悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

僕の行く道 新堂冬樹

号泣する準備はできていたは長い間カバンに入っていたが、なかなか読み進まなかった。やっぱり価値観の合わない小説は読んでいても進まないし面白くない。
この作品は逆にすんなりと読みきってしまった。読みやすく、ストレートに響いてくるものがあった。
電車の中で不覚にも涙をこぼしそうになるシーンが何度もあった。素晴らしい話である。

幼い頃から母と離れて暮らす8歳の少年である大志。母に会いたい思いが募り、一人で母がいる小豆島へと旅立つ。
そこで出会う色々な人達。幼い子供一人で母親に会いに行くひたむきな少年の姿にそれぞれの大人たちは大人特有の悩みを抱えながらも励まされる。
新幹線出会った女性。恋の悩み?思いが遂げられない悩みか?
大阪で出会った少女とその母。大志と似た境遇ながら父親とは離婚。それを伏せる母親
岡山の港に住む老人。財産を失い、子供たちも失った哀れな老人。
そして小豆島でコスモス園を営む夫婦。
出てくる人たちは本当に良い人が多い。というか良い人にしてしまう魔法がこの大志という少年には備わっているのか。

唯一の悪人といっていい、浮浪者が大阪っていうのもちょっと面白くはないが、まあこういうのもいるだろうなあ。確かに。


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