悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

元国勢調査官が明かす 金を取る技術 大村大次郎

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最近チョコチョコと詠ませてもらっている大村大次郎さんの本です。

 

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金を取る技術というちょっと煽るようなタイトルがつけられています。
大村大次郎さんのこの手の本を読むと税金をマトモに払うのが馬鹿らしくなりますが、逃れることもできません。
サラリーマンが一番弱い立場なんですね。

江戸時代に、「士農工商」という身分制度がありました。

農民は身分こそ武士のすぐ下に置かれていましたが、納税、当時は年貢というものから考えると一番搾取されていた人たちだと思います。

それと同じで、会社員、サラリーマンというのは、源泉徴収という、全く逃れられない仕組みにガッチリとホールドされているのですね。

この本の目次

まえがき

第1章 金持ちより貧乏人のほうが騙しやすい

第2章 税金を取り立てるテクニック

第3章 巧みなイメージ・情報戦略

第4章 あなたも税務署に騙されている

第5章 消費税は最強のビジネスモデル

あとがき

 

内容

お金は取りやすいところから取る

のっけから煽ってくれます。
金持ちから1円取るより、貧乏人から1万円とるほうが簡単。
え?と思うのが普通ですが、読んでみるとなるほどと思えるのです。
確かに金持ちはお金に対しての執着心があり、お金に関しての知識が豊富です。
だから税金を取ることが仕事の税務署員にとっては「手強い相手」なのです。
金持ちから税金を取ろうとすると、様々な手を使って「妨害」します。

一方貧乏人は無抵抗なのです。
貧乏人は税金のことはあまり知らないので、「今は、国家財政が大変だし、高齢化社会に備えて増税が必要」と言われれば、すぐにそれを鵜呑みにしてしまうのです。

 

政治と税金

政治家は増税をしたがりません。
政治家にとって大切なのは有権者からの支持率ですが、増税を公約とした政治家は人気がありません。

一方、政治を実行する、行政にはすべてお金が必要です。
国の運営するためには多大な予算が組まれ、そのための財源として税収はとても大切なことです。
財務省(大蔵省)にとって、増税して税収を上げることは彼らにとってはとても大切な仕事です。

税務官僚たちは「安定的な財源」を第一に考えています。
できるだけコスト、労力をかけずに徴収したいと思っているのです。

 

徴税コストの低い税金ほどよい税金。
ただし、それが社会にとって良いことだとは限りません。

しかし現実には「取りやすいところから取る」ということです。

実は日本の貧乏人の税負担率は異常に高く、金持ちの税負担率は異常に低いのです。
表向きの税率は低く見えていますが、実質の税負担は大きいのです。

 

税金を取りやすい人
中間層以下のサラリーマン、低所得者
→税金の知識がない。国に文句を言わない。

税金を取りにくい人
富裕層、大企業
→税金を常に研究、様々な形で国に圧力

 

少しこの本のデータは古いですが、
課税最低所得は他の先進国と比べても低いのです。
子供二人の夫婦で税金を課せられる最低所得は

日本   325.0万円
イギリス 376.7万円
アメリカ 378.5万円
フランス 410.7万円
ドイツ  508.1万円
(2007年、財務省による国際比較)

先進国で最も「低所得者で子供のいる家庭に厳しい」のが日本。

配偶者特別控除の削減は、増税と言う言葉は使っていないものの、実質低所得者に対する増税です。

高額所得者に対する減税
所得一億円の人の税率(所得税と住民税の合計)
1980年  93%
1985年  88%
1990年  65%
2000年  50%
2010年  50%

相続税
1988年までは最高税率が75%
2003年   最高税率50%

 

税務調査の目的

「ノルマを達成すること」「追徴税を稼ぐこと」
どれだけ真面目に申告しても、重箱の隅を突くようにして「お土産」を持って帰ろうとする税務調査官。
営業マンの成績グラフと同じく、税務調査感の成績はどれだけたくさん税金をぶんどってきたかによります。
ノルマを課せられた営業マンと同じです。
そのために違法スレスレのこと、あるいは違法なこともやっているのです。
そのテクニックとは、もうヤクザとそれほど変わりません。

