悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

変性意識~現代洗脳のカラクリ 苫米地英人

 

とても胡散臭いと思われている認知科学者、計算言語学者分析哲学者、その他諸々の肩書があります。
ものすごい勢いで多数の本を出していることからも、ゴーストライターではないかという疑いも多数あります。
あのオウム真理教信者の洗脳を解いたことで、世間では一躍有名になった人です。
そしてあのオウムシスターズと言われた、女性たちのうちの一人とご結婚されたということでも、かなりうがった目で見られていたりします。

まあ、俗な人間でもある私も、どうしても真っ直ぐな素直な目で見ることは出来ず、ずっとどこか斜に見ていた気がします。
しかし、苫米地氏の著作をいくつか読んでいると、胡散臭いと思う気持ちよりもその内容にうなずかざるをえない気持ちになります。
ゴーストライター説はともかく、その経歴を知るだけでも、人間って不平等に作られているんだなあと思ってしまいます。
IQは測定不能だとか言われています。

目次

はじめに 

加速する洗脳社会

洗脳の定義

お金の奴隷

序章 急分析! 2016年のアメリカ大統領選挙

なぜ、米メディアは大衆操作に失敗したのか

なぜ、アメリカ国民はトランプ氏を選んだのか?

なぜ、俺たちだけが我慢しなければいけないのか?

アメリカン・シビル・ウォー

ファウンディングファーザーズ

新参者の勝利

移民とはなにか?

トランプ氏は洗脳したのではなく、洗脳を解いていた

アメリカン・ドリームの終焉

金の鎖と銀の鎖

第1章 洗脳社会

洗脳は日常

変性意識を使った洗脳

過剰なメッセージ

私たちはすでに洗脳済み

お金で買えないものはあるのだろうか?

拝金主義は自然の流れだったのか?

グレーなビジネスを日本に持ち込んだMBAコンサルティングファーム

90年代の経済洗脳

MBAで教えているのは人の転がし方とお金の転がし方

グローバル企業の脱税方法

タックスヘイブン錬金術

ダブルアイリッシュ・ウィズ・ダッチサンドウィッチ

大企業のほぼ全てが脱税を是とする世界

メディアが報道しない世界

第2章 洗脳は誰が仕掛けているのか?

お金に目がくらんだお金持ち

拝金主義の源シティ・オブ・ロンドン

パナマ文書をリークした真犯人

パナマ文書の目的はシティ潰し

進むも地獄、退くも地獄のビットコイン

オリンピックは集金シンジケート

本当にスポーツは素晴らしいのか?

領土取りのプロたち

領土取りのプロが見つけた新しい領土

もともとは不人気イベントだったオリンピック

黙っていても我利我利亡者が集まってくるシステムの完成

オリンピックを否定することが脱洗脳の第一歩

国民をバカにするカッシーノという造語

洗脳は逆手に取れ

第3章 洗脳法

よく考えよう、お金は大事だよ

網膜体賦活系=Reticular Activating System

RASがあるから洗脳される

RASが作るスコトーマ

情報の真っ只中にいながら、なぜ情報遮断されてしまうのか?

洗脳されることに慣れている私たち

官僚は洗脳されやすい

勉強は自己催眠

現代日本の大問題

洗脳されやすい日本の子どもたち

洗脳は洗脳を意識するだけで防御が可能になる

変性意識状態

テレビは簡単便利なわりに絶大な効果を持つ洗脳マシン

誰もが持っている現実を書き換える力

現実にあるもの

特別章 オウム信者の証言

女性信者Sさんのバア愛

高校2年で入信

意識をチェンジさせるアーナンダ師

オウムの修行

イニシエーション

強恐怖の支配

がんを発病

最も印象的な洗脳は苫米地先生

洗脳とは私の思い込み

オウム真理教幹部、野田成人氏の場合

Sさんの脱洗脳

入信のきっかけ

洗脳の入り口

臨場感空間を作る方法

洗脳の仕組み

恐怖支配

洗脳状態と普通の状態は何が違うのか?

洗脳とは

第4章 洗脳とはなにか?

洗脳に対する誤った先入観

メディアに弱い私たち

オウム真理教の最強の洗脳装置は書籍だった

Sさんの脱洗脳のからくり

麻原をゴキブリに変えて潰す

気功法による脱洗脳

幽霊が怖い理由

洗脳手法の極意

機構を理解する上で最も難しい部分

相手を洗脳するための技術

強烈な変性意識を生成する

秘伝中の秘伝

変性意識と呼吸

相手を変性意識下に誘う方法

第5章 仮想現実となる未来

世界のシステムが変わる

多くの日本人が仮想通貨を理解していない

仮想通貨とはなにか?

