「蜩ノ記」が大変良かった。
この作品はそれよりも以前に書かれた作品である。
非常に似ている作品。
そしてやっぱり読みやすい。
作品の内容は武士の話しであるが、武士として男として非常に格好の良い生き方である。
下級武士で終わったが、立派な生き方を貫いた日下部源五。
松浦家の養子となり家老にまで上り詰めた松浦将監。
どちらも誇り高く、自らの信念を貫いた生き方であり、反目しあう時もあったが、最期はやはり二人は考え方や生き方の点でつながっており、本当の友情を実らせる。
後には名家老として名前を歴史に残す将監だが、その影には親友の源五なしにはありえない。
交友の広さや友人の数も大切なのかもしれないが、あわなくても分かり合える心の友というものがいればなあと思う。
しかしそんな友は望んで得られるものではないし、また自分自身がその友人に応えるべく人物で無くてはならない。
友人は自身の生き方を写す鏡でもあり、その人の人となりを表しているのだろう。
下級武士として出生はしなかったが、立派に生きてきた源五にも最期にご褒美があった。
中年オヤジに優しい作品。

- 作者: 葉室麟
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/02/10
- メディア: 文庫
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