悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 スティーグ・ラーソン

画像はAmazonより

ここのところ、忙しくしていました。
仕事で忙しいというわけでもないのです。
何が忙しいのかわかりませんが、かなりくたびれていたのかな?と思います。
そんな中で通勤時に読書したり、空き時間に映画を見たりしていました。

ミレニアム・シリーズ3部作を読み終えました。
映画も見ているのでストーリーは大体イメージ通りなのですが、やっぱり本で読むとよりしっかりと内容をつかめる気がします。

 

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映画はこちらがスウェーデン版の作品です。
映画も良かったですね。
おすすめします。

 

 

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そして書籍。
かなり長い小説で、最初は読み終えられるのかな?と思えるほどでしたが、面白さが増してくると知らない間に後半に。
そして終わりが近づくと、もう少し読ませて~という気持ちになります。

1作目の「ドラゴン・タトゥーの女」は、スウェーデン北部の田舎町で主人公ミカエル・ブルムクヴィストとリスベット・サランデルの活躍が描かれます。
そして謎めくエンディングがまた次を期待させています。
2作目の「火と戯れる女」は、リスベット・サランデルの過去に踏み込んだ作品。
彼女の父、異母兄が登場し、激しい戦い、アクションがあります。
この2作目は本当に沢山の人が殺されます。
3部作の中で一番動きがある作品かと思いますね。
そして3作目「眠れる女と狂卓の騎士」は、重要人物であるリスベットが病院で治療を受ける、つまりは彼女は自由に動けないという立場で、戦いは法廷が舞台になります。
リスベットがなぜ人になじまないのか、公的機関(警察)を全く信用しなくなった理由がはっきりします。
リスベット自身が自分の人生を自ら文章にしていきます。
主人公ミカエルはリスベットを友として信用しており、彼女を救うために尽力します。
リスベット自身はとても能力の高い女性ですが、頭に銃弾を打ち込まれて病院に入っています。
いくつかの殺人事件の重要な容疑者のひとりでもあり、もはや自力でこの局面を解決できない状況です。

ミカエルの妹で弁護士のアニカ・ジャンニーニも活躍します。
とっつきにくいリスベットですが、彼女の信頼を得ています。
今回裁判で戦うために必要な原稿が盗み出され、弁護士であるアニカも襲われてしまいます。
そこを逆に利用するミカエルがまた面白いんですけどね。

女たらし?のミカエルの今回のお相手は公安警察の長身の美女、モニカ・フィグエローラが登場します。
オリンピック代表にも選ばれる可能性のあったアスリートで格好いいんです。
彼女の上司のエドクリントも善玉ですね。
それにしてもミカエルはこのシリーズで一体何人の女性と関係を持ったのでしょうか。
それも女性のタイプもバラバラです。
いずれの場合も女性から望まれての性交渉なんですね。
まさにそれは天性というものなのでしょう。
ただ、読んでいて、モテる男というのは本来こういうものなんだろうか?とか、火野正平さんとかもこういうたぐいなのかな?なんて思ったりもしましたね。

そしてメインストーリーとは違うところでミカエルの仕事のパートナーでもあるエリカ・ベルジェの転職と転職後のトラブルも描かれます。
この点も面白かったですね。
エリカは雑誌「ミレニアム」の共同経営者の一人で、編集長なのですが、大新聞の編集長にスカウトされるのです。
これほどのチャンスはなく、パートナーのミカエルにもしっかりと打ち明けたいと思っているのですが、この事件で独自に活動するミカエルと時間が取れません。
大新聞の古い体質と真っ向勝負する彼女の姿もとても格好いい女性として描かれますが、一方で卑劣な嫌がらせを受けます。
結局それは仕事上のことでの対立ではなかったのですが、このあたりも読ませてくれますね。

それにしてもこの小説には多くの人物が登場します。
もちろん雑誌「ミレニアム」で働くレギュラーメンバーやミルトンセキュリティ関係、警察、検察関係の人物なども概ね同じです。
1作目だけはヴァンゲル家にまつわる話が中心で、この作品だけは、そこで完結しているのですが、2作目と3作目は完全に連動しています。
そしてその中心人物はリスベット・サランデルなんですね。
この2作目と3作目は、合わせてとても長い物語として考えてもいいでしょう。
多くの人物が登場し、それぞれのキャラクターがしっかりと肉付けされているので薄っぺらい登場人物という気がしません。
一つの要因でこのような物語が描かれているのではなく、様々な要因が絡み合っているところも面白いです。
多くの登場人物がいますが、主要人物は主人公のミカエル・ブルムクヴィストとリスベット・サランデルです。
この二人がこのシリーズにおいて圧倒的な存在感を持っています。
特にリスベットはキャラクターとしてとても個性的です。
個人的に刺青が入った人間は嫌いですし、映画を見たときも決して美しい人でもなく、むしろ嫌悪感を感じる女性だったのですが、物語が進むにつれて感情移入し、応援している自分を感じるのです。
小説は本当に長いので3部作を読むのはけっこう大変かもしれませんが、それだけの価値がありますね。
手軽に映画を見る、これらも長いですが、多分見始めるとやめられなくなると思います。
1作目からずっとですが、章の始まりにちょっとした文章が書かれています。
1作目はスウェーデンにおける女性の性被害に付いての短い文章。
2作目では、方程式についての記述があります。
今回の3作目では、これまでとちょっと変わっていて、女性の兵士、戦士にまつわるやや長い目の文章が書かれています。
この3部作を通して描かれているのは女性に対する暴力や差別なのでしょう。
そもそも作者であるスティーグ・ラーソンがこの小説を書いた理由が、若い頃に経験した女性に対する輪姦事件だったそうです。
その時に何もできなかったことへの後悔、自分自身への憤り、女性蔑視に対する怒りがスティーグ・ラーソンの人生の与えた影響は大きなものだったようです。

物語を通して、これはただの小説、娯楽小説に過ぎないと言ってしまえば、そうかも知れません。
ただ、物語を織りなす骨太の構成が素晴らしいです。

 

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