悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

ラ・ブーム ソフィー・マルソーデビュー作

薬師丸ひろ子さんは角川映画でデビューし、瞬く間に映画界におけるアイドル誕生となりました。
日本から遠く離れたフランスでもアイドルが誕生します。
ソフィー・マルソーさんですね。
ラ・ブーム」という映画。
薬師丸ひろ子さんにはまったく反応を示さなかった私ですが、ソフィー・マルソーさんにはコロリとやられてしまいました。
何と言っても可愛い、それにつきます。
当時13歳のソフィー・マルソーさんは、映画の中での年齢も同じ。
大作というものからは程遠い作品ですが、これがフランスで大ヒットのみならず、ヨーロッパでもアジアでもヒットしたようです。

そして主題歌の「愛のファンタジー」を歌ったリチャード・サンダーソン
とてもいい歌で、この曲を聞くためだけにある映画とも言えるかもしれません。
CDがまだ出てくる前の時代。
アナログレコードですが、ハート型のアナログレコード。
こんなもの買うのか?とちょっと恥ずかしい気もしましたが、思い切って購入した覚えがあります。


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U-NEXTで視聴できましたので、懐かしさもあって見てみました。

あらすじ

パリに引っ越しをしてきたヴィック。
歯科医の父と絵を描く母を持つ一人っ子。
バレエを習いながら、ペネロプという友人もすぐにできましたが、彼女との会話の中心は恋のことばかり。
ヴィックも男子との関係にとても興味のある少女です。
そんな中、家庭内で行われるダンスパーティ(通称ラ・ブーム)に誘われることになり、ペネロプとともに参加。
そこで知り合ったマチューに恋をしてしまいます。
マチューと仲良くなればなるほど恋い焦がれるという乙女。
そんな中、両親は離婚の危機に見舞われます。
原因は父親の浮気でもあり、その反動なのか母まで浮気をしてしまう状態。
父の浮気は以前からでしたが、母の浮気はよりによってヴィックの学校のイケメン教師。
多感な少女、恋に恋をするお年頃のヴィックは両親のことも心配しながらも、頭の中は恋のことばかり。
彼女の恋はどうなっていくのでしょうか

感想

ソフィー・マルソーのための映画と言ってしまえば、その通りです。
今から40年も前に見た映画なので、かなり記憶は曖昧なのですが、改めて見てみると、この映画が世界的にヒットした理由はイマイチわかりません。
十代の女の子の恋愛という還暦前の親父と対極にあるストーリーなので致し方ないのかもしれません。
であれば、主人公の親も出てくるので、その目線で見てみると、それもまた日本の夫婦関係とはずいぶんと違うのですね。
このあたりはかなりコメディの要素が入っています。
浮気がバレないための工作が凄まじいです。
骨折したという嘘をつき、その原因が交通事故。
車はペシャンコになったということで、友人の車を実際に壊してしまいます。
さらには足を石膏で固めたり、周りの人を巻き込んだ大騒動。
ところが足が不自由な夫を見て甲斐甲斐しく面倒を見る妻に申し訳なく思って、全て打ち明けてしまうのです。
ところが怒りはもちろん夫にも向かいますが、相手の女性にも向かうのです。
浮気相手の女性の営むお店にやってきて、店を大破壊。
コメディとはいえ、やり過ぎ感があります。

フランス映画なので当然フランス語です。
このフランス語というのが、全くわかりませんが、独特の発音ですね。
字幕でストーリーを追うのですが、セリフはフランス語で鼻から抜けたような音が多いのです。
それがなんとも言えない味わい伴っていますね。

ファッション、街並みなどを見ると、時代を感じる=古さを感じる映画でしたね。
ただ、スクリーンの中のソフィー・マルソーはとても可愛らしく、彼女のファンならそれだけで満足な映画でしょう。
彼女のためにサービスショットが多い映画ですね。

