悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

バッテリー駆動時間のカタログ値

f:id:tails_of_devil:20210612190907p:plain

職場からの通勤帰りで、対面式のシートが空いておりましたので、座ると向かいは若いカップルでした。
ちょうど私の娘か、それよりも若いのでしょうか。
古い言葉ですが「アツアツ」なカップルで、ベタベタしています。
まるで眼前の私の存在は空気と同じく、いないものと言うくらいに、べったりでした。
こちらが恥ずかしくて、座席を立ちそうになるくらいでしたが、3駅ほどで向こうが先に降りてくれました。
空気の私のほうが汗をかくほど緊張しましたね。

 


パソコンのバッテリー

バッテリーの性能が上がり、モバイル機器も増えてきました。
ノートパソコンという商品も昔はラップトップパソコンと呼ばれていて、相当に重く、バッテリーで利用するには不十分な仕様でした。
新品バッテリーでも1時間くらいしか持たないパソコンというのがザラにありました。
そしてあまりマメに充電すると、すぐに使えなくなるのです。
モリー効果と言われるものですね。 

すべての性能が底上げされ、省電力化も進んだため、今やノートパソコンも電源のないところでも仕事で使えるほどに駆動時間は長くなりました。
10時間程度使えるのは当たり前となってきています。
カタログ値には、20時間~30時間という、丸一日使えそうな駆動時間を掲載しています。

その数字はとても頼もしいわけですが、鵜呑みにはできません。

 

バッテリー駆動時間のカタログ値はJEITAの測定法

ノートパソコンのバッテリー駆動時間は、JEITA2.0という電気業界が定めたバッテリー測定法に則って、測定されています。
なので、これらの数字が出鱈目だ!という気は毛頭ないのですが、現実の利用状況との乖離が進んでいると感じるわけです。

この業界(一般社団法人電子情報技術産業協会)が定めた測定法は、JEITA1.0からJEITA2.0に2014年に改定されています。
改定理由は、実際の利用状況との乖離です。

この2.0というのもそろそろ改定しないとまずいかな?と思います。
これらの駆動時間の測定は、基本的な考え方は1.0も2.0も同じです。

測定法aと測定法bを足して2で割るという方法。
負荷をかけた駆動時間と、負荷のかからない状況での駆動時間ですね。

 

測定法a 負荷のかかる測定
指定する動画ファイルを読み出しながら連続再生し、バッテリ動作開始からシャットダウンまたは休止状態に移行するまでの時間を測定する。
動画ファイルは以下のもの
動画サイズ: 1920×1080 ピクセル
動画コーデック: H.264/AVC
映像ビットレート: 10Mbps
フレームレート: 29.97fps
音声コーデック: AAC
音声ビットレート: 160kbps

画面の明るさは150cd/㎡以上
動画再生ソフトはインストールされたもの
無線LANは無線APに接続した状態
音量はミュートでも良い

測定法b 負荷がかからない状態での測定
デスクトップ画面の表示を行った状態で放置し、バッテリ動作開始からシャットダウンまたは休止状態に移行するまでの時間を測定する。

画面輝度は150cd/㎡以上

※バッテリ駆動時間は、[測定法a+測定法b]÷2 にて算出する

これが2014年似改定されたJEITAバッテリー測定法ver.2.0です。
日本のノートパソコンのバッテリー駆動時間というのはこれに則って記載されています。
これらを見ると明確ですし、凄くシンプルですね。

ver.2.0があるということはver.1.0もあったわけで、2001年に作られています。
ver.2.0よりも随分と要件が軽くなっています。

動画は
mpeg1で320✕240ドットという、今の時代のパソコンではサムネイルみたいな動画です。
画面輝度は20cd/㎡(カンデラ)。
音はミュートでも良い。
無線LANには接続してくても良い。
更には再生ソフトも問わないとのこと。
これが測定法aつまり負荷のかかる要件で、負荷のかからない測定法bはもっとゆるゆるです。
輝度は画面を消さなければ最低輝度でよのです。



駆動時間が長くなるわけ

この測定法がわかっていれば、見かけのカタログ値を上げるのは容易いのです。
測定法bは現実離れした駆動時間となり、測定法aも不要なソフトをチューニングで止めてしまえば、相当長い時間計測することができます。
こんな方法で測定するので、20時間や30時間もの時間となるわけですね。

ちなみに150カンデラって結構暗いです。
普通のディスプレイで250カンデラ以上はありますし、高輝度のタイプや液晶テレビは500カンデラくらいはあります。
ましてや20カンデラなんて暗すぎて見えません。

 

2014年に改定されるときも、メーカーとしてはゆるいver1.0での記載をできるだけカタログに載せたかったのか、しばらく併記していたのですね。
ver2.0になって数値が半分近くに下りましたが、その後CPUの省電力化やバッテリーの高機能化などによりまたまた数値は上がってきています。

今から7年前の2014年当時ではフルHDの動画の再生はそれなりに負荷が高い作業でしたが、今のCPUにすれば、それほど負荷が高い作業ではありません。
ましてや測定法bが現実の動作を無視したような仕様ですので、計算上の駆動時間は伸びるわけです。

かつて、Pentiumプロセッサの高性能さをアピールするためにインテルが言っていたのがmp3ファイルの再生をするのにわずか3%のCPUパワーで可能ということ。
今のCPUだとほとんど負荷にならないほどの動作でしょう。
JEITA ver1.0の当時の320✕240のmpeg1動画も現在のCPUでは本当に軽い処理でしょう。
フルHD(1920✕1080)の動画再生は2014年当時は結構重い処理になりますが、それらもCPU及びソフトウェアの進化によって、それほどきつい作業ではなくなりつつあります。

リモートワークでボロが出る

コロナによって、家で仕事をする人が増えました。
またノートパソコンであちこちでリモートを繋ぐ人も珍しくありません。

でもってこのリモートでの作業というのが、当たり前のように行っていますが、結構パソコンにとっては重めの処理になります。
ソフトウェアや環境などにも大きく依存しますが、例えばMicrosoft様謹製のTeamsというソフトはその重さはお墨付きです。
JEITAでの測定したバッテリー駆動時間なんて、全く当てにならないことが証明されてしまいます。
ZOOMでも同じですし、それ以外のSkypeやLINEなどでもWEBカメラを使ってオンライン飲み会などをやったりすると、バッテリーがすぐに無くなります。
カタログ値の半分どころではないです。

まあ自宅にいるときはコンセントから電気を供給するので大きな問題はないでしょうが、モバイルパソコンで持ち出してバッテリーでリモートを利用するときは要注意です。

もう一点。
バーチャル背景などの機能もCPUに負担がかかります。
そして動きや明るさなどの変化が激しい動画での通信も負荷が高まります。
同時に接続する人数が多い場合も負荷が高まります。
当たり前といえば、当たり前なのですが、カタログ値と違う!と言って、クレームになる可能性はあるわけですね。

 

Copyright ©悪魔の尻尾 All rights reserved.