悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

天国からの銃弾 島田荘司

画像はAmazonより

 

いつものように通勤時に読んでいた本です。
それほど長い時間乗っているわけでもなく、最近は眠くて通勤中に本を読むとついうつらうつらしてしまったりとかですけどね。

 

 

あらすじ

ドアX

岩手県の田舎町からやってきた銀幕のスターを夢見る女性。
そしてスターの卵に踊りのレッスンをするイカした紳士。
いつしか二人は深い中になりますが、彼女の目指すところは、銀幕の大スター。
今はまだ日の目を見ない役者にすぎないが、自分には歌も踊りも才能があり、更には脚本も書ける才能もあるのです。
そんな彼女は脚本を書いて映画会社に送るのですが、あまりにスケールが大きいので日本の映画ではとても作れないと言われるのです。
彼女はパラマウントの大プロデューサー、ジョージ・ギャグニーへ原稿を送ることにしました。
よく当たるという易者の占いで「Xと書かれたドアにあなたの夢を叶えてくれる人がいる」と聞いて、彼女はドアXを探します。
そこには彼女の夢を実現するためにやってきたジョージ・ギャグニーがいるはずなのです。


首都高速の亡霊

冴えないOLが住む集合住宅。
誤って自宅のベランダにある植木鉢を階下に落としてしまい、ある人物が亡くなってしまいます。
彼女は結婚を迫る彼氏に相談し、その死体をバスの屋根に乗せて移動させる計画を立てます。
このなくなった人物は、ある天下りの人物の秘密をつかみ、それを元に強請っているのでした。
この元国交省天下り役人はこの人物の殺害を計画します。

 

 

天国からの銃弾

サラリーマン生活を全うし、自分へのご褒美として火の見櫓のある物件に引っ越ししてきた初老の男性。
彼は火の見櫓から夕焼けの写真を撮ることを趣味として続けていました。
夕焼けとともに写っているのはソープランド自由の女神像
ところが彼は写真で自由の女神像の目が赤く光ることを発見しました。
彼の息子はソープランドで首吊り自殺として発見されます。

 

感想

長編小説ではないですが、短編とは言えないほどのボリューム感のある小説が3編入っている本でした。
どの内容もしっかりとした分量で読み応えはあるのですが、少し強引だな?と思えるような節がありました。
どの小説もハッピーエンドとは程遠く、なんともやるせない感じが残る作品です。

冒頭の「ドアX」はちょっと自意識過剰な美しい人と思いながら読んでいましたが、違和感を感じだし、真相がわかってからは哀れでしたね。

首都高速の亡霊」はなんとも言えないエンディングでしたね。
殺されても誰も不幸にならないというオチは後味が悪いです。

タイトルになっている「天国からの銃弾」。
ソープランド、電車の音、ライフルという3つのキーワードがポイントですが、あとから出てくる人物が重要なんですね。

読み応えはあるものの、長編小説ではないので、話の中盤から登場する人物が唐突な感じがしました。
多くの推理小説でも、そういう展開はありますが、短編ともなるとその唐突感が強調された気がします。

いずれの話も大変面白く読ませてもらいましたが、そういった点が気になりましたね。

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