悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

蓬莱 今野敏

グアムから帰ってきて、まだ遊びモードが抜けきりません。
これじゃいかんと思うのですけどね。

ワールドカップも終了し、楽しみも一つ減ってしまいました。
年末まで後わずかな時間は仕事中心になりそうです。
今年も夜警で近所を周る予定ですが、12月には前半にかなり休みがありましたので、年末まで余り休みが取れそうにありません。


さて以前に読み終えた本です。

今野敏さんの小説は余り読んでいませんが、いずれも面白いです。
今回読んだこの小説も、ゲームソフトを作る零細企業の社長が暴力団に脅されたことから始まります。

登場人物

渡瀬邦男
この物語の主人公。
ゲーム制作会社「ワタセ・ワークス」の代表取締役

沖田陽一
「ワタセ・ワークス」の副社長でチーフ・プログラマー
渡瀬のサラリーマン時代の同僚。
非常に頭がよく、渡瀬は彼を天才だと思っています。

村井友彦
若手のプログラマーで、職人肌。
会社の経営などプログラムと関係ないことには興味がありません。

大木守
沖田が目をかけている若手プログラマー
奇抜なアイデアをもっており、交友関係も広い人物です。
「蓬莱」というソフトウェアを作った人物です。

戸上舞
この会社の紅一点で、庶務など雑用はすべて「マイちゃん」が行っています。
有能なOL。

安積剛志
警視庁神南署の刑事。
出世コースからは外れ、妻とも離婚しているなど私生活は順風満帆とはいい難いです。
しかし部下に慕われ、事件の解決に対してはただ黙々と仕事をこなす人物。

須田三郎
安積の部下でだらしなく太っています。
体型も考え方も、およそ刑事らしくない人物ですが安積の信頼の厚い人物です。


黒木和也
こちら蓮田とは違って体育会系の引き締まったタイプ。
タイプは違えど、チョウさんこと安積の充実な部下です。

滝川謙治
ワタセワークスの専属の弁護士。

坂本建造
「サムタイム」というバーのマスター。
物静かでバーテンとしては一流ですが、過去のある人物。


あらすじ

渡瀬邦男は従業員5名の小さなソフトウェアの会社の経営者です。
静かな「サムタイム」というバーをとても気に入っており、仕事の後に、ここでくつろいでいます。
そこにやってきたのはこの店に似合わないガラの悪そうな二人組の男。
この店のマスターである坂本建造は渡瀬に注意を促しますが、渡瀬は彼らと一緒に店を出ました。
そしてひどい暴行を受け、高級車に乗ったままの彼らのボスらしき人から忠告されます。
今、パソコン用に販売している「蓬莱」というゲーム・ソフトウェアをテレビゲームであるスーパーファミコンで販売しようとしているのですが、それをやめろということでした。
やめないとどうなるかわからないという「脅し」ですが、その男はスモークガラス腰出会ったため、姿は見えませんでした。

渡瀬は悩みました。
脅しに屈するのか、それを乗り越えるのか?
小さな会社で一つの大きなビジネスを失うことは会社が潰れてしまうことになるため、彼は戦うことを決心します。
黙っていようかどうかも悩みましたが、結局、腹心の沖田と弁護士の滝川に相談をします。

「蓬莱」というソフトウェアを考え、作った中心人物は沖田が目をかけていた若手プログラマーの大木でしたが、駅のホームで事故にあってなくなったという報告を受けます。
それを知らせに来たのは、安積という刑事でした。

無愛想な安積に期待はできないと思っていたのですが、弁護士の滝川は、無愛想だが、彼はやるとなればとことんやる男だと告げます。

感想

いやあ、面白かったですね。
ネタ的にもゲームソフトを作る零細企業が舞台で、その黒幕が権力者という構図です。
やや強引な気もしないでもないですが、ストーリーのテンポや展開がよくどんどん読み薦めてしまいます。
また主人公は全く喧嘩などはやったことがない、一般人なのですが、それを支えるキャラクターがまた渋いのです。

警察の安積剛志という人物はとても有名な人らしいですね。
あのドラマや映画になっている「ハンチョウ」なんですね。
私は映画もドラマも見ていませんし、本も読んでいませんが、人気のシリーズですよね。
知っていたら、佐々木蔵之介さんのイメージになってしまうのでしょうが、私は俳優さんが頭に浮かぶことはなかったですね。
無愛想でとっつきにくい刑事という人物で、主人公の渡瀬からは余り期待されていませんでしたが、長いものにただ巻かれるという「組織」の人間としての警察官ではなく、本当の正義のために労を惜しまない人物を描ききっています。
決して腕っぷしが強いわけでも天才的な推理を持っているわけでもないですが、実直に仕事をこなしていく正しい警察官のあるべき姿に感動しますね。

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