ワールドカップモードでサッカー観戦ばかり!というわけではなく、生で試合を見られたのは、ドイツ戦の後半と、今さきほど終わったばかりのサウジアラビアvsポーランド戦だけです。
帰宅が毎日遅いので、サッカーが見られない状態が続いています。
明日も仕事なので、前試合よりも開始時間が速いこともあり、見ることは絶望的ですが、応援はしています。
中山七里さんの小説です。
「護られなかった者たちへ」「総理にされた男」
どちらも読み応えがありました。
ちょっと違いはあるものの、きちんとオチがあって、救いがあります。
だからといって読後感がとても良いのか?と言うと内容が悲しいので、爽快感があるとはいえないですね。
これら2つの作品も面白かったのですが、足して2で割ったような感じですかね。
この本の目次
一 誘拐報道
二 協定解除
三 大誤報
四 粛清
五 懺悔
登場人物
朝倉多香美
主人公。
入社2年目の駆け出しの記者
里谷太一
多香美とペアを組む先輩。
番組の記者としてはエースで、常にとくダネを狙っているように見えますが…
東良綾香
誘拐事件に巻き込まれた現役女子高生。
宮藤賢次
警視庁捜査一課の刑事。
あらすじ
報道番組の「アフタヌーンJAPAN]。
キャリアの浅い朝倉多香美は、スクープを追いかけ、ジャーナリストとしての夢を描いています。
コンビを組むのはやり手の記者の里谷太一です。
あ「アフタヌーンJAPAN」がやらかしたことはこれまでにもいくつかありましたが、立て続けに問題を起こしてしまいます。
現場で働く里谷のような記者や番組を作るプロデューサーにとっては、そういう厳しい状況を打開するのはやはり「スクープ「」でした。
番組を盛り上げ、視聴率を稼ぐためにも狙うのは他社が得ていない情報をすっぱ抜くことです。
都内で女子高生が誘拐事件に巻き込まれ、身代金1億円を要求されます。
早速里谷と多香美は動き始めます。
警視庁の敏腕刑事の宮藤の動きを追えば、確かなネタにありつけると里谷は考えているのでした。
誘拐事件は最悪の展開を迎えます。
誘拐された女子高生、東良綾香は死体となって発見されたのでした。
被害者東良綾香の在籍する学校を調査する宮藤刑事の動きから、里谷と多香美は学校周辺、特に交友関係を調べ、貴重な情報を入手します。
非行グループと関わる交友関係、彼らを独自に調査するうちに貴重な音声を秘密裏に入手することに成功した里谷と多香美。
里谷はまだ裏が取れていないことに不安を持っていましたが、多香美はスクープをゲットした興奮を抑えきれず、番組プロデューサーに取材した内容を隠すことができない状況になります。
色めきだつ「アフタヌーンJAPAN」の番組は視聴率アップで攻めの姿勢に転じますが…・
感想
タイトルからはどんな小説なのか全くわかりませんでしたが、読んでみるとなかなか深いお話でした。
マスコミ、某TV局の報道番組ではたらく女性を主人公にした小説です。
TVや週刊誌の報道、マスコミの姿勢について考えさせられるところの多い小説です。
ワイドショーも見たりはしますが、それらを見て、この小説の内容と同様のことを感じることもあります。
凶悪な事件、悪質な事件を煽るように報道することで視聴者を引き付けるマスコミのあり方。
報道とは本来、事実を伝えることなのですが、そこにはエンターテイメントとしての要素が求められるのがテレビや週刊誌です。
特にテレビでは被害者家族の肉声や容疑者とされる人の取材などの映像が流れます。
伴侶や子供を殺された家族の声を伝えることがそれほど大事なことなのか疑問に思うこともあります。
もし自分が同じ立場なら、悲しみに打ちひしがれ、「今の気持ちを教えてください」とマイクを向けてくる報道陣に対して、どんな気持ちになるのだろうと思います。
まさに報道という名を借りた、「知る権利」という建前を大御所の印籠のごとく掲げたマスコミの暴力以外の何物でもないと感じます。
そういった事件の概要をわかりやすく伝えてくれるのは、ただ見る側の人間としては興味を持ってみているだけですが、それは正義の名を語ってはいるものの、宮藤刑事の言葉通り、ただの「出歯亀」根性です。
テレビと言うメディアが視聴率という数字に支配されているため、より面白く、より興味を引くように、残酷な事件はセンセーショナルに描きますし、その家族はより悲劇的に描かれます。
マスコミはよくマスゴミと言われたりするように、質の悪い内容を大げさに表現するところがあります。
裏を返せば、視聴者がそういった情報を求めているということでもあります。
人気のあるタレントをひな壇に並べて、専門家でもないのに事件についてのコメントを喋らせているような番組に果たしてなんの意味があるんだろうかと感じますね。