悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

洗脳広告代理店 電通 苫米地英人

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TVではタレントやらスポーツ選手、アナウンサーなどを集めて、訳のわからない企画の番組をやっていました。
大方は、4月からの番組の紹介、いわゆる番宣というやつですね。
好きな人は楽しんでみているので、私がとやかく言えたものではありませんが、個人的には最も毛嫌いするような番組です。
意味がないというか、うるさいというか、視聴者に何のメッセージもありません。

なら見なければよいというわけですが、家族が見ていたりすると、自然に目に入ってくるわけですね。
家にいるときも基本的にテレビは見ない方なので、静かな方がよいのです。
興味のある映画やドラマがあれば、見ますが、最近CMの頻度が高くて、落ち着いてみていられないですね。

テレビが大衆の娯楽であり、情報入手の手段として機能していたのは過去の話。
今はバカを作るために存在しているのではないかと思います。
もちろん、優れた番組もあると思いますが、芸能人がうちわの話で盛り上がっていたりするトークショーなんて、放送するに値するとは思えません。
そういうものこそ、YouTubeで十分ではないでしょうかね。
そのタレントが好きな人が見れば良いと思いますね。

 

もともとテレビに対しては辛辣な言葉を投げかけていますが、苫米地英人さんの「洗脳広告代理店 電通」と言う本を読んで、ますますその気持を強くした次第。

 

では、この本がどんな本なのか少しご紹介します。

2012年の本ですから、今を描いているわけではありません。
当時からして、テレビは日本国民を総白痴化するための装置として機能していると書かれていますが、それから10年。
改善されたのではなく、コンテンツの質の低下はますますひどくなっていると思います。

 

 

この本の目次

はじめに

序章 私たちを支配する黒幕とは

第1章 メディア洗脳の恐怖

第2章 広告代理店とはなにか

第3章 洗脳代理店「電通」の闇

第4章 メディア新時代の電通

第5章 メディア洗脳防衛策

終章 今こそメディアを私たちの手に取り戻せ

あとがき

過去に報じられたdん通による「メディア支配の」一端

 

この本の内容

テレビは報道の一部と言う仮面をかぶっていますが、実は公正ではなく、一部の人達の利益誘導をするためのメディアとなっています。
そしてその匙加減をするのが、広告代理店で、中でもテレビ業界に極めて強い力を持つ電通の存在自体を問題視しています。

10年前の書籍ですから、冒頭は東日本大震災時、東京電力の話題です。
後々になって原子力発電所の問題が明るみに出ました。
東京電力はテレビ業界にとっては上得意のスポンサー様です。
そのスポンサーにとって不利益な情報を流すことは、ありえないのです。
スポンサーが直接支持しなくても、それを束ねる電通が、「自主規制」することでスポンサー様にとって都合の悪い情報はカットするというフィルターの役割を果たしているのです。
今で言うところの「忖度」ですが、著者は「バイオパワー(生権力)」と呼んでいます。

メディアには色々ありますが、中でもテレビという道具は洗脳に最適だと説いています。
メディアによる洗脳は絶大な効果があり、多くの大衆はメディアは中立であると思いこんでいる上、方法されている内容は100%正しいと思っているのです。
人間には6つのモーダルチャンネル(情報取得チャンネル)があり、その中でも最も臨場感が高いのが資格情報です。
人間の5感のうち、視覚は映像などの視覚情報と、文章を読むと言う文字情報は分けているため6つの情報取得方法としています。

つまり、メディアの中でもテレビと言う映像による洗脳は強力な道具になりうるということです。

日本の巨大資本が悪で、大衆は利用されている、ということにとどまらず、洗脳とは昔から行われており、戦後はGHQも行っていました。

GHQがが実施したWGIP(War Guilt Information Program:戦争罪悪感情動プログラム)。
これは、見せたくないものを見せない検閲と言う程度のものではなく、日本人の考え方そのものを変えようとする洗脳プログラムなのです。

