悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

小暮写真館(上) 宮部みゆき

女房がブックオフにて買ってきた本。宮部みゆきは嫌いだとあまり読まなかったが、この作品はハマったようで、私に薦めてくれた。
私は「クロスファイア」とか「模倣犯」を薦めるが、以前「火車」で懲りたのか宮部みゆき作品は読まない。
時代劇が嫌いでなければ「霊験お初捕物控」や「ぼんくら」なんかもおすすめだが、時代劇は嫌いだと‥。
そんな女房が強く薦めてくる。
でもってちょこっと上巻を読んでみた。事件もんでもないが、素朴な家族を舞台にした心霊写真の物語である。登場人物が普通の人ばかりだが、丁寧に描かれているためそれぞれに味わいがある。脇を固める登場人物たちも良い。
主人公は花菱英一という高校1年生。通称「花ちゃん」だが、なぜか家族からも「花ちゃん」と呼ばれている。英一曰く、変わり者の家族の父親が何を気に入ったか、古い写真館だった建物を自宅として購入して底へ引っ越してきたのである。
その写真館には幽霊が出るという話で、その写真館を舞台にした物語?だと早とちりしそうだが、上巻を読んでみるとあまり小暮写真館の話題は出てこない。その代わり心霊写真みたいな気持ち悪写真の原因を突き止める役割をひょんなことから負っていまう英一がその背後の人間関係を解き明かすうちに、いろいろ見えてくるということを描いた人間ドラマであると思う。

また下巻を読めば感想も変わるが、なかなか面白い。いろんなジャンルの作品を手がける宮部みゆきだが、大きなトリックとかはなさそうだが、描き方が緻密で今後の展開が楽しみだ。

親友のテンコを始め、弟のピカちゃん、甘味屋の娘のコゲパンや不動産屋の社長、その店の逆看板娘の柿本さんなど脇を締める登場人物たちがとても魅力がある。

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