改めて思ったことが、案外背が高いということです。
イメージ的には少女、小さいと思っていたのですが、173センチもあるんですね。
この当時はまだ体型も含めてあどけない(撮影時13歳)のですが、それでもクラスメート中で頭一つ高いな、という感じでした。
そして、13歳とは思えないような、ドキリとする表情を見せます。
やはりキラリと光るものを持っていたのでしょうね。
アイドル女優は短命と当時はフランスでも言われていたようですが、彼女はその後も女優として本格的に活動を続けます。
若くして大胆なヌードも披露し、フランスの大物俳優たちとの共演も果たします。
評価を得ながら、英語もマスターした後は、アメリカ映画、イギリス映画などにも出演するようになり、007シリーズにも登場しています。
世界的な大ヒット作というものには恵まれていないなという気がしますが、多くの賞を受賞するなど、フランスではすでに大女優としての評価を受けているようですね。
今はどこでも大物2世が活躍する時代ですが、ソフィー・マルソーさんは生粋の庶民出身。
幼いときに両親が離婚し、母と二人で応募したオーディション。
そして、つかんだこの映画の主演で、彼女の人生は変わりました。
若くして大胆なヌード、親子ほど年の離れた映画監督との事実上の結婚生活、そして出産。
今や映画の制作などにも加わるなど、なんともパワフルな人生を歩んでいますね。

 

 

 

 

映画 野性の証明

 

人間の証明」に続き、この「野性の証明」も角川映画としてとても有名なので、見てみました。
なんと言って角川映画の大スターとなった薬師丸ひろ子さんのデビュー作なんですね。
私は取り立ててファンでもないのですが、同い年ということもあり、クラスメートには熱烈なファンが多くいましたね。



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邦画ファンの人には悪いですが、この映画はちょっとショックでしたね。
この前の作品、「人間の証明」もキャストはすごくて、内容もそこそこだったのですが、やはり2時間枠に収めようとして無理があった気がします。
人間の証明」が少々無理があった、という程度ですが、「野性の証明」は脚本がいい加減すぎるでしょう。
「読んでから見るか、見てから読むか」というコピーを考えた人はすごいと思いますが、この映画を見てからだと本は読まなかったと思います。

 

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映画と比べて、本はとても良かったです。
この映画と比べてしまうのは原作に対して失礼すぎるでしょう。
それだけ映画の出来栄えがひどすぎると思うのですね。
映画も前半部分は保険金殺人や東北の地方を牛耳る大場はヤクザも警察も使ってやりたい放題というのをよく描いています。
後半は本当にひどいです。

高倉健さんは言うことがないです。
そこにいるだけで絵になる人ですし、全てが格好いいです。
脇を固める俳優陣もいい仕事をしています。
地元のヤクザ井崎を演じていた梅宮辰夫さんや中戸組長を演じていた成田三樹夫さん。
羽代市を支配する大ボス大場を演じていて三國連太郎さんなんかも貫禄たっぷりでしたね。
その息子役には若き日の舘ひろしさん。石原軍団に入る前ですね。
キャストは本当に贅沢に使っています。
田中邦衛さんなんかもワンシーンですし、冒頭のシーンで赤軍派を演じていた寺田農さんも本当に一瞬でした。
本当に贅沢なキャスティングです。

しかしドンパチと言うか、戦車というか、シナリオが無茶苦茶すぎます。
これが原作だったら、森村誠一さんは阿呆ですね。
ラノベでももう少し現実を考えて描くでしょう。
極秘に作られた特殊部隊で、その秘密を知っている味沢を抹殺するという目的であれば、それこそ特殊部隊が暗躍して殺すまでです。
秘密がバレるとまずいわけですので、こっそり殺さないといけないのに、戦車やらヘリコプターやら飛ばして戦争のようなことをする。
いくら優秀な元特殊部隊の兵士とは言え、今は民間にいる、ただの保険勧誘員に過ぎない丸腰の味沢を特殊訓練を受けた暗殺者がコッソリ殺せないはずはなく、それを内戦状態さながらの、戦車やヘリコプターを動員しての大掛かりな抹殺って、おかしすぎます。
しかも無実の何も関係のない人が巻き込まれて何人死んだのでしょうか。
角川映画でそういう絵を取りたかったのかもしれませんが、意味がありません。
あまりにもひどい脚本でしらけてしまいました。


俳優陣はすごいですね。
贅沢にも大物俳優がゴロゴロと出演しています。
戦車やヘリコプターも円谷映画のように模型ではなく、現在のようにCGなんてものがありませんから、やはり本物を動かしているわけです。
お金は本当にかかっている映画だと思うのですね。
ただ、それだけになんでこんなチープな印象しか残らない作品になったのでしょうかね。

