悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

海を抱いたビー玉 森沢明夫

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休みたいな~と最近激しく思うことがあります。
帰宅が遅くて、自宅で時間があんまり取れないのですね。

森沢明夫さんの本です。
いつも通り通勤時間を利用して電子書籍で読みました。
実話がベースになっているようですね。

この本の目次

プロローグ

第一章 大三島

第二章 山古志(一)

第三章 福山

第四章 湯沢

第五章 山古志(二)

エピローグ

あとがき

あらすじ

瀬戸内海にある大三島で路線バスとして働いているボンネットバス
このバスを運転する男は、海岸で拾ったなんとも言えないきれいなビー玉を見つけました。
いつしかそれは息子の手にわたります。
このボンネットバスを愛する運転手の父親とバスを自分の憩いの場所にしている息子。
この親子に愛されているバス。
やがてこのバスも引退することになります。

山古志村では大地震に見舞われました。
みんな大変な状況です。
父親同士も幼馴染で息子も同じ歳。
自然と仲良くなっていた2つの家族ですが、震災の影響で仕事が立ち行かなくなるようなのです。
親友以上、もはや兄弟のような関係であった二人は離れることになります。

ボンネットバスはやがて忘れ去られて放置されるのですが、ある人物たちによって生き返ります。
そして福山のある博物館で展示されることになりました。
ボンネットバスは博物館にある他の古い車たちと仲良くなり、幸せな日々を過ごせるようになりました。

湯沢町では、まちおこしの一環として、ネコバスを動かそうという企画をします。
そしてそのためにボンネットバスを探しているのですが、福山にあるボンネットバスは状態もよく評判でした。
早速福山の博物館に交渉します。
湯沢町の人たちの熱意が本物であることがわかり、このボンネットバス湯沢町へ行くことになりました。

湯沢町のネコバス企画。
離れていた山古志村の親友とこの企画に参加して遊びに行くことになります。




感想

日本版「カーズ」とも言えそうな内容です。
古い車たちが会話するシーンもあるのですね。
まあ、カーズは車が主人公で人間は登場しませんが、この物語はそういうものではなくてあくまで人間の物語です。
主人公のいすゞボンネットバス愛する人達によって、「ものには心がある」ということがわかってくる、そんなお話です。
もちろんこの小説で人とバスが会話するシーンはないのですが、口に出さなくてもその心は通じ合っている?と感じます。
子供の頃に大切にしていたおもちゃに対する気持ちを思い出します。


スキーで賑わう湯沢町ですが、町おこしのイベントとして「おもしろいことをやろう!」ということではじまったネコバス企画。
宮崎駿さんの映画「となりのトトロ」に出てくるネコバスをこの街に走らせようということで始まったボンネットバス探し。

このバスを愛してくれた親子とビー玉。
そしてスクラップ寸前で物置として放置されていたこのバスを蘇らせてくれた福山の人たち。
熱い情熱でボンネットバスを町おこしのために走らせようと思った湯沢町の人たち。
更には湯沢から福山、そしてさらには大三島への里帰り企画。
愛されて感謝の気持はあるけれど、それを伝えることができないボンネットバスですが、別れは彼にとってもつらいものなんですね。
でも多くの人に愛されて、そして元の瀬戸内海の大三島に帰ってくるんですね。
まさに奇跡の物語。
ファンタジー小説ですよね。
本当に幸せなボンネットバスですよね。

幸せは幸せを呼ぶ。
そういう良い意味での伝染ですね。
ほのぼのとした物語の部分と、地震という大きな天災に見舞われた山古志村の話がうまく重なって素晴らしい作品となっています。


もうすぐ還暦になる人間ですが、流石にボンネットバスに乗ったことはありません。
それでもこの歌はなぜだか知っていたりします。
私が幼い頃、母がよく歌ってくれましたね。
YouTubeにありましたので貼り付けておきましょう。
なんと中村メイコさんが歌っていたんですね。
知らなかった。
母が歌っていた歌とはちょっと違う感じですが、いいですね。


www.youtube.com





 

 

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