悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

映画版 忍びの国

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和田竜さんの「忍びの国」という小説。
とても面白かったのです。
時代劇小説のニューウェーブとでも言うのでしょうか?

 

tails-of-devil.hatenablog.com

 


Amzonプライムビデオの登場したので、興味があるので見てみました。

原作はとても面白く、映画もある意味原作に忠実です。

であれば、面白いでしょう?

普通はそう思いますよね。

確かに、つまらない映画とは言いませんが、全体に漂うチープな印象は拭いきれません。

この映画、制作側や俳優さんは皆さん頑張っていらっしゃると思います。
主人公の無紋を演じる嵐のリーダーだった大野智さんも頑張っていました。
裏切り者の抜け忍を演じる鈴木亮平さんも渋かったです。
日置大膳を演じる伊勢谷友介さんもめちゃくちゃ格好良かったですが、なんか違うんです。

うまく言葉に表す文章力があればいいのですが、とにかくチープです。
この映画の製作費がいくらだったのかはわかりません。
せめて予算の10倍くらいのお金を突っ込んで、セットや特撮にもっとお金をかけて素晴らしいものを作るとすれば、映画ファンを魅了するような面白いものが出来上がったでしょう。

当然主役のキャストはジャニーズはありえません。
大野智さんが嫌いなわけでもないのですが、彼もかわいそうだとおもいます。
監督さんから、「普段どおりの大野くんでやってください」とのこと。

そんな物見せられて喜ぶのはジャニーズファンだけでしょう。

血なまぐさい戦国の世の中。
しかも銭で人殺しを請け負う、「人でなし」が忍びであって、キラキラとした笑顔とか要らんのです。

美人の嫁に頭が上がらないという設定は原作も同じなのでいいとしても、ちょっと作りに深みがない。
和田竜さんの原作が台無しになっている気がします。

大野智さんもアクションという点ではとても頑張っています。
ワイヤーアクションや剣術なども無難にこなしていますが、本来忍者は「忍ぶ」ものです。
全く忍ばない忍者たち。
チープです。

この映画は人でなしの伊賀の忍びたち、それを束ねる十二評定衆を描いている作品ですが、見せ所はアイドルの笑顔ではないはず。
アクションに次ぐアクションで特撮で驚くようなシーンの連続という場面があって叱るべきです。

忍ばない忍びがヘラヘラしている姿を見て違和感を感じます。
そして監督がアイドル俳優への演技指導を、「そのまんま演じて」って、ふざけていますね。

確かに伊賀一の忍びである無門のキャラに大野智さんがあっているのかもしれませんが、普段どおりで良いなんてことはないでしょう。

大野智さんも監督から「ああして、こうして、心理描写はこうで」という指示が欲しかったと思います。
役者として普段どおりに演じてくれって、つまらないでしょう。

無門はただただ強く、銭さえ貰えれば誰にでも雇われる忍びです。
飄々としているというのは原作通りですが、それでも命の遣り取りをする忍者なのです。
白昼堂々と真っ向勝負をするなんて、忍者の戦いではありません。
ましてや爽やかな笑顔と軽いセリフは違和感ありすぎです。
大野智さんのキャラにあっているとしても、きちんと演出はすべきです。

この映画が大野智さんというタレントの人気に乗っかっているアイドル映画ならそれもいいです。
しかし、原作に期待している映画ファンにとってはがっかりでしょう。

演じている大野智さんに対しても、あんな演出をしているのなら、失礼な気がします。

唸らせるようなアクションシーンは皆無。
みんな派手なハリウッド映画のアクションシーンを見慣れていて、目が肥えています。
中途半端なアクションはものすごくしょぼく感じてしまうのです。

俳優陣は頑張っていると思うのですが、いかんせん、映像に工夫が感じられません。
ロケ地やセットなどもありきたりで、見ごたえがあるとは言えません。

もうこういう時代劇スペクタクルとかは作らないほうがいいでしょう。
100億円くらいの製作費の映画が当たり前の中で桁が一桁どころか二桁くらい違うので仕方がないとはいえ、チープな感じが出てしまっています。

日本映画は中途半端にマーケット規模があり、それなりに売れることを期待されるため、こじんまりとまとまった作りになってしまいます。
海外に向けて作られていないため、世界の映画のレベルからはドンドン離れてしまっているのかな?と思うのです。


 

 

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