水もつまらない男だったなあ。
「鳥瞰図」
不破の妻のいなみが過去の敵討を決意。それを周りの人間が引き止める。
そして肝心の引き留め役が小者を辞めた伊三次にお鉢が回ってくる。
ここの夫婦は伊三次にとっては大迷惑な人間ばかりだなあ。
「摩利支天横丁の月」
お文につかえるおみつと伊三次の弟分である弥八との恋物語。
いや、大金を盗まれたのに弥八のことを弟分として世話をしている伊三次とお文は心が広い人間だと思う。
今の時代よりもやはりどこかのどかなんだろうかね。
- 作者: 宇江佐真理
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/01/01
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