悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

バカ格差 谷本真由美

画像はAmazonより

谷本真由美さんという人が書いた本ですね。
私はよく知りませんがTwitter(今はXっていうのですね)では有名な方のようです。
”めいろま”って名前らしいです。(知りませんけど)
ともあれ、Kindleにあったので、読んでみました。


表紙などに書かれている言葉通り「過激」なものを期待していたら拍子抜けするほど普通の内容でした。

6つの章がある本です。

第1章 日本のバカ格差ワースト5

第2章 仕事のバカ格差

第3章 生まれついてのバカ格差

第4章 男女のバカ格差

第5章 世界のバカ格差

第6章 日本からバカ格差をなくすには

バカ格差ワースト5には
タワーマンションの階数格差
②住む地域のバカ格差
③学歴のバカ格差
④お金のバカ格差
⑤情報のバカ格差
となっています。
どれもなるほどと思いつつも、なんだかしっくりしない気持ちにもなります。
タワーマンションに住む人たち、上層階に住むのが金持ちだと勘違いしている田舎者だと言っておられます。
本当にそうならバカでしょうが、タワーマンションに住む人たちが田舎者という風に蔑むのはどうなんでしょうね。
海外の金持ちは郊外にゆったりと邸宅を構えるとか言われても仕方のない話だと思うんですね。
ご自身は海外在住だそうですが。
住む地域のバカ格差では実質賃金を考えないバカと言っています。
たしかに東京などは物価が高いから地方に住むべきというのでしょうか。
東京と福岡を比べています。
たしかに福岡は魅力的な都市だと思いますが、そんな地域による実質賃金格差に基づいて暮らすところを変えるなんてことができるのでしょうかね。
そういう風にデキる人はすでにそうやっている気がするんですね。
学歴のバカ格差についても色んなところで書かれていることの焼き直しで目新しさはありませんでした。
お金のバカ格差についてはそのとおりでしょう。
資本主義が進み、貧富の差が激しくなっています。世界中の富がある一部の人間に集中しているというのはその通りで、民主主義というものの限界を感じています。
だからどうすればよいのかという提案が欲しかったですけれど、そういうものがなかったですね。
情報のバカ格差も「AI、IoT、情弱」という言葉に代表されるように語り尽くされたような内容でした。

第2章から第5章にかけても内容は目新しいことは特にありませんでした。
だからこそ期待した第6章です。
どうすれば格差社会(バカ格差)をなくすことができるのか?
格差を知り、異なる価値観を体験せよ、さすれば道が開かれんでしょうか。
は?
これぞという内容は皆無でした。
何よりも第1章で述べていた住む地域のバカ格差で実質賃金ウンタラカンタラとは矛盾する内容も述べています。
あれ?って思ってしまいました。
まあ、分かる部分もありますけどね。
そして挙句の果てには大どんでん返し
日本はまだマシだよ~外国はもっとひどいからね~って具合です。
あれ?この本って、日本のバカ格差をここまで述べてきたはずなのに、外国よりマシだよって、今更なんだろうな、と思いました。
そして日本はそんなに格差がないんだから細かい格差なんて気にすんなよな~自分の軸を持って自分らしく生きろって、ここまで散々煽ってきた内容とは違ってとっても乱暴な結末な本だなあって思いましたね。

肩書はIT戦略コンサルタント、エッセイスト、インフルエンサーで海外在住と普通の庶民から見れば羨ましがられる立場で、なんだか上の方から見下ろして「俺様が下々の人間に正しいこれからの生き方をおしえてやる」って感じが垣間見えてきます。

ずいぶんと辛辣な書評となりましたが、商業的に「煽る」文章やタイトルは必要でしょうが、内容が伴わないと批判しか出てこなくなるなあって気もします。
書いている内容自体は別に悪いことを書いているわけでもなく、読んでみること自体は悪くないのですが、どうも楽しくない印象を持ってしまいましたね。
今までこういうたぐいの本を読んでいないのなら、読んでみてもいいと思います。
でもそういう本をこれまでにいくつか読んでいて、この本の帯などに書かれている内容に期待して読んでみると、序盤はふーん、なるほどと思いながら読んでいけるのですが、最後の章で、がっかりしますね。
格差があることを肯定しているのか、否定しているのか、なんか中途半端で、読み終わった後、なんだか上から目線でバカにされたような気持ちになってしまいますね。

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