悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

マネーボール 野球は統計だ!

原作は読んでいませんが、セイバーメトリクスという言葉を有名にしたこの本はベストセラーとなり、映画も作られました。
ブラッド・ピット主演の映画です。



この映画の概要

監督:ベネット・ミラー

脚本:スティーヴン・ザイリアン/アーロン・ソーキン

原作:マイケル・ルイス

製作:2011年アメリ

上映時間:133分

製作費:50,000,000ドル

興行収入:110,206,000ドル

 

キャスト

ビリー・ビーン:ブラット・ピット



ピーター・ブランド:ジョナ・ヒル

 

スコット・ハッテバーグ:クリス・プラット



あらすじ

オークランド・アスレチックスはチーム一丸となってプレーオフに進出しますが、強敵ヤンキースに破れ、ワールドシリーズ出場を逃します。
その後、アスレチックスのスター選手であるジェイソン・ジアンビ、ジョニー・デイモン。ジェイソン・イズリングハウゼンの3選手が他のチームへFAで流出。
次のシーズンで闘うためにチームの編成からやり直さなければならなくなります。

GM(ゼネラルマネージャー)であるビリー・ビーンはかつては超高校級の選手で、期待を集めてドラフト1位で指名されます。
名門スタンフォード大学には奨学金付きで入学ができたのですが、スカウトの誘いに応じて進学を諦め、プロの世界へ足を踏み入れます。
ビリーは結局選手としては実績を残せず、スカウトとして球団に残って仕事をし、今はGMとなっています。

アスレチックスは貧乏球団であり、金持ち球団のヤンキースのように高額年棒をちらつかせてスター選手を分捕るということができません。
良い素材を見つけてはじっくりと育てて、戦力にして戦っているのです。
スターに育て上げた選手がFAで次々と別のチームに移籍します。
ジョニー・デイモン、ジェイソン・ジアンビ、ジェイソン・イズリングハウゼンというアスレチックスのスター選手が一気に離れてしまうのです。

これまでの戦力から大きく落ちるチーム力。
スカウトたちも現実を受け止め、ああでもないこうでもないと話し合いを進めていますが、結論が出ません。
チーム編成の責任者でもあるGMのビリーは、オーナーに交渉するものの、お金は出してもらえません。
インディアンスにトレード、あるいは選手を放出することで資金を捻出しようとしますが、それもなかなかうまくはいかない状況でした。
インディアンスとの交渉の席にいたのが、野球とは無縁そうな若いピーター・ブランド。
彼は名門イエール大学卒業のエリートでした。
彼はセイバーメトリクスの信者であり、野球選手の評価を数字で「正しく」評価すべきだという持論を持っています。
ビリーは彼に興味を持ち、選手ではなく自分の参謀として彼を引き抜いてくるのでした。
ピーターはこれまでの打率などの評価だけではなく、勝利のための数字を見直し、そのための選手を揃えるべきだということを進言します。
ピーターは早速あらゆる選手を数値化し、格安でくすぶっている人材にスポットを当てます。
貧乏球団であるアスレチックスもそういう選手は獲得が可能でした。
しかし、旧来のスカウト陣はピーターを良しとしません。
また1年契約の監督もGMの方針を理解していないのか、ピーターとともに考えた人材を利用しようとしないのです。
開幕から負けが込み、いよいよ窮地に立つビリー。
しかしピーターとともに己を信じ、さらなるチーム編成をするのです。
これにはみんなGMやピーターを批判しましたが、彼は古い考えのスカウトをクビにし、監督にも使わざるをえないような布陣にします。
すると、ピーターやビリーが期待した選手が活躍を始め、チームの雰囲気も向上。
なんと20連勝という記録を打ち立てます。

感想

いいですね。
野球の物語です。
マネーボール」という小説は読んでいませんが、有名ですね。
興味がわきます。
セイバーメトリクスというのも言葉は知っています。
最近は日本でもメジャー志向の選手が増え、大谷選手がメジャーでも大スターとなったことから、日本プロ野球以上にメジャーのニュースが流れるような時代になりました。
なのでこれまであまり馴染みのなかったOPSやWHIPなどという指標は私も知っています。
首位打者を獲得するのは素晴らしいことです。
ホームランや打点もそうです。
この3部門のタイトルは非常に高く評価されますが、野球はチームプレイであり、個人タイトルのためにチームが崩壊するようでは本末転倒です。
ホームラン王を狙うあまり、強引なバッティングで本当はフォアボールでもいいから出塁して欲しいところを凡退する、と言うのは現実の野球でもよくあることです。
打率が3割には到底届かなくても選球眼がよく、際どい球はファウルで粘ったり出来るバッターはフォアボールを獲得する確率がぐっと高くなります。
考えてみれば、ヒットで出塁するのもフォアボールで出塁するのもチームの勝利にとってはそれほど変わらないものです。
WBC勝戦のことを思い出します。
ダルビッシュ選手からホームランを放ったシュワーバー選手。
ホームランは褒められるべき結果ですが、私はその前の打席でノースリーからセンターフライを打ち上げた場面が勝負のポイントの一つだったと思っています。
日本代表で最も若い高橋宏斗投手が2アウトを取っていたとはいえ、その後2人のランナーを許し、苦しいマウンドでした。
強打者の5番シュワーバー選手を迎えて、ノースリーと絶体絶命のピンチ。
もし歩かせると次は当たりに当たっているターナー選手。
ノースリーのカウントはバッターにとっては圧倒的に有利です。
投手は必ずストライクを取りに来ますから、見逃せばボールになるという球は投げてきませんからね。
しかし、チームの勝利を考えるとヒッティングはワンスリーのカウントからでも良かったわけです。
もしフォアボールを選んでいたら、日本の勝利はなかったかもしれません。

この映画は少し前の時代の話になりますが、つい最近まで日本のプロ野球もデータを軽視していたのではないでしょうか。
野球の経験のある人が、経験則によって現場を仕切る。
それはそれで悪いことではありませんが、膨大なデータから法則性を導き出し、勝利のためにその統計を利用する。
これもまたプロフェッショナルと言えると思いました。

オークランド・アスレチックスといえば、私の中では貧乏球団というイメージはなかったです。
むしろかつて強かった時代、カンセコ、マグワイヤという超がつく大砲を2門揃え、リッキー・ヘンダーソンというリードオフマンがいました。
むちゃくちゃ強かったイメージなんですね。
それが今や、ボロボロですね。
17勝50敗です。
あんなにボロボロな藤浪投手が投げさせてもらえるのもチーム事情があるのでしょう。
最近3勝目を上げ、チームトップの勝ち星というのもなんだかなあ、と思います。
防御率が10点を超えていて、それでもメジャーで投げさせてもらえているというのも不思議な気がします。
藤浪投手もひどいですが、チーム成績も相当にひどいです。
当然リーグではぶっちぎりの最下位です。
160キロを超える速球を投げられる投手なのですが、ストライクが入らず、フォアボールでランナーを貯め、カウントを取りに行く、いわゆる置きに行くという球を狙われて痛打を浴びるという阪神時代のそのままの状態ですね。

随分と脱線しましたが、映画はとても面白かったです。
野球が好き、ストーブリーグネタが好きという人は楽しめること間違いなしでしょうね。
原作の本もベストセラーなので、読みたくなってきましたね。

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