悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

ミレニアム2 火と戯れる女 スティーグ・ラーソン

画像はKindle本より

ミレニアム・シリーズの2作目です。
長い小説ですね。
文庫本なら500ページくらいのやや厚めのものが上下巻2冊です。
電子書籍なので上下巻合本です。

映画は先に見てしまっているので、読みやすいというのはあるのでしょう。
「ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女」は映画も何度か見直すなどこの2作目よりはより理解しているつもりでも、少し読むのに時間がかかりました。
この2作目も1作目に負けず劣らず多くの登場人物が入り乱れて、シンプルな物語ではありません。
映画を見ていなかったらこんなにスラスラと読めなかっただろうと思いますね。

 

tails-of-devil.hatenablog.com

映画を見てからある程度時間が経過し、記憶が少し薄れてきたタイミングで、この本を読み始めました。
実は、3部作を観た後、AmazonKindle本を購入しました。
1作目も映画はもちろん良かったのですが、本を読むとものすごくよく分かるんですね。

 

tails-of-devil.hatenablog.com

 


映画もかなり長いのですが、それでも3時間もあれば見れます。
ところが本を読むとなると普通の人は3時間とかで読むのは無理でしょう。
それこそこの物語に登場するリスベット・サランデルのように映像記憶能力の持ち主でもない限り、映画よりも長い時間が必要です。
通常、小説というものを読むと、文字という情報を脳でいったん処理して映像や音声という形で浮かび上がらせていると思います。
映画で見てもやもやしていた(ハッキリ理解できなかった)部分が文字を通して理解を深めるということがあります。
登場人物が多くて、人間関係も非常に複雑な物語になると、文字情報はありがたいです。
1作目も映画はダニエル・クレイグ主演のデヴィッド・フィンチャー版もオリジナル版もどちらも観たのですが、本を読んだ後に一番スッキリしました。
1作目の映画を見ていたこともあって2作目の映画はとてもわかり易かったのですが、この本を読んでみると更にこの2作目の作品がくっきりとわかるようになりますね。

 

tails-of-devil.hatenablog.com

tails-of-devil.hatenablog.com

 

1作目の話とは全く異なりますが、人間関係や今回の物語の背景になる事柄がたくさん出てきますので、この作品は1作目を知っておく必要がありますね。
この2作目を知るうえでの登場人物を簡単に紹介します。

ミカエル・ブルムクヴィスト
雑誌社ミレニアムの経営者であり、メインのライター。
若い頃に連続銀行強盗犯のアジトを突き止め一躍時の人となり、「名探偵カッレ君」というニックネームがあります。
正義感が強く、集中力が半端ない人物ですが、そうでもないときは凡庸なタイプ。
前回の事件ではリスベットとは深からぬ仲になり、また命の恩人でもあるわけです。
リスベットのことは謎だらけなのですが、彼女がどんな不利な状況になってもなんとかしてあげたいと思っています。
彼は常にリスベットの味方です。


エリカ・ベルジェ
雑誌社ミレニアムの共同経営者であり、編集長。
上流階級出身で見た目もよくテレビ局にいたこともあって人脈も広い才色兼備の女性。
既婚者だが、ミカエルとは長い間肉体関係があり、その点については、芸術家である夫グレーゲル・ベックマン公認。
リスベットとは面識があるものの、ミカエルほど彼女のことを知っているわけではありません。
ただ、ミカエルを信頼しているので、彼の言葉を信じて今回の事件に対応します。
彼女自身の今後の身の振り方にまつわる話題もあります。

ダグ・スヴェンソン
若手のジャーナリストで特ダネを引っ提げてミレニアムにやってきた人物。
そのネタとは「少女売春組織」に関することであり、実名での公表と書籍の出版も予定しています。
ミカエルは彼を見て若い頃の自分を思い出すようです。
ジャーナリストとして大きく飛躍するチャンスの到来でしたが・・・。

 

ミア・ベイルマン
ダグ・スヴェンソンとは同棲中の学者。
犯罪学、特にジェンダーに関することで博士号の取得を目指して作成した論文はダグと同じく「少女売春組織」に関する内容を含んでいます。
ダグとの子供を妊娠しており、博士号もほぼ手中にある状態なので、まさに公私ともに幸せの絶頂期だったのですが・・・。

 

アニカ・ジャンニーニ
ミカエル・ブルムクヴィストの実の妹で弁護士。
既婚者でイタリア系の夫との間に二人の子供がいます。
女性の権利に詳しい人物。

リスベット・サランデル
映像記憶能力とともに凄腕のハッカーとしての知識もあり、調査員としてはずば抜けた能力を持っています。
ミルトン・セキュリティと言う会社でフリーで働いていましたが、1年以上消息を絶っていました。
人間関係を構築することが圧倒的に苦手な人物ですが、その理由もわかってきます。
150センチ台で40キロほどの非常に華奢な体であるため、パワーはありませんが、すばしこく運動神経も抜群です。
こんな有能な人物なのですが、法的には無能力者とされており、後見人がついています。
それらの事情も今回明らかになります。

