悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

影法師 百田尚樹

いい話だ。本当に感動させてくれる。しかし、なんとも言えない無念さがあり、胸をかきむしられるような感じである。
平和な江戸時代の武士という独特の世界を描いているが、程度の差こそあれ現代にも共通する部分を多くのほとが感じていると思う。
よくできている。ストーリーも素晴らしいけれど、この作者は泣かせるツボを知っているのだろうかと思う。哀しいというか、切なくなる。読み終わった後にはそういう感動があった。武士、日本人の好きなヒーローは本来この彦四郎のようなタイプだと思う。表に出て活躍するのではなく、影でひっそりと支える、自己犠牲の上にみんなの幸せを願う、自分が信じた人間のためにとことん尽くす、そういう人物像に惹かれるのである。そういう人物に憧れても成れはしない。だからこそ惹かれるということろもあるかもしれない。

下士ながら出世して筆頭家老にまで上り詰める成功物語には親友の陰ながらの支えがあったから。それまでの道のりには色々なドラマがあった。その一つ一つがしっかりと意味を持っている。
読んでよかったと思える一冊。「永遠の0」にも感動した。「モンスター」はそれほど感動はなかったが、この「影法師」も感動的な作品。オススメである。

影法師 (講談社文庫)

影法師 (講談社文庫)

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