最近(2012年)の例として、小泉元首相の洗脳戦略があります。
郵政選挙と呼ばれた第44回衆議院議員総選挙で圧勝した小泉政権は、中身の議論もないままにただ「郵政民営化」を呪文のように唱え続け、テレビはそれを垂れ流し続けたのです。
小泉首相が率いる自民党は、スリード社という広報コンサルタント会社を使って、国民を洗脳するための巧みなマーケティング戦略を練ったのです。
そのやり方は、バカな大衆をターゲットにキャンペーンを仕掛けたのでした。
つまりはなんだか具体的なことはよくわからないが、小泉首相を支持する、主婦や若者、高齢者(B層)に対してイメージ戦略(洗脳)によって莫大な票数を集めることができたのです。

 

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これらのことに対して批評した評論家の森田実氏がテレビから干されてしまいました。
その中の記事の一節

「米国の保険業界が、日本の郵政民営化を実現するために、米国の独占的広告会社を通じて日本の広告代独占企業である「電通」に、日本国民が『民営化は善、官営は悪』と考えるようにするコマーシャルを依頼した。その金額は5000億円と言われている。この計画は実行された」

この一文は反響を巻き起こしたが、森田氏の友人から、電通を批判したことでマスコミ界にはいられなくなるという電話が来たそうです。

 

日本人愚民化計画とは、権力者にとって大衆が愚民化してくれたほうが都合が良いため、意識的にではなくても、自然そのような製作を選択していくことになります。

そしてそれは教育プログラムにも現れています。

いわゆる「ゆとり教育」です。

広告代理店とは何か。
分かりづらい業種ですが、電通の生い立ちとともに、その闇についても書かれています。

そしてテレビ業界がとても大事にしている視聴率について。
たった1社しかないビデオリサーチ社によって数値化されている指標で、その信ぴょう性を証明する手段もありません。
そしてその視聴率を思いのままに操れるのが電通ではないかと言います。

電通支配によるテレビと言う巨大洗脳装置に対抗するためにその方策として、電通解体を上げています。

そしてまた比較広告というものを解禁すべきだとも。

本当のジャーナリストとは、「編集権の独立」が大前提。
日本のジャーナリストはサラリーマンであり、「編集権の独立」はありません。
広告部門の言いなりなわけです。
ジャーナリズムはまずフリーの記者だけを使うべきで、報道だけで生活できるという人だけが、ジャーナリストであり、それ以外はただのサラリーマンです。



感想

サブタイトルはドクター.苫米地の脱「メディア洗脳」宣言となっています。

メディアの罪ということは近年度々目にするようになりました。
しかしこの本ではズバリ、電通という巨大な広告代理店を名指しで攻撃した本です。

苫米地氏は、メディアによってタレント、文筆家、評論家といった人たちがスポンサーの意向によって、思うがままに行動ができない点を鋭く書いています。

電通は広告代理店として、テレビ業界における支配が極めて高いことが問題だとしています。

「報道」とは事実に対して、視聴者に新たな視点を提供することで、事実を何の加工もなく垂れ流すことは報道とは言えません。
完全な公平というものは神でもない限り判定はできませんし、報道とは事実に何らかの付加価値を添えてメッセージを伝えるという点についても全く同意します。
ところが日本にはまともな報道というものがありません。
テレビで流されるニュース一つをとっても、そこにはスポンサーへの忖度があります。
メディアは中立ではなく、広告費と言うお金によって買うことができるものなのですね。


この本に書かれていた言葉としてピックアップしたフレーズをいくつか上げておきます。

「ある特定の視点を持って報道することと、視聴者に対して意図的に、ある主張を信じ込ませることとは似て非なるものと言える。
前者は報道の正しい姿勢だが、後者は明らかに洗脳である」

 

「最近のテレビで恐ろしいのは、このように広告なのか、通常の番組なのかがわかりにくくなっていることである」

この一文を見て、すぐに頭に思い浮かんだのは、ジム・キャリー主演の映画「トゥルーマン・ショー」ですね。

 

tails-of-devil.hatenablog.com

今から11年ちょっと前に自分が書いたみたいですが、CMがうざいので、テレビの本編に自然に挟んだほうが良いみたいなことを書いておりますね。
今から思えばけっこう間抜けですよね。

 

 