ミリアム・ウー
リスベットの数少ない友人。
レズビアンでリスベットとも関係があります。
リスベットと違い170センチほどの体格で肉付きもよく、ボクシングなどの格闘技もやっています。
リスベットが住んでいたストックホルムのアパートに住むことになります。

パオロ・ロベルト
元ボクシングのチャンピオンで、リスベット、ミリアム・ウーともに知っている人物。
今回の事件に協力することになりますが、腕っぷしの強い彼もとても叶わない相手に出会います。

ホルゲル・パルムグレン
リスベットの最初の後見人。
当初は数多くいる患者のうちの一人だったリスベットですが、彼女を深く知るに連れなんとかしてあげたいと心から思ってくれた数少ない人物。
しかし、突然倒れたため、リスベットによって病院に担ぎ込まれます。

ドラガン・アルマンスキー
ミルトン・セキュリティーという会社の社長でリスベットの能力を高く勝っている人物。
ところが全く連絡が途絶えていることに気をもんでいます。
ホルゲル・パルムグレンとは旧知の仲

プレイグ
リスベットいわく世界で指折りのハッカーの一人で、信頼しています。
プレイグも「スズメバチ(リスベット)」の能力は高く買っているようです。
リスベットと同じく社会的不適合者です。

ヤン・ブブランスキー
今回の事件の操作を担当する刑事。
感情に流されず、緻密な捜査をする有能な刑事です。
おまわりさんのブブラさんというニックネームがあります。

ソーニャ・ムーディグ
既婚の女性刑事。
男性社会でもある警察組織にあっては納得できないことも多数あります。
上司のブブランスキーは彼女の能力を非常に評価しています。
非常に勤勉で有能な刑事です。

ハンス・ファステ
旧来の刑事そのままです。
無能ではなく勇敢な刑事の一人ですが、ソーニャとは全く馬が合いません。
女性蔑視の姿勢は変わらない人物です。

リカルド・エクストレム
今回の事件の担当検事。
出世欲の強い人物です。

ニルス・ビュルマン
リスベットの後見人。
弁護士ですが、凡庸な人物です。
前作から登場しているので、彼がどれくらいの「悪」なのかはわかると思います。

ベーテル・テレボリアン
精神科の医療の世界にあってはスウェーデンきっての人物で、彼の言葉は非常に説得力があります。

グンナル・ビョルク
少女買春において実名を出されることになりそうな人物。
公安の人物でもあり、かれはキーマンとなるザラを知る人物です。

ザラ
この物語の「悪」そのものです。
そしてリスベットの不幸の根源でもあります。
ザラは本名ではありません。
謎の多い人物ですが、徐々に明かされていきます。

ロナルド・ニーダーマン
金髪の巨人です。
彼も謎の人物ですが、ラストシーンにも登場する実質この作品のラスボス的な扱いとなります。

 

映画では描ききれなかったリスベットの外国での滞在時のことなどが書かれています。
そこではフェルマーの最終定理にのめり込み、高等数学の本を読む得体のしれない女性。
そして体が小さくて胸も小さく、女性としてのコンプレックスが強かったため、豊胸手術を受けるまでの流れなども書かれています。
彼女の等身大の姿がこの本で明らかにされ、彼女の魅力にどっぷりとハマってしまうでしょう。
映画で見るタトゥーだらけのぶっ飛んだ女性。
私はファッションとはいえ、タトゥーに対しては肯定的に捉えられず、偏見でどうしても見てしまいますが、私のように考える人はまだまだ多いと思っています。
そんな彼女もミカエルとの出会いを通じて精神的な成長も果たしたのでしょうか、数多くあったタトゥーですが、背中のドラゴンのタトゥーはともかくスズメバチのタトゥーなどは消してしまいます。
とてつもない能力を持つ個性的なキャラクター、リスベット・サランデルの本当の過去が描かれたこの作品は、前作「ドラゴン・タトゥーの女」を読んだ人、映画を見た人は必読、必見です。
最強の女性キャラクターですが、最悪の運命を背負った女性です。
ネタバレは支度はありませんのであらすじはあえて書きません。
キーマンは「ザラ」です。
そして物語を引っ掻き回してくれるのは謎の巨人「ニーダーマン」です。

3作目の「眠れる女と狂卓の騎士」も購入済みですが、読んでいません。
映画は見たので大体わかっているつもりですが、多分読み始めるとやめられなくなりそうです。

tails-of-devil.hatenablog.com

 

 

 

Copyright ©悪魔の尻尾 All rights reserved.