悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

黒く塗れ 髪結い伊三次捕物余話 宇江佐真理

髪結伊三次シリーズ第5弾
4作目の「さんだらぼっち」を一番最初に読んだ。。最近読んだのは3作目の「さらば深川」という作品になる。

「蓮華往生」
面倒見切れなくなった老人をあの世へと送る装置を持つ天啓寺。通称蓮華寺
巨大な蓮華の中に入れば極楽浄土へと導かれるという寺だが、その寺でいくつも老人がなくなっている。
あまりにも不自然なことで不破、緑川らは操作にあたる。
なかなか子供ができないとやきもきしていたお文が身籠る。不破の奥方いなみは一足先に出産し、賑やかな状態。
生と死、ふたつの対比もまた見事。


「畏れ入谷の」
不破の家に待望の娘が生まれ、いなみは男達の世話ができない。
友之進と龍之介は父と息子という組み合わせで出かけることが多くなった。
深酒で泥酔している侍を見かける。侍のことは諸事情があり傍観しているのみだが、この侍が酒に溺れるわけがあった。
お腹に子供を宿したお文は芸者をボチボチ休業しないといけない。
最期のお勤めに出た座敷にいたのが高木茂助という荒れた侍。不破親子が見かけた酔っぱらいの侍である。
大いに荒れている高木であるが、お文はしっかりと受け止めた。
高木の家は半分は百姓であり、不作のために食うに事欠き、高木の妻が大奥へ女中として奉公に出ることになった。
大奥に上がる予定ではなかったが、上様の目に止まり、大奥へ召しだされることになる。
仲睦まじい夫婦で割り切れぬ思いがあるがどうすることもできず、酒を飲んで忘れようとしているのか、荒んだ状態になっていたのである。
お文に本音を漏らしたことで幾分救われた高木は最後の別れの席にお文に見とってもらいたいという。
お文は身重で行けないので代わりに伊三次が行くことになった。
不破親子と緑川親子が登場。親同士は親友でも息子同士はそうだもないらしい。
このへんも今後の展開にもまた興味がわく。

「夢おぼろ」
伊三次の親父と馴染みのある大工と久しぶりにあった。そこで富くじの話題になり、伊三次も買うことになる。
不破の息子の龍太郎と緑川の息子の直衛。道場で微妙な判定で龍太郎は負ける。それを見ていたのは道場で稽古をつけている片岡美雨という女性。
年頃で縁談もあるが男勝りで結婚する気はなさそう。
そんな美雨に思いを寄せる男がいた。乾監物。これといってとりえはないが人柄が素晴らしい。
叶わぬ思いならせめて別れに簪を送りたいと富くじを買う。
捕物のシーンはまったくない。人情時代劇そのまま。

通勤途中に読んでいる。本当に読みやすい。
テレビ時代劇にピッタリの題材。時代劇をよく見た人間にとっては情景が浮かびそうなシーンがちらほら。

Copyright ©悪魔の尻尾 All rights reserved.