ビットコインは仮想通貨の中でも特殊な通貨

仮想通貨には多くのメリットがある

なぜ、日本は国が仮想通貨を発行しないのか?

民間銀行が通貨発行権を持ったインパク

今の日銀がしていること

日本にはマイナス金利がない?

物事はすべてケースバイケース

三菱東京UFJ銀行は日本の銀行なのか?

リアルな未来へ

現実的な脱洗脳法

おわりに

内容

アメリカの大統領選挙において、トランプ氏とクリントン氏の報道では、クリントン氏有利と伝えられていました。
それはアメリカのマスコミや支配層がそのほうが都合がよく、そういう情報ばかりを流していたからです。
アメリカの情報をそのまま伝えていた日本の報道も同じように報じていましたから、我々もクリントン氏が有利で、トランプはけしからんやつだと言われていたものです。
しかし、実際はトランプ氏が勝利しました。
序章では、アメリカ大統領選挙でトランプ氏がかった理由、そしてアメリカ合衆国南北戦争時代の背景にまで遡って語られます。


第1章は洗脳の仕組みと現代の時代は洗脳時代ということについて書かれています。
洗脳とはそれほど特殊なことではなく、日常的に行われていることなのです。
①恐怖心を利用する
例えばCMで、外から帰ってきたばかりの手が以下に汚れているか、台所のまな板がどれほど雑菌だらけか?
こういった恐怖を心に植え付けることは洗脳の常套手段です。
CM制作をする側は明らかにそういう意図を持って消費行動を促しているのです。
②変性意識を利用する
変性意識とは現実世界よりも空想の世界にリアリティを持っている状態のことです。
例えば小説に没頭している状態です。
つまり頭の中で思い浮かべる情景が現実世界以上にリアリティを持ってしまう状態です。
小説を読んでいる時はもちろんそういった内容が現実ではないのですが、時としてその物語の中に自分を移しこみ、感情移入します。
これを利用しているのもやはりCMで、車のCMなどで素晴らしい景色の中、きれいな女性を助手席に乗せて運転するイケメンです。
自分がそのイケメンになった姿を想像してしまうのです。
女性なら、ダイエット商品などに登場するとてもスタイルのよい女性と共感するように作られています。

洗脳には、洗脳者側、つまり情報発信者側のメッセージが含まれており、それが正しいことだとされるのです。
これらを組み合わせて多くの人は洗脳されています。
お金がないことによる恐怖を強烈に植え付けています。
お金がいちばん大切だというメッセージを植え付けているのです。
拝金主義。
これこそが今、日本のみならず、世界中の国々で蔓延しています。

拝金主義を生んだのは、グレーなビジネスを日本に持ち込んだMBAコンサルティングファーム
お金持ちは法的には白であっても倫理的には真っ黒。
いずれにしてもかなりグレーな存在です。
MBAが大変評価されていますが、MBAでは新規事業の知識や技術を教えるわけでもなく、販路拡大のための営業スキルでもありません。
MBAは人の転がし方とお金の転がし方を学ぶところです。
Master of Business Administration 経営ではなく、経営管理の技術であり、要は人事部や総務部の仕事なのです。
興銀に在職中に留学し、その知識と人脈を使ってタックスヘイブンに会社を作り、帰国後はすぐに会社を辞めて起業したのが楽天の三木谷氏。
これを素晴らしいと持ち上げたのがITバブルでもあり、現在に続く拝金主義となっていきます。

この拝金主義洗脳をしているのは、国や大手メディアで、対象は国民全員です。

第2章 洗脳は誰が仕掛けているのか?
それはお金に目がくらんだ過金持ちたちです。
貧乏な人がお金を欲しがるのは当然です。
しかし最も欲しがっているのは、もともとお金を持っている富裕層のほうなのです。
彼ら富裕層がお金の亡者となってしまっているので、世界的に拝金主義になっているのです。

過去のお金持ち=王、貴族。
彼らは領土取りのプロです。
ヨーロッパの貴族たちは他人の土地をぶんどってきたのです。
しかし現在は分捕れる土地はほとんどありませんが、新たな領地を見つけました。
それは情報空間です。
この空間は無限で、人の欲望を刺激する情報を作り上げて、そこに大量の人を導けば良いのです。
物理的領土を奪うには武器が必要でしたが、情報空間で武器となるのは当然ながら情報です。
自分で流した情報が相手に価値あるものとして認識されること、それが武力となります。

