悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

ひとまず上出来 ジェーン・スー

 

Amazonより


なんとなく面白そうで手に取った本。
電子書籍なのでもちろん物理的に手にとるわけではないけれど。
Kindle Unlimitedにあったので読んでみました。
名前から、アジア系の人、日系人を想像していたけど、普通の日本人なんですね。
騙された。
エッセイというジャンルになるのかな?
あまりこういう本は読まないのでよくわかりません。
女性のエッセイを読んで見て考え方を知るのもいいですが、そんな目的がなくてダラダラ読んでも面白いと思います。

一つ一つのエッセイはどれも短い内容で読みやすいのですが、なかなか鋭いというか激しい表現も多数あって、ためになる話。
いや、そんなにためにもならないかな?あくまでこのキャリアウーマン(古い言葉)であるジェーン・スーさんの生き様がわかるというか、男性目線からは絶対にかけないであろう話がたくさん書かれています。
そして面白い。
きっと男性というか爺のわたしが読んでも面白いのですから、同世代の女性が読んだら抱腹絶倒する話題なのかも。
あるいは引き笑いになってしまうかも。
全部で50話とたっぷり詰まっていますが、あくまでエッセイ。
大体3ページ分くらいの文章でサクッと読めます。

女性だけじゃなく、男性も同じだなと思うんですね。
加齢による衰えやらゴシップが実は好きな人間だったりとか、生くさい話がありますが、人間の奥底に潜む部分を鋭い舌鋒で書いてくれています。
美容や恋愛といった点は女性ならではで男性にはない感覚の部分ももちろんありますが、男女問わず正論も散りばめられていたりして、読んでいて楽しかったですね。
あまりに自分に近い部分をえぐられてしまうと辛いかもしれませんが。


ちょっとイケてた(と感じた)文章など抜粋してみました。
流石に物書きの方は表現が独特で格好いいですね。

数時間後の楽しさより、いまこの瞬間のめんどくささが勝つのが四十代。

わかりますね。
50代になるともっとですよ~。

 

四十代と二十代に違いで言えば、いまは特に、生活に苦労しているように見られたくないという思いがあります。突き詰めれば、どちらも「十分に人生を楽しめていなそう」に見えるのが嫌ということか。

20代の頃にはSNSなんてものがなかったので苦労もなかったですが、「人生を楽しめていない」ように見られるのは結構辛いと思います。
Facebookとかでリア充自慢大会のようなものを見るのもしんどいので私は今はFacebookからは少し離れていますね。

 

自分を不幸せなところにおいたままにしない。自分で選択したことの責任を取る。大人の責務って、この二つくらいだものね。

そのとおりだと思いつつ、責任を取らない人ほど上にいるという現状を恨めしく思います。
この国が駄目になるわな、それじゃ。

 

存在しない「正解」を探すくせがやめられない。

完璧な「正解」なんてものはなく、折り合いをつけていくのが人生ってもんやろう~と思いつつも人間はいつまでも「正解」を追い続けるのでしょうかね。

 

褒められるのは嬉しいが、注目されるのは嫌。キラキラしたいけれど、あんまり見ないでほしい。

大分枯れたおっさんの私でもそういうところはありますが、女性は特にそうなのでしょうか。
わがままですよね。

 

婚外恋愛において当事者が背負うリスクは法外ですが、傍観者はノーリスク。このリスク格差が大きいものほど、下世話なネタは熱を帯びる。

芸能人の不倫ネタは庶民の娯楽の王道ですよね。
(ゲスいなと思いつつ)

 

お仲間がかばい合って不正をなかったコトにするのも、オーバーキルが横行するのも、私が望む社会ではない。立ち返れば、性別や人種や国籍、性的指向といった自分の意志では変えられないことに由来する差別、不当ないじめやハラスメントを放置しないことが何よりの原理原則でしょう。

難しいですね。
悪いことは公正に処置をしなければならないのですが、人間関係が深いと手心を加えてしまうものです。
逆に人間関係がない人に対しては必要以上に厳しく処置をしてしまうのもどうなのか?考えさせられます。

 

最初は心の底から傷ついていたはずなのに、一日も速くこんな自分とはオサラバしたいはずなのに、だんだんと「傷ついている自分」を手放せなくなっていく。手放したら、自分がそこにいた痕跡すらなくなるのではないかと不安で仕方がなくなってしまう。正しい弔いが終わっていないからなんでしょう。

可哀想な自分を演じていることによってしまうという「あるある」ですね。
そこから抜け出せない人は可哀想な出来事を正しく弔うことができなかったからだと著者は説いています。

 

自己憐憫と自己陶酔の掛け合わせは、泥酔して風呂に浸かるような危険行為。

可哀想な自分を演じることによってしまう人はたしかに危険。
近寄ってはいけないですね。(誰か親しい人は止めてあげて~)

 

これは「頑張った努力が報われる」に「報われないのは個人の資質不足」の誤ったルビが勝手に振られたから起こる悲劇。

ありますよね。言葉尻をつかまえて余計な解説をしてくれる人。
そんな事は言ってないって~!

 

これは真実と事実の違い。事実は一つしかないけれど、真実は人の数だけ存在するってやつ。

その人の真実は他人から見たら正反対だったり、可哀想に見えたりもしますね。

 

 

 

 

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