悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 スティーグ・ラーソン

Amazonより

ミレニアム3部作の映画を見たあと、他にも読みたい本があるのに、気がついたらこの本をポチっていました。
とはいえKindle本なので、実際に荷物が届いてということはありません。

映画はかなり以前にAmazonで見かけていてやめてしまっていました。
ダニエル・クレイグ主演のデビッド・フィンチャー版を見て、これは面白いと思うようになり、再度スウェーデンデンマーク合作の映画を見ました。

 

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続編の映画も見ているのですが、映画で描ききれないところを原作で知るというのは本当に楽しいです。
随分と映画で見るキャラクターとは違う気もします。
例えば、ミカエルとエリカとともに仕事をする仲間であるクリステル。
映画では地味な役回りにすぎなかった彼ですが、表紙のデザインなどのセンスは抜群の人物ですし、何よりもゲイで小説ではオネエ口調なんですね。
ミカエルとエリカのカップルも映画を見ただけでは夫婦?と思ってしまうほど親密ですが、エリカは結婚していますし、エリカの夫公認でみかえると付き合っているんですね。
エリカは上流階級のお嬢様出身で夫は芸術家といった細かい点も本ならではです。
ヤンネ・ダールマンがヴェンネルストレムの手先であったという点も映画で描かれていますが、彼をやめさせるときにスタッフ一同が協力してハメていくというのも楽しかったですね。
リスベットの方も文章で読むとよくわかります。
ミルトンセキュリティーでフリーとして働くリスベットですが、その会社との経緯もわかりますし、社長のアルマンスキーが彼女の能力を本当に高く評価していることもわかります。
今後のシリーズにも彼らは重要ですが、1作目の「ドラゴン・タトゥーの女」ではメインとなるヴァンゲル家との関わりですが、とにかくヴァンゲル一族の名前がたくさん出てきますのでそういった点が映画を一度見ただけでは分かりづらい。
まあ分からなくても十分楽しめる映画ですが、わかるともっと楽しめるといったところですかね。
ヘンリックは映画でも小説でも重要な人物で、ハリエットの殺害の真相をミカエルに依頼するわけですが、彼以上に重要な役割を演じているのが弁護士のディルク・フルーデですね。
ヘンリックとは固い絆で結ばれた絶対的な関係です。
忠臣というよりも親友なんですね。
ヴァンゲル家が変な人ばかりなのに対して、ヘンリックと彼のお陰で回っているという感じですかね。
現会長で実質的にグループを回しているのがマルティン・ヴァンゲルですが、映画以上にまともな人物として前半は描かれています。
なかなか頭は切れる人物なのでしょうが、どこか一本ネジが飛んでしまっている人物ですね。
ヘンリックも彼にあとを任せるあたり、見る目がなかったというか、人材がいなかったということなのでしょうか。
ヴァンゲルという家は夫婦関係が破綻していても離婚しませんし、一族以外に経営に加わることも許していないことがよくわかります。
やっぱりかなりおかしい家ですね。

本には冒頭にスウェーデンの地図があり、この小説の舞台になるヘーデビー島という場所がわかります。
北欧なので寒いことはわかりますが、ストックホルムの位置とよく登場するウプサラという地名もわかります。
またヘーデビー島の地図も冒頭にあり、小説を読む上で参考になります。
更にはヘーデビー島の居住地区の位置関係も分かる図があり、スーパーマーケットのコンスムやよく立ち寄っていたカフェ・スサンヌも割と近い位置にあるんだなとわかります。

目次は
プロローグ 11月1日

第一部 誘引 12月20日-1月3日

第二部 結果分析 1月3日-3月17日

第三部 合併 5月16日-7月11日

第四部 ”乗っ取り作戦” 7月11日-12月30日

エピローグー監査報告

となっています。

第一部から第四部までそれぞれの冒頭には意味深な言葉が書かれています。
 スウェーデンでは女性の18%が男に脅迫された経験を持つ。
 スウェーデンでは女性の46%が男性に暴力をふるわれた経験を持つ。
 スウェーデンでは女性の13%が、性的パートナー以外の人物から深刻な性的暴行を受けた経験を有する。
 スウェーデンでは、性的暴行を受けた女性のうち92%が、警察に被害届を出していない。

 

文庫本でいうと上下巻に分かれていて、それぞれ400ページ以上ありますので、かなりの長編小説です。
にも関わらず、どんどん読み進めたくなるような展開でした。
映画を見ていたということもあるのだと思いますが、ハリエット・ヴァンゲル事件のことだけでなく、リスベットのことやらヴェンネルストレムとの裁判とのことやらで色んな要素がギュッと詰まった内容ですね。

映画でも色々な事柄が出てきていますが、あの「短い」時間に詰め込むのは無理でしょう。

情景などの描写は多い内容で、映画もそういった点はよく描かれていますが、頭で処理しきれなくてもどんどん時間とともに過ぎていきます。

その点、書籍は自分のペースで知りたい部分をじっくりと読むことで、活字という文字情報が入ってきます。

この複雑なストーリー(読後はそう感じない)が、とてもわかりやすくなります。

続編も買ってあるのですが、まだ読んでいません。

時間のあるときにじっくり読みたいですね。

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