  • 優しい口調で相手を油断させ、表面上は紳士的に振る舞いながらも巧みに追徴税を稼ぐ

  • 「税務署は正しい」と言う国民の誤解を利用する
  • 相手を威圧して追徴税をとっていく
  • 「税務署は何でも知っている」と恐怖心を煽る
  • 一個の矛盾を徹底的につく
  • 「あなたは国民の義務を果たしていない」と低所得者を追い詰める
  • このままでは、重罪になる」と脅す
  • 「始末書」を書かせる
  • 「調査が長引く」と脅す
  • おとなしそうな相手からはとことんふんだくる

その反対に、

  • 税務署に対して武装しているものには遠慮
  • 「税金の払いすぎ」は黙殺する

国が雇っているヤクザと自嘲する税務署員


税金を払わせるためのイメージ戦略

「あなたの子供に100万円の税金が使われている」という殺し文句
→かなり盛りすぎで精査するとわかるがウソ。
→給食1食900円もするのは給食関連費が地域の利権

「税制赤字」「社会保障の財源が必要」と言うウソ
→巨額の公共事業によって生じたもの
→一部の業者が一時的に潤うが、長期的には誰も得をしない

生活保護に関する偏向報道
生活保護の予算は精神国で最低レベル
→市民が生活保護を申請しようとしても、役所の担当者が窓口で追い返すと言う悪しき習慣

悪魔の手口「源泉徴収制度」

あらゆる税金の中でダントツに徴税コストが安いのが、源泉徴収税。
確実かつ徴税コストの安いシステム。
徴税しなくても自動的に入っていくる税金。

消費税は最強のビジネスモデル

堀江貴文さんはかつて言ったそうです。
そして低所得者ほど消費税の負担率が高いのです。

 

この本を読んでみて思うところ

元税務署ですから、生々しい話が結構あります。
サラリーマンだと経験はないものの、日々税務調査官とやりあっている税理士の先生たちはこの辺の事情に詳しいでしょう。
私も今はサラリーマンですが、過去は父と家業をしていました。
当時、税理士の先生もいたのですが、先生が言っていた言葉の裏付が取れた気がします。
税理士と税務署員は表裏一体です。
もうそこには公正とか真実とかどうでもいいのです。
税理士「ぶっちゃけた話、なんぼほど持って帰りたいん?」
税務署員「そやな、〇〇円ほどはほしい」
みたいなやり取りがあるんでしょう。

そして税理士いわく、適当に穴を作っておいたほうが良いとか。
つまりどれだけきちんとミスなく申告しても、彼らは面白くない。
いくら持って帰れるかのみに興味があるので、指摘できるところをあえて作っておいたほうが良いというのです。
それを見つけた税務署員は「ニマ~」と笑って、追徴税を求めていくんです。
これを「お土産」と称して、税務調査が入ったら、「お見上げ〇〇万円くらいお願いします」ということなんですね。
税理士と税務調査官は持ちつ持たれつということで、これもどうなの?と思うのです。

さて末端の税務調査の話だけではなく、税金の使いみちについてもこの本には厳しい指摘があります。
国民一人ひとりが納税しているので、その使いみちについてもっと厳しい目を向けるべきでしょう。
無駄な公共事業は麻薬と同じで、健康な体、つまり真っ当な経済を破壊します。
富裕層への優遇も健全な経済発展には結びつきません。
ましてや富裕層や特権階級への忖度、特別な配慮はやはり許すべきではありません。
とはいえ、現実にはその逆ばかりになっている気がします。
マスコミ自体が、彼ら富裕層の御用聞きのようになっており、健全ではないとも感じますね。

生活保護についても、受給者を叩く風潮がありますが、世界の先進国を見てみると日本は最低レベルです。
コロナウイルスの対策を見ていて、この国の国民を守ろうという意識は見せかけだと気づきます。
一般的な働く人達、ピラミッドの下半分を支える大部分の人は真面目でおとなしく、それほど抵抗しませんが、牙を抜かれ、活力も失いかけていますね。


 

 

 

 

 

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