悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

ぼぎわんが、来る 澤村伊智

GWが始まってからずっと錬金続きでしたが、今日はお休み。
映画を見たりしようと思っていたのですが、妻と食事に行ったりしている間に一日が終わりそうです。

とりあえず、読んだ本の一つをご紹介~。

ホラー小説ですね。
なんとも言えぬ恐怖感がありました。



この本の目次

第一章 訪問者

第二章 所有者

第三章 部外者

解説 千街昌之

登場人物

田原秀樹
サラリーマンで第一章の主人公。
第一章は彼の目で語られます。

田原香奈
秀樹の妻。
第二章では彼女が一人称の立場から語られます。

 

田原知紗
秀樹と香奈の一人娘。

 

高梨
秀樹の職場の後輩。
秀樹の後輩というだけで巻き込まれた、この物語の最初の犠牲者。

 

唐草大悟
秀樹の中学時代の友人で、現在は民俗学が専門の大学の准教授。

野崎崑
オカルトライターという職業の無愛想な人物。
比嘉真琴と同じ痛みを持つ人物。

 

比嘉真琴
野崎崑が紹介したお祓いの「専門家」の一人。
子供が好きで知紗がとても懐いています。

 

比嘉琴子
真琴の姉。
お祓いの能力は真琴を遥かに上回ります。
第三章からは彼女が主導権を握って「ぼぎわん」に立ち向かいます。

あらすじ

サラリーマンとして、良き夫として、そして良き父親としてあろうとする田原秀樹は子供の頃に、なんとも言えない不気味な体験がありました。
「あれ」は一体何者なのかはわかりませんが、嫌な思いしかありません。
地元で古くから伝わる「ぼぎわん」というものだったのでしょうか。

妻の香奈との間に娘の知紗がもうすぐ生まれ、幸せを感じるとともに、良き父、良き夫であろうと努力しています。
秀樹は充実した気持ちで生活を送っていましたが、「あれ」がやってくるのでした。
はじめは、職場のひとつ下の高梨でした。
秀樹に面会に来たはずの人物なのですが、その訪問者は秀樹にとって、生まれてくる予定のはじめての子供の名前「知紗」を口にしているのでした。
知らない人間でしたが捨て置けず、その人物に会おうとしましたが、そこには誰もいませんでした。
その後、高梨は原因不明の病に冒されていきます。
そしてしばらくして知紗は誕生します。
秀樹は新米パパとして良い父親になろうとしました。
また妻にも良い夫としてあろうとしました。

秀樹は「あれ」の存在を感じ、その方面に詳しい民俗学者の唐草大悟を訪ねます。
唐草は秀樹の学生時代の友人でした。
そしてオカルトライターと言う怪しげな職業の野崎崑を紹介します。
野崎はそういうたぐいの記事を書くライターで、知識もあるのですが、「あれ」を排除することはできないといいます。
そして自分の知り合いである比嘉真琴を紹介します。
彼女は霊能力者でこれまでにそういった霊的な存在を祓う事によって多少の収入を得ているプロです。
「あれ」とはいったいなにものなのか?
田原家はこの後どうなっていくのか?

感想

なんとも怖い怖い話ですね。
ホラー小説なので怖さをウリにしているのですが、読み始めると止まらないですね。
怖いんだけど、読まずにいられないというタイプの本でした。
いつも通り通勤や休憩時に読むのですが、仕事モードになっても頭から「あれ」「ぼぎわん」の存在が頭から離れずに妙な感じでした。
登場人物の出し方と、彼らの一人称からそれぞれ描かれますが、第一章の田原秀樹と第二章の田原香奈がそれぞれ語る話を読むと、描き方一つで全く違った印象になります。
第一章を読んだだけだと、責任感の強い良い夫の英樹が「あれ」に命を奪われ、気の毒な話です。
しかし、第二章を読むと、良き夫、良き父親と言うのは本人がそう思っているにすぎず、独りよがりであり、妻の香奈にとってはほぼノイローゼ寸前の不快感しかなかったことがわかります。
結局、秀樹という男は、祖父のようなDVではないものの、独善的な人物で妻の気持ちを推し量ろうというところが欠落しています。
香奈の方も嫌なら嫌だとはっきり言えばいいのですが、そういう性格ではないため、秀樹のペースでした。
もし「ぼぎわん」が現れなくても、このままだと妻は夫の寝首をかいたのかもしれません。
映画化されていると走りませんでした。
タイトルは変更されているためかもしれません。

「来る」というタイトルの映画ですね。


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「ぼぎわんが、来る」というタイトルだったらだめだったのでしょうかね?
「ぼぎわん」という言葉がわけがわかりませんし、平仮名ということもあって、なんとなくしまらないということもあったのかもしれませんね。
私もこのタイトルを見て、あまり読もうという気にはならなかったですね。
ちなみにこの「ぼぎわん」とはブギーマンのことなんですね。
それがなまって「ぼぎわん」になったという設定です。

小説は本当に面白かったですね。
ゾクゾクするような気持ち悪さがありました。
子宝温泉というのも登場するのですが、まさか子宝というのが子供を授かるための温泉という意味ではないというのもショッキングですね。
映画も見てみたい気もしますね。


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