タイトルを見るとなんとなく怖そうなイメージがありますが、考えようによってはとても怖い映画です。
アサイラムと言う言葉を見て思い出すのはゲームの「バットマン・アーカム・アサイラム」ですが、そんな軽いノリで見てみたら、結構面白かったのですね。
概要
主演はケイト・ベッキンセールとジム・スタージェスということになっていますが、実際にはベン・キングスレーが全部持っていっている気もします。
この映画には最後にどんでん返しがあって、そのもやもや感がなんとkも気持ち悪いのですが、映像的にはまるでハッピーエンドなんですね。
ちなみに精神病院でのありえない、あったらとっても怖いお話です。
映画のポスターに書かれているように原作はエドガー・アラン・ポーの「タール博士とフェザー教授の療法」らしいです。
これは原作を読まないといけないかな?とも思います。
原作がエドガー・アラン・ポーなので時代背景ももちろん相当古い世界です。
1800年代後半の時代になります。
ちなみに映画の中では20世紀(1900年)を迎えたことを祝うシーンなどがありますが、時代背景を考慮する必要はそれほどありません。
キャスト
イライザ・グレイブス(ケイト・ベッキンセール)
上流階級の美しい奥様。
夫との生活でヒステリーを起こし、夫を怪我させました。
性的に触れられるとヒステリーを起こすのです。
エドワード・ニューゲート(ジム・スタージェス)
オックスフォード大学出身の若き医師。
先進的な治療を行うストーンハースト精神病院へ学ぶためにやって来ました。
サイラス・ラム(ベン・キングスレー)
ストーンハースト精神病院の院長
ミッキー・フィン(デビッド・シューリス)
ストーンハースト精神病院の警備責任者
ベンジャミン・ソルト(マイケル・ケイン)
精神科の医師。
先進医療を試みています。
あらすじ(ネタバレあり)
ストーンハースト精神病院というかなり都会から離れた場所にある、隔離された病院、病棟が舞台になるのです。
そこに訪れたのは若き医師のエドワード・ニューゲートです。
個のストーンハースト精神病院では当時先進的な治療法を試みる施設でもあり、それを学ぶためにやって来たのでした。
ストーンハースト精神病院の院長のサイラス・ラムは投薬や拘束によって病気が治癒できるのではないという方針で患者とは対話しているのでした。
エドワードは美しい患者のイライザ・グレイブスに惹かれます。
彼女は夫の激しい性要求に耐えかね、ヒステリーを起こし、夫に傷を負わせたのでした。
エドワードは食事の折に、イライザからここから脱出するように忠告を受けます。
その意味がわからなかったエドワードですが、その後、この建物の地下に人間が監禁されていることを知ります。
監禁されている彼らこそが、この病院本来の医師やスタッフであり、上の病院を仕切っているのは精神病患者たちなのです。
彼らは粗末な食事しか与えてもらえず、暖房もないため、衰弱していきます。
なんとか脱走を試みようとしますが、「警備責任者」のミッキー・フィンは猟犬のような人物ですぐに彼らを捕まえて、殺してしまいます。
ソルト医師は結局、ラム医師の実験台として電気治療を受けます。
電気治療には根拠もなく、彼の頭脳を破壊するだけなのでした。
エドワードは脱出の機会を狙っていましたが、捉えられ、電気治療をされる寸前に、ラムに自分のポケットにある写真を取り出してくれと最後の願いを告げます。
ラムはその写真を見て狂ってしまいました。
そこにはラムが精神病になった原因となった兵士の姿がありました。
エドワードは、イライザを伴ってこの病院から抜け出します。
数日後、この荒れ果てた病院に訪れるふたりの男性がいました。
イライザの夫とエドワード・ニューゲート医師でした。
先日までいたエドワードは実は精神病患者なのでした。
彼はオックスフォード大学で精神病患者に対する講義で「教材」として出されたイライザに一目惚れしたのでした。
彼女に会うために、病院を抜け出し、医者としてこの病院に潜り込んだのでした。
この映画の感想
見事な最後のどんでん返しでしたが、なんとなくその予感はありました。
後出しジャンケンみたいですが、序盤のシーンでもエドワード(と名乗る男)の行動はやはりおかしいのです。
巧妙にそのおかしいところを隠して視聴者を騙しています。
それにしてもラストシーンの映像はなんだかすごいです。
電気ショックで廃人になった元院長のソルト医師と院長になりすましていたサイラス・ラムが二人でチェスをしているのです。
シュール過ぎます。
この映画には冒頭のシーンでオックスフォード大学での講義のシーンがあります。
彼が言う言葉がそのまま真実を表しているのです。
「精神科を目指すなら、
聞いたことは信じるな。見たことは半分だけ信じろ!」
まさにそのとおりのことです。
この映画では誰の言うことも信じてはいけません。
イライザの言うこともどこまでが真実なのかわかりません。
事実としては、夫の片目をくり抜き、耳を食いちぎった女性ということです。
精神病患者が運営する精神病院。
そしてそこに学びに来た医師もまた精神病患者と言うおまけまで付いているのです。
ケイト・ベッキンセールも随分と年令を重ねましたが、相変わらず美しい女性ですね。
この作品でもその美貌に騙されてはいけないと冒頭のシーンでもあります。
「アンダーワールド」シリーズや「ヴァン・ヘルシング」での印象が強く、美しくてもなにか危険な匂いがプンプンする女優さんです。
もうひとりの主人公のジム・スタージェスですが、個人的にはほとんど知らない俳優です。
実質彼を中心にストーリーは進んでいくんです。
「ブーリン家の姉妹」などに出ていたそうです。
ベン・キングズレーは名優ですのでいまさらですが、この病院を乗っ取った精神病患者で、実質この精神病院のボスとなっています。
しかし、やはり精神病患者で病んでおり、1枚の写真が彼の心に突き刺さるのです。
ベン・キングズレーはアイアンマン3では偽のテロリスト、マンダリンを見事に演じていました。
「ヒューゴと不思議な発明」と言う映画でも貴重なオジサンを演じていました。
私の中では印象が強い俳優さんですね。
この映画で重要な役割を演じているのがミッキー・フィン役のデビッド・シューリスです。
どこかで見たことがあると思っていたら、ハリーポッターシリーズでルーピン先生を演じていた役者さんです。
なかなか気持ち悪い人間、恐ろしい人間を演じています。
この精神病院を牛耳っているのが、頭脳ではラムであり、荒ごとを実行するのはミッキー・フィンなのです。
このミッキー・フィンと言う名前は毒殺者を表す言葉だそうで、それだけでも異常ですね。
先進的医療ということで精神病患者を痛めつけていたのが元院長であるソルト医師。
演じていたのは名優のマイケル・ケインです。
このあたりとなると存在だけでも重厚感がありますね。
この映画は内容こそ恐ろしいですが、映像的にはショッキングなところはあまりありません。
ホラーというよりはサスペンスですね。
派手なシーンが欲しい人には物足りないかもしれませんが、グロシーンなど、そういうものを好まない人でも全く問題なく見ることができます。
余談
商品の紹介でDVDや本など「監禁病棟」で検索すると、ホラーやサスペンスが出てきますが、「監禁」で検索すると一気にエロになりますね。
ホラー系もよく見るのですが、監禁とかのホラーはちょっと好きにはなれません。
SAWシリーズとかですね。
グロいスプラッター映画なども割と普通に見られるようになったのは、大学時代の友人の影響ですね。