「戦争での悲惨な体験や敗戦の責任を、米英ではなく、旧日本政府や旧日本軍に向けさせるプログラム」

これこそ、この本の中にあったWGIPですね。
私たちの世代は概ね、ソ連は悪でアメリカは善というイメージで育ちました。
確かにソ連、現在のロシアは全く油断のできない国、おそロシアです。
しかしアメリカが親愛なる国というのは考えてみればおかしな話です。
非人道的な平気である原爆を2発も落としておきながら、親愛なる国なんてどの口が言うのでしょうね。
それを、原爆を落とされないと降伏しない日本、貧困にあえいでいる日本人を救うため、早期に戦争を集結させる必要があるために原爆を落としたんだ、と吹き込まれてきたんですね。

「為政者や権力者にとって、一般大衆のIQは低ければ低いほど都合が良いということだ。為政者や権力者にとっては、一般大衆のIQが、自分たちが仕掛けた洗脳のからくりを見破るほど高くなっては困るのである」

これは企業も同じですね。
顧客は適当にバカでいてほしいのです。
賢い消費者は手強いのですね。
でも消費者が賢くなれば、それに答えるための工夫をするんですよね。
でも、馬鹿な日本人ばかりを相手にしていたため、日本企業はすっかり世界で戦えなくなってしまいました。
そのことを企業や国はわかっているのでしょうか。

古今東西の為政者、権力者たちは総じて自分たちに批判の矛先が向きそうになる前に、大衆に全く別の興味を与え、そちらに気を向けさせようとしてきた」

隣国などは、大統領の支持率低下を防ぐために、反日感情を煽るといったことが常々利用されていますよね。
日本でも我々は気づかないだけで、巧妙に目をそらすようなニュースが散りばめられていたりするかも?ですよね。

 

テレビを「愚民化養成マシン」と呼ぶのは、あまりにもバカな番組が多すぎるからだ。
国民は「公共の電波を使っていったい何をやっているのか」と、怒るべきだろう。

これは常々、私も思っていることです。
このブログなどでもちょこちょこ愚痴っております。
(嫌なら見るな!と言われてしまうので、あまり暴言は吐かないようにしておりますが)

もう一つ、特にバラエティ番組などで出演者の言ったセリフを画面の下に字幕(テロップ)で流すと言う手法が流行っている。これも「愚民化」の手法の一つである。
もちろん、耳の不自由な方向けならわからないでもない。しかし明らかにそういう使い方ではないのだ。
視聴者の脳を停止させたあとで、「こういう解釈しなさい」と押し付けている大変危険な使い方なのだ。実際、この手法が洗脳に有効なことは実証されている。

言われてみれば、そういう番組が多いですね。
そして字幕を見てしまうと、テレビの出演者が発した言葉(音)を自分の耳で聞き取って、意味を考えるという「脳」の作業を奪って、文字による強烈な刷り込みがあると改めて感じますね。
対して面白くもないバラエティなのに、テロップをデカデカと出して、いかにも面白いネタのように仕上げているだけですよね。


視聴率と言う情報はスポンサーの意向を左右できる強力な武器。
その武器を独占的に持てれば、テレビなど簡単に支配できてしまう。

実際、視聴率の算出方法や実測データなどは完全に秘密とされており、視聴率の数字が正しいかどうかを客観的に検証する手段はない。

子供の頃から視聴率と言う言葉は知っていましたが、視聴者にとってはどうでも良い数字で、それをことさら大げさに言うコト自体が気になっていました。
そしてその数字の根拠も全く信憑性はないと思っています。

「これからどんな技術が流行るのだろう」とか「どんなすごい技術が開発されるのだろう」などと考えることはほとんど意味がない。アメリカにとって「国防に有利」、あるいは「ビジネス的に儲かりそう」なものこそが「これから流行るすごい技術」なのだ。

概ね賛同しますが、この本が出ていた当時はそうでしょう。
ただし、今は中国というアメリカにとっては巨大なライバルの出現で状況は変わりつつあるような気がします。
相変わらずアメリカ発の流行というものが多いですが、TikTokなど中華圏発の技術というものがトレンドとなりつつあり、アメリカの動向だけではわからないのではないかと思っています。
いずれにしても日本は世界市場で相手にされていないのが大変寂しい状況ですね。

 

 

とまあ、なかなかに見どころの多い本でした。
知っている人にとっては何を今更、と言うところもあるとは思います。
何せ10年前の本ですからね。

 

 

 

 

 

 

 

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