悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

引退する人、期待の新人

先日、ヤクルト、ドジャース、西武と活躍した石井一久投手が引退表明した。
ヤクルトの黄金時代を支えた球界を代表するサウスポーだった。
球は速く、スライダーやカーブの切れも抜群で若い頃から大物の片鱗をのぞかせていた。しかしノーコン病。いい時と悪い時がはっきりしている投手だったが、この歳までプロで活躍できたところを見ると、力だけで抑えるのではなく、しっかりとしたコントロールと組み立ても持っていたのだろう。
古田曰く、指示はストライクかボールかで細かいコースや高低などは出さなかったというくらいだから若いときは本当にコントロールが悪かったのだろう。
それでいてアレだけ抑えこんだり、大事な試合でノーヒットノーランをやり遂げたりするのだから大したものだ。
タレント性もあり、タレント神田うのとの噂も。どこか間抜けで憎めない、お馬鹿キャラだった。
人気のあった女子アナの木佐彩子と結婚。
野球人としては素晴らしい人生だったと思う。第2の人生は吉本興業だとか…。その辺りも普通の解説者ではなく、石井らしいとも言える。

そして同じヤクルトから宮本も引退表明。もっともすでに宮本の場合、昨年の時点で引退と言ってもいいくらい。今はコーチ兼任だし、今後もチームのコーチとして、将来は監督候補?
職人らしい守備とバッティングで長年に渡りレギュラーを努めた。地味な人。
PL学園出身で中村監督からの評価も高かったようだが、いかんせん地味。大学、社会人を経てプロ入り。
プロ入り後も着実に成長し、地味ながらチームの主力選手となっていく。

中日、オリックス楽天、そして中日に戻ってきた山崎も今年で引退。
中日時代に獲得したホームラン王。楽天時代にはチームを引っ張る大黒柱として活躍した。
豪快な一髪がある反面荒いというイメージが先行するが、ベテランの味で、相手の心理を読んで打つのが旨いという印象。特に楽天時代。
終わった選手という印象を一掃し、大活躍した40代であった。ホームラン王と打点王の2冠王。
プロ野球選手として在籍27年。恐ろしく長生きな選手である。入団当初から出場機会をつかむまでの苦労が長く、レギュラーを獲得した後も控えに回されることが多いなど若いときは信頼されていなかったのだろう。通常の選手は引退してしまう頃から輝きを取り戻した遅咲きの選手、中年の星であった。

阪神、桧山も引退。もっと早くに引退すべきだった気もするが、上の二人と比べるとタイトルなどにも全く縁のない全然地味な選手。
吉田義男の贔屓で4番に座っていた時もあったが、考えれば桧山クラスが4番ということだから阪神の暗黒時代でもある。
選手会長も努め、人望もあったのだろう。常にレギュラーではなく、控えに回ったり、することもおおかった。
それでもこの歳までプロ野球選手として存在し続けたのはすごいことだろうと思う。お疲れ様です。

ミスターカープ前田智徳も引退。彼ももっと早くに引退しても良かったかもしれないが、野球人として出来る間は続けたかったのだろう。
孤高の天才と言われ、バッティング技術はよくスーパースターのイチローなどと比べられた。まさに日本プロ野球が誇るバットマンだった。
足も速く、守備も一流。走攻守三拍子揃った選手でもある。そういった点でもイチローと比べられる所以かも。
アキレス腱断絶という野球人生が終わってしまう状況の中、野球人を継続。怪我さえなければ、記録にも記憶にも残る選手となっていただろうと思う。
多くのプロ野球選手、長嶋、落合などの一流の人からも天才と言われるほどの野球センスを持っていた。これだけの選手が主要な打撃タイトルを取れなかったのはまさに不運としか言いようがない。ホームランバーッターでないので、そのタイトルはともかく、首位打者に2-3度はなっても全くおかしくない、むしろ取るべき選手だったと思う。


さて、今年のドラフトの目玉は桐光学園松井裕樹投手である。甲子園での1試合22奪三振は高校生が相手とはいえ、ありえないほどの記録。
そしてそれがまぐれでないことはその後の試合などでも証明している。U-18の代表でも堂々たるエース。予選敗退したため最期の甲子園には出場がかなわなかったが、素晴らしい素材なのだろう。はたしていくつの球団と競合するのだろうか。
近年は大学生や社会人には逆指名というのがあるので競合が減ったとも言えるが、松井は高校生。プロ野球志望と表明し、しかも12球団OKと非常に明快である。江川や元木のように巨人じゃないといやだとかいうタイプではない。
そろそろ巨人以外はOKというようなスケールの大きな人が出てきて欲しいが、それはないか。
競合すれば獲得できる確率が低いので、そのリスクを避けて安全牌を狙うという戦術もある。
「指名しますのでその時はどうぞよろしく」なんてスカウトが頭を下げに来たりしたものの、編成会議で指名せず、号泣するドラフト候補なども何度も見てきた。
松井以外には大学生の大瀬良大地、社会人の吉田一将、大阪桐蔭の捕手の森などが評価が高い。個人的には圧倒的に松井だと思う。
今年の新人、つまり昨年のドラフトは豊作だった。巨人の菅野、阪神藤浪、二刀流の日ハム大谷など競合した大物の活躍もそうだが、ドラフト2位の楽天則本、同じくドラフト2位のヤクルトのライアン小川なども大活躍。どうやらこの二人が新人王を取りそうだと思う。通常の年なら他の選手も新人王をとってもおかしくない成績なのだが、ドラフト2位の二人の活躍がすごすぎる。

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