悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

遊星からの物体X

映画会社のポスターより

1982年に公開されたジョン・カーペンター監督作品の代表作の一つです。
カルト的な人気というか、いまだにこの映画についてはあちこちで語られる作品です。
長年の時を経て、2011年には続編というか、この物語の前日譚を描いた「遊星からの物体X ファースト・コンタクト」が公開されました。

 

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この映画には前作があり、そちらを見たいと思いつつも、いまだに見ることができていません。
タイトルは「遊星よりの物体X」で1951年の作品らしいです。

 

 

原作はジョン・W・キャンベルというSF界の大物作家が書いた「影が行く」という作品だそうです。

 

 


原作も素晴らしく、CGや特撮のない古い映画もかなり評価は高いようなのですが、何と言ってもこの映画が有名で、一般的に物体Xといえば、この映画を指すことが多く、ネットなどでもいろんなパロディネタがあったりします。

大学生のときにこの映画を知りました。
タイトルが好きになれずに、毛嫌いしていたのですが、友人の下宿先に行ったときに仕方なく見たのが私のファーストコンタクト。
その後、自宅でレンタルビデオを借りて見ました。
あの映像の凄さが当時驚きました。
今はCG全盛の時代で何でも映像表現ができますが、当時はそんな技術はなく、アニマトロニクスと言われる技術です。
つまりは美術系の人が一生懸命造形したものを機械的に動かしているわけですね。
それを思うと恐ろしく出来栄えがいいです。
見せ方がうまいのですかね。

はじめはこの映像に取り憑かれて面白がっていましたが、この映画はそういうところだけで楽しむ映画でもないです。
私が一番好きなシーンは、みんながみんなを疑っている、というマクレディのセリフと、そのモヤモヤを解消するために血液でテストをすることになったシーンですね。
私が好きなこのシーン、後で知ったのですが、実はカーペンター監督が一番撮りたかったシーンのようで、とても力が入っています。
特撮の点でもものすごいシーンなのですが、疑いが濃厚な人間を縄で拘束して血液でテストするというシチュエーションがものすごいです。
事前に主人公のマクレディが「真犯人」にはめられて、殺されそうになるわけですが、彼は自分ひとりで犬死にすることは拒否。
そしてダイナマイトを持ってきて、自分を殺せば全員、基地もろとも吹っ飛ばしてやるという執念を見せるのです。
その圧倒的な行動力と狂ったような執念でマクレディに従うしかないのですが、人間扱いされていないことに納得できないクラークはマクレディに襲いかかります。
そして銃を持っているマクレディに眉間を撃ち抜かれて即死。
後にクラークの血液検査で、彼が「シロ」だったことから、マクレディはチャイルズに殺人者呼ばわりされます。

そしてミステリーとしても秀逸なのは密室の要素もあるからですね。
南極観測隊という立場でかなり大きな施設で出入りも自由。
ただ、気象条件等からこの地で協力して生きている隊員たちは南極という巨大な密室に閉じ込められているということですね。
そして姿形は人間そのものに擬態しているけれど、本当の人間かどうかみんながみんなを疑っている。

不気味なエンディングとともにいまだに謎だらけです。
最終的に主人公のマクレディと同じく腕っぷしが強いチャイルズだけが生き残っていますが、この二人のうちどちらかがすでにThing(物体X)になっている可能性があります。
お互い最後の最後まで疑い合って、殺し合いをするか?という二人の会話がありますが、このまま座ってどうなるのか様子を見ようというのです。
いずれにしてもヘリや雪上車は破壊され、移動手段はなく、施設も破壊。
つまり人間は生き残る術が完全に閉ざされてしまっています。
にも関わらず、マクレディは「これでいいんだ」とつぶやきます。
完全に破壊し、Thingが完全にいない状態なら、救助隊が現れたときに、「謎の観測隊壊滅事件」として処理されるだけでしょう。
しかし、彼らはこの極寒の土地でも死に絶えず、次の宿主を待つという手もあるわけです。
ただ、極寒状態では活動はできない状態。
いろんな考えがあるとは思いますが、不気味な印象を残したままのエンディングで、これはこの後の内容がないから面白いのだろうと思うんですね。

 

マクレディ:主人公。ヘリコプター操縦士。
      リーダーシップが高く、腕っぷしも強い。

ギャリー:隊長。しかしリーダーシップを取れずに自ら隊長の任務を降りる。
     犬を追って乱入して来たノルウェー隊員を射殺。

ブレア:生物学者。Thingのことを最も理解している人物。
    コンピューターでの解析で27,000時間で地球上のあらゆる生命がThingに同化されてしまうことを危惧。
    最悪の事態に暴走してしまい、隔離されてしまう。
    隔離された後の彼の行動は誰も補足していませんので謎が多い。

クーパー:医師。ブレアとともにThingに対する知見は高い。
     みんなが疑心暗鬼になり、解決策として血清によるテストを考案。

ノリス:物理学者。ギャリーの後任として隊長に指名されるが辞退する。
    マクレディとの乱闘で心臓停止状態になる。
    彼はいつ感染したのだろう?

チャイルズ:機械技師。マクレディと同じく腕っぷしが強いキャラ。
      マクレディとのラストシーンの結末が知りたい。

フュークス:生物学助手、つまりブレアの部下ということか。
      真面目なキャラクター。
      彼の最後の行動も謎に包まれている。

ベニングス:気象学者。割とモブキャラ。
      この南極観測隊のThingに取り込まれた最初の人物。
      非常事態を視覚的に知るための生贄とも言える。

ウインドウズ:無線通信技師。
       若く不真面目な感じで、いつも隊長などに叱られる。

パーマー:ウインドウズと同じく若いキャラクター。
     途中でウインドウズと言い争う。

クラーク:犬の飼育係で実直。
     彼も腕っぷしは強い方だが、ブレアに真っ先に疑われる。
     人間として死亡したのが唯一の救いかも。

ノールス:調理師。
     おそらく最年少?であまり考えは深くない人物。
     マクレディを疑って、彼を取り残して基地へ戻ってきた人物。


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