悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

お客様相談室という仕事

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今や大抵の仕事は週休2日になった。
私が子供の頃は学校も土曜日が普通にあった。

半ドンだけど。
半ドンという言葉も今の時代は通じないか・・・。

ともあれ、月曜日から土曜日まで働くというのが普通だった。

大学を卒業して、就職し、その後家業に戻った。
家業で10年以上仕事をしていたが、廃業し、新たに仕事を探すことになった。

仕事上、取得した電気工事士だったが、経験がなく、とりあえず全然別の仕事を探した。
そこで今の仕事を見つけたのだが、あまりの給料の安さであった。

家族との生活もあるため、その職場をやめた。
新しい仕事は気に入る仕事でもなく、給料も安かったが、それ以外の待遇は悪くはなかった。
そこで3年半ほど働いていたが、その会社はなんと倒産してしまった。

情けないことに以前辞めた会社に戻ることになった。
それでも仕事をさせてもらえて感謝はしている。
もともとそこの職場で電話での仕事なんてものをするとは思っていなかった。
コミュニケーション障害というわけではないが、そもそも電話なんか嫌いである。
それがお客様相談室というところで、電話での仕事をするなんて思っていなかった。
もともとはとある電機販売店へ派遣されて、対面での接客を行っていたのだが、会社の仕事である。
その電気販売店との契約終了に伴い、そこ現場からは撤退。

次の現場は会社の指示である。

まあ、本人の意向も聞いてはくれる。
だが現実にはお断りなんてことはほぼできない。
一度辞めた会社でもある。
素直に従って、コールセンターと呼ばれるところへ入っていった。

当時の私はコールセンター未経験の中年のおっさんだった。
すでに40歳は超えており、そんな未経験おっさんであったが、仕事はしていくしかない。
残された道はないのである。そんな気持ちだった。
そんな未経験のおっさんがいきなりスーパーバイザーとして仕事をすることになるのである。
コールセンターに入り、1週間ほど研修を受けてから、デビューとなった。
そしてデビューして、電話対応の経験は1ヶ月ほどしか無い状態だったが、その仕事は一旦置いておいて、スーパーバイザーとなった。
仕事もまともに分かっていない人間をスーパーバイザーだと?
ここはいったいどういう業界だ?という軽いカルチャーショックがあった。

とはいえ、なんちゃってスーパーバイザーにできることは限られている。
苦情による対応後退を始めとして、新人教育だった。
なんと入ってい1ヶ月の人間が次の新人の教育をすることになったのである。

面白い職場である。(いや、いい意味でも悪い意味でもあるが)

そこではたくさん学ばせてもらったと思う。

それなりに努力もした。それは当然だ。
なんちゃってスーパーバイザーとはいえ、あまりにもひどいとクビになるし。
よくもまあ、未経験の人間にさせるなあとは今も思っている。

その職場から、別のクライアント先の仕事へ移り、そこではスーパーバイザーの経験を生かして、技術相談のための人材として派遣されたわけである。

いや、ちょっとまってよね。ついこの前扱っていた商品は通信機器。
なのにいきなり別の商品の技術的なサポートをするとは。
その商品についての研修は内部で1週間ほどである。
なんともいい加減なものだと思った。
いや、前の通信機器も1週間ほどの研修で、お客様とのガチンコ勝負になるのだけれど、今回はガチンコ勝負しているオペレーターのアドバイザーである。
なんともいい加減な業界という気もする。
大体、コールセンターを持っているのは中小企業ではなく、大企業である。
大企業には多くの人が働いていて、多くの社員がいるが、なぜだか、相談室などの業務は外部に委託していることが多い。
完全に外部に委託していなくても、結局、最前線で働いているオペレーター、エージェントと呼ばれる人、いわゆるヘッドセットをつけて戦っている人たちはだいたい社員じゃない。
コストが合わないとか、色んな理由をつけているけど、要するにあまりやりたい仕事ではないわけである。
リストラする前に余剰人員を使えばいいのにと思ったこともある。
まあ、そうならないから我々の飯の種にはなっているわけだが・・・。

今の会社でいくつかの現場を経験してきたが、どのコールセンターもそういう感じである。

もちろん企業文化が違うため、ローカルルールなどはイチから覚えていくしか無い。
今の現場は一番長い。
そこに入った当時は、コールセンターでは初めてというか、本格的にコールセンターの仕事をしていた。
つまり、最前線で顧客と相まみえていたわけで、その期間は4年位あっただろうか。
その後は新人の面倒を見たり、クレームの対応をしたり、なんというか便利屋と言うかユーティリティプレイヤーみたいな立ち位置で今も仕事をしている。
フルにオペレーターをするというのは正直言ってなかなかつらいものがあるが、そこでは一生懸命頑張ったつもりだ。

仕事について、あれこれ考えることはある。

給料や立場などを考えると、愚痴しか出てこないが、愚痴を言っても何も始まらない。
嫌ならそこを離れて次を探すしか無いが、この歳になるともはやそういう気持ちにもならないものである。
電話は学生時代からも好きではない。
自分から友人に電話することもあまりなかった。

今もプライベートで電話をしたりはしない。

もちろん、所用で電話をすることはあるが、あまり好きではないのである。
それなのになぜコールセンターにいるのか自分でも不思議なくらいだ。

めぐり合わせなんだろうか。

こんなに嫌いだった電話なのだが、お客様から球には感謝の言葉もいただくことがある。

なんと言ってもウレシイのは、苦情で対応交代した後、機嫌を直して、感謝の言葉をいただく時

やりたくはない仕事なのだが、仕事をした、やりきったという気がする瞬間である。

 

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