悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

少年計数機 池袋ウエストゲートパークⅡ 石田衣良

池袋ウエストゲートパークの続編である。
前作よりもパワーアップしている部分もあるが、意外性はなかった。読み物としては面白い。
主人公真島誠は池袋で親の経営する小さな果実店の手伝いをする傍ら、前作で登場した年上の彼女から紹介された仕事、タウン誌のコラムを書くライターをしている。前作の流れをそのままに引き継ぎ、池袋警察署の吉岡刑事、幼馴染の署長、池袋のGボーイズ、地元のヤクザ羽沢組なども登場する。
前作の最期の「サンシャイン通り内戦(シヴィルウォー)」あたりから過激さは加速しているような気もする。
今回は電脳世界のアイドルとそのストーカーの話である「妖精の庭」から始まり、少しずつ知的な流れになるのか?と思っていたら、そうでもなかった。
「少年計数機」では学習障害のヒロキが登場。そこにはGボーイズ、羽沢組という恐ろしい組織に続いて、池袋を牛耳る豊島開発の多田三毅夫が登場。ヒロキの営利誘拐事件を解決する。
「銀十字」は羽沢と旧知の爺さんたちからの依頼。かられの老人ホームのマドンナがひったくり被害に会い、その解決に乗り出す。ちょっといい話。
「水の中の目」はこの作品の中でも中心的な存在になる。怖い人達勢揃いのなか、彼らの顔を潰す悪質な事件が発生。その事件のモチーフになっているの「女子高生コンクリート詰め殺人」ではないか。もちろん話は全然違うが、影響を受けているのは間違いない。最もバイオレンス的な作品。
読みやすいけど、ちょっと不快な表現もある。お馴染みのGボーイズの王様、安藤崇や羽沢組のサルこと斎藤富士夫も登場するが、あくまで脇役。その話ごとに出てくる人物が中心に語られる。

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