悪魔の尻尾

みなさ~ん、元気にしておりますか?

夜明けのすべて 原作者のファンを公言している上白石萌音さん主演の映画

画像は公式サイトより

以前瀬尾まいこさん原作の本を読みました。
妻がU-Nextで見たというので、私もその後視聴しました。

 

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映画化にあたってよくあることなのですが、設定などの変更というのがあります。
この映画も原作とは異なり、会社名も栗田金属ではなくて栗田科学です。
そしてこの映画の中ではプラネタリウム(移動式プラネタリウム)で星空の上映会をするというのが二人がこの会社で行った共同作業なんですね。
そんなことは原作には全然なかったと思うのですが、何故か違和感がありません。
それくらい原作のテーストは守られているというか、活かされています。
時折原作を改変して、原型がなくなって、タイトルだけが原作から残った作品みたいな映画もあるのですが、この映画はそういった点では原作ファンにも許してもらえると思います。
本の中でも主人公の藤沢美紗が、山添孝俊のアパートの押しかけて行った際に、髪の毛をカットするシーンがありましたが、この映画でも見どころの一つになるシーンです。
それほど大きな盛り上がりがあるストーリーでもなく、もちろんどんでん返しなどがあるような仕掛けもありません。
でもなぜだか主人公たちを応援したくなる、そんな物語なんですね。
原作では、藤沢さんと山添くんの微妙な恋愛への発展も期待するような展開で、それが進まずに終了みたいなところが妻には不満でした。
原作本を読んだ後の妻の感想は、尻切れトンボというものでした。
ただ、だからといって悪い本ではなく、面白かったとのこと。
二人の関係の続きが知りたいってことなんでしょうかね。
わからないでもない。
私も個人的にはハッピーエンドで締めくくってくれる方がなんだかスッキリした気分になる方ですね。
ちなみに映画では、二人の関係はどうなのかというと、そんな匂わせもありませんでした。
そもそも恋愛映画でもなく、中途半端に描くそういった要素は不要と判断したのでしょう。
それは正解だと思います。
内容はシリアスです。
PMS月経前症候群)の主人公藤沢美紗(上白石萌音)とパニック障害の山添孝俊(松村北斗)が病気で苦しんでいる映画なのですが、二人には病気という共通項があります。
もちろん病気自体は全然別物ですし、一緒くたにされたくないといった表現も出てきます。
ただ、二人は精神的な病という点でお互いを思いやることができるんですね。
そこから普通に恋愛に発展しないところがこの物語の味噌なのでしょうね。
ワクワクするような楽しい映画、というわけではないですが、淡々と描かれる二人の姿になんだかこちらが癒やされるような感じです。
そしてこの会社にいる社員さんがみんな善人。
特に代表者である栗田社長(光石研)の人柄は素晴らしいです。
大事な弟を仕事で失った反省から、社是というか朝礼の挨拶は「無理なく、けがなく、安全に~」なんですね。


気になった点はこの映画の画質です。
最近の映画では機材も素晴らしく、映像技術というか、編集なども素晴らしいので目が肥えてしまったせいもあると思うのですが、この映画の画質についてはちょっといただけないと思いました。
監督は、あえてこういうざらついた画質で表現したかったのだろうと思いますが、その理由がよくわかりません。
映画という作品は監督のものでもあるので、何らかの意図があるんだろうとは思うのですが、主役のズームアップを静止画のように長い時間流したり、あえて薄暗い画像を無音で見せられたりと言うのが邦画にはあって、そういうのがあまり好きではないのです。
きれいな画質で良かったのになぜか自主制作映画のような汚い画質にしてしまったのか?そんな感じです。

主演の上白石萌音さん、松村北斗さんなどの演技は悪くないです。
どちらも大袈裟な感じでもなくシンプルにこの難しい役柄をこなしていたと思います。
この映画を支えているのが、脇役ですが、栗田科学の社長を演じた光石研さんがやっぱりベテラン演技派らしく、素敵でしたね。
こんなに優しい社長さんのもとで働けたら、お金じゃない気がしますね。
(と言いながらもお金の目的なしには働けませんけどね)

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