第3章 洗脳法
RAS(Reticular Activating System)=網膜体賦活系
人間には不要な情報をフィルターするシステムがあります。
見えているけれど、見えていない状態、人は「これが大事だ」と思わなければ、認識できないのです。
カクテルパーティでは、多くの人が会話していても、他人との会話ができます。
それは不要な情報をカットしているからで、カクテルパーティ効果と呼ばれていたりします。
これらはRASによるものですが、RASは盲点を作り出します。
人間の脳は重要度の高い情報のみを認識させ、それ以外は捨ててしまっているのです。
その捨ててしまった情報の中に、大切な情報があればどうしますか?
つまりRASは何かを重要だと思うことは、その重要な情報を積極的に収集できるようになると同時に、その他の情報は見えなくしてしまうことでもあります。
洗脳者側にとって、こんな便利なことはありません。

洗脳と教育は同じですが、それを分ける部分は、その本人の利益になっているか?本人以外の第三者の利益になっているかということです。
情報操作の結果が本人にとって利益となるのであれば、洗脳とは言わず、教育となります。

洗脳されるのは変性意識状態にある場合。
勉強に集中している時などはまさに変性意識状態なのです。
勉強することは自己催眠です。
学業に優れた官僚などは非常に洗脳されやすい人たち。
言葉による情報操作に弱いということです。

変性意識状態とは?
眼の前の世界とは別の世界に臨場感が移っている状態。
小説を呼んだり、映画を見たときの状態です。
ストーリーに夢中になり、泣いたり笑ったりする状態ですね。
完全に意識は小説や映画の世界に没入していますが、そういう没入状態が変性意識状態なのです。
別に感動指定なくても意識が目の前から離れて記憶の世界、つまり情報空間に入ったというのが変性意識状態になったということなのです。
変性意識状態の時が情報の書き換えのチャンス=洗脳しやすい状態です。
変性意識状態では意識が情報空間にありますから書き換えが可能なのです。
人間にはもともと”現実”を書き換える想像力があり、そのため洗脳されてしまうのです。
洗脳を防ぐには、それに気づいてしまえばいいのです。
「これは洗脳手法だね」とわかってしまうだけで、洗脳は簡単に溶けてしまうのです。

特別章と第4章はオウム真理教信者の脱洗脳などについての記述です。

第5章 仮想現実なる未来
仮想通貨による未来。
日本の企業、銀行も外資が入っています。
それは今に始まったことではなく、以前からなのですが、日本人が知らないのは、バイアスのかかったマスコミの情報を鵜呑みにし、自分で調べて納得するという作業を怠って来たからです。
日本人は洗脳されていたのです。
情報操作されていたのです。
それを知り、目をさますことができたら、やるべきことは、現実を悲観することではなく、情報を自分で集め、分析することです。
情報操作にやすやすと引っかからないためには自分が情報の使い手にならなければなりません。

 

感想

オウム真理教信者の脱洗脳で有名になった苫米地さんですが、この本でもかなりの部分がそれらに関する記載となっています。
洗脳は特別なことではなく、どこにでもあるもの、というのもわかりやすく書かれています。
そして人間の脳には情報を扱うことに長けた部分があり、そのために情報空間を利用できるのですが、だからこそ洗脳されやすいというのも大変わかりやすく書かれています。
テレビが巨大洗脳装置というのもなるほどとうなずけますし。
そして最後にはこの洗脳社会からは抜け出せないとも書いています。
洗脳は今に始まったことではなく、これまでの世の中も洗脳ははびこっているのです。
今後、洗脳社会がなくなることはないでしょう。

ただ、洗脳とはなにか?という本質を知り、その手法を見破ることで、いとも簡単に洗脳状態を解くことができるのです。
そしてそのためには安易な情報に飛びつかず、自分で調べて、自分で判断するということがとても大切なのですね。
安直な答えを求めてネットで検索して知った気になってしまう。
今の時代の象徴的な行動ですが、これって怖いことなんでしょうね。
色んなソースを取り揃えて、それらを吟味し、自分で判断すること。
情報を見て、常にその真贋を疑う目を持つことが洗脳されないために必要なことなのでしょうね。

 


 

 

 

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