悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

野球の球審

野球のテレビ中継がほとんどされないこともあり、プロ野球を見るのはたまたま中継をやっているときか、日本シリーズのようなときが多くなっています。
野球には独特の「間」があって、そこが同じようにボールを使う球技が多数あっても、根本的に違うところです。

たいていの球技は自陣から敵陣へボールを運び、ゴールを奪うものです。
そこには細かい違いはあれど、基本的には同じです。

しかし野球は攻撃側と守備側がはっきりと分かれ、その役割も全く異なります。
そういった点で、ラグビーと同じような楕円形のボールを利用するアメリカンフットボールも野球と近いかな?なんて思ったりします。
アメリカンフットボールも自陣から敵陣へボールを運んでゴール(タッチダウン)を決めるというスポーツですが、攻撃と守備が完全に分かれています。
野球の場合は3アウト。
アメリカンフットボールは4回の攻撃権。

話が脱線していますね。
野球でした。
日本の国民的スポーツでもある野球のルールを全然知らないという人は私の世代ではほとんどいないと思います。
最近の若い世代は野球に興味のない方は、ルールすらも知らない人がいるかも知れません。
守備側の中心となるのが投手で、投手の投げる球(投球)を攻撃側の打者が打つというのがこのスポーツの流れです。
打者は投げてきた球をいかに強く打ち返すか?というのが一つの技術になります。
投げる方はいかに打者に当てさせないか?あるいはまともに打たせないか?というのがその技術。
ただし、ストライクゾーンでのやりとりがあり、投手は3つのストライクを取ると打者を打ち取ることができるのです。
だから投手は際どい球を投げ分け、打者も投げてきた球を見分ける力量というものが必要なのです。

このストライクゾーンと言うのはルール上は絶対的な範囲があります。
横はホームベースの幅。
縦は打者の膝の上から脇の下まで。
それほど大きくない球を丸くて細いバットで打ち返すスポーツですから、確率的には打ち返すよりも討ち取られることが多いのですが、それでもその確率を上げるために打者は努力をし、その確率を下げるために投手もその技を極めていくのです。

だからこそ、ストライクか?ボールか?という判定はとても重要で、それを審査する球審の役割はとてつもなく大きいのです。
野球は投手で8割決まるなんてことを言われますが、裏返すと球審によって大きく差が出てしまいます。

数億円と言われる年俸をもらって野球をするプロ乗っ選手ともなれば、相当に速い球を投げるというだけでなく、ストライクゾーンギリギリに投げ分けるコントロールも持っています。
またストライクからボールになるような変化球というものを駆使して打者が打つ確率を下げていくわけですね。

確率的に不利な打者がなぜ打つことができるのか?というのも野球の醍醐味で、そこには配給を読み、「ヤマ」をはって打つタイプもいますし、来た球に自然に体が反応して打ち返すという天才肌の選手もいれば、投手の細かい癖を見抜く技術に長けた選手もいます。

こんなスポーツですから、球審の判定というものが大きく影響します。
球審のコールに不平を言ったり、不満を態度に表したりする選手がいても不思議ではありません。
もちろん不平を暴力へ訴えてはいけませんが、年に何度かはあります。
当然試合をコントロールする権限を持つ審判は暴力を引き起こす選手を退場にする権限を持っています。

スポーツでジャッジをする審判は当然強い権限があり、選手たちはそれに従わなければなりません。
どんなスポーツでもそれは絶対的なルールです。
とは言え、プロスポーツはスポーツであると同時にお客さんのための興行でもあります。
いくら完璧な審判ができても、見ていて面白くないジャッジというものもあるわけです。

サッカーの試合でよく、反則があってもそのまま試合を流すことがあります。
アドバンテージなんて言葉が使われたりしますが、反則を受けたがわが不利な状況でない場合、そのまま試合を続けたほうが良いと判断した場合ですね。
逆に悪質、危険と判断した場合は、イエローカードや場合によってはレッドカードなどを提示し、退場処分にすることができます。
野球と違うのは退場となった選手の補填は出来ず、11人でやるサッカーではカードが出されまくって選手が減ってしまった試合と言うのは観客としては面白くはありません。
審判の権限を行使することは悪いことではありませんが、安易なカード連発や退場は、興行としてみれば、大失敗なのです。

さて、またまた脱線しました。
野球での退場はひとり減って8人で~ということはありません。
退場した選手に変わって登場します。
それでもストライク、ボールの判定に不服という態度に怒るように退場をコールする審判が観客から見て素晴らしいとはいえません。
もちろん、審判の判断をないがしろにするような暴言やあからさまな悪態をつくような態度は批判の対象にはなります。
ただ、選手たちも勝つためにやっていますし、そのためにギリギリのところで技術の応酬があるわけです。

先日、完全試合男の佐々木朗希投手が白井球審の判定を不服とした態度について、様々な意見がありました。
佐々木投手が生意気だ!という意見ももちろんありましたが、どちらかというと白井球審に対する批判が大きかったと思います。
やはりプロ野球ファンは、スター選手が大好きなのです。
スター選手が絶対で、球審はスターに従えばいい!と言うつもりは全くありませんが、若い佐々木朗希投手に対する白井球審の態度を見る限り、大人げないと言われても仕方がないと思うのです。
プロ野球のスターとはいえ、まだ20歳の青年です。
きちんと指導するつもりならあとでも良かったのです。
そういう批判を気にしているのか、態度を硬化させたようなのが、今回の白井球審の退場コール。
前日にはロッテの井口監督を退場処分とし、この日は主軸のホームランバッターのレアードの退場。
もちろん野球規則にあるように、「打球がフェアかファウルか、投球がストライクかボールか、あるいは走者がアウトかセーフかという裁定に限らず、審判員の判定に基づく裁定は最終のものであるから、プレーヤー、監督、コーチ、または控えのプレーヤーが、その裁定に対して、異義を唱えることは許されない」ということについては全くもって白井球審は正しいのですが、スタンドにいるファンや中継を見ているファンはどう思うでしょうか?
つまらない試合にしてしまった原因の一つに審判あり、と言うのはどんなスポーツでも同じでしょう。
やはり選手と審判には、判定の正確さはもちろんですが、それ以上に大切なのは人としての信頼関係だと思うのです。
今やロッテと白井球審との信頼関係は崩れている状況だと思います。

審判も人間だから判断が間違うこともあります。
それは仕方がないことですが、ファンありきのスポーツ、興行であることを考えるとそんな信頼関係の築くことが出来ない審判にジャッジをやらせるというのもどうなんだろうと思ってしまうのです。

 

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