40年以上も前の映画に今更どう文句をつけても仕方がありません。
和製ランボーとか評価している人もいますが、ランボーに失礼でしょうね。
この映画が1978年で4年後にランボーが公開されていますが、ランボーは今見ても通用するクオリティです。
お金をかけたら良いものが作れるというわけではないですね。
この後、角川映画は大作で失敗をして、アイドル路線へと変更していきます。
日本映画界に旋風を起こした角川映画でしたが、この映画はちょっといただけません。
多くの人が「騙された」と言って、角川映画を批判するのがわかる気がします。


さて、この後スターになっていく薬師丸ひろ子さん。
14歳くらいですかね。
あどけない少女です。
眼力がすごいという方もいますが、取り立てて美少女とは思わなかったですし、今見ても普通ですよね。
しかし彼女はこの後もヒット作をバンバン出します。
というか、彼女を見るのが目当てで、映画自体は相当ひどいと言われています。
なので、映画ファンの割には、本当に薬師丸ひろ子さんの映画はあまり見ていないのですね。
ひどいという噂だけで、避けているというか。
ファンでもないというのもあります。
この映画は高倉健さんと薬師丸ひろ子さんの映画と言うのは確かですね。
シナリオと言うか、脚本は終盤ひどすぎますけど、お二人の存在感は確かに感じられる映画でしたね。


荒野のストレンジャー

クリント・イーストウッド主演、監督の映画です。
いわゆるマカロニ・ウエスタン。
実は西部劇、特にマカロニ・ウエスタンは好きなのですね。
そしてセルジオ・レオーネ監督です。
マカロニ・ウエスタンで有名になり、巨匠と呼ばれるようになったのですが、晩年はマカロニ・ウエスタンから脱しようとして苦悩していたのかもしれませんね。
そんなレオーネ監督を見習うかのようなイーストウッド監督の作品ですね。

 

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代表作の一つでもある「荒野の用心棒」や「夕陽のガンマン」と比べるとかなり落ちますね。
とは言え、短期間で作られた映画の割には売れ映画だったようです。
やはりクリント・イーストウッドの名前が大きいのでしょうか。

 

映画の概要

監督:クリント・イーストウッド

脚本:アーネスト・タイディマン

製作国:アメリ

公開年:1973年

上映時間:105分

製作費:550万ドル

興行収入:1570万ドル

あらすじ

ある寂れた町にやってきた流れ者。
よそ者を見定めるようなならず者たち。
流れ者はたちまちならず者たちを射殺します。
闘うことを好まないこの町の住人たちは、その流れ者に、町を守ってもらえないかと打診します。
流れ者は、はじめは断りますが、たっての要望と彼への待遇で了承します。
この町には3人の悪党がおり、その3人が酔ったスキに捉えて監獄へ送りましたが、刑期を終えて出てきます。
当然彼らはこの町に復讐するためにやってくるでしょう。
腕の立つ流れ者のガンマンになんとか守ってほしいのです。
ところがこの流れ者の要求は次第にエスカレートし、一部の人間はこの流れ者を排除しようと動きます。
流れ者はそういった裏切り者をあぶり出すためにやっていたことかもしれません。
実はこの町は金鉱があり、それが国有地であることを知った前の保安官であるダンカンは国へ正直に報告しようとします。
ところがこの保安官を亡き者にしようとした人たちがいました。
また保安官は悪党3人にムチでなぶり殺しされてしまうのですが、町の人々は誰も足す歌謡としませんでした。
保安官は最後に残した言葉は、「みんな地獄へ落ちろ」でした。
ステイシーとカーリン兄弟は町へやってきます。
流れ者は彼らを殺します。
そして正しいことを行おうとして無念の死を遂げた元保安官の墓標を見届けて、街を去っていくのでした。

感想

ものすごく台詞の少ない映画です。
冒頭は主人公のセリフは「ビールと酒」と言ったくらいで、ほぼ喋りません。
そしてなにより、この主人公、名前がありません。
初めから終わりまで名乗ることもなく、町の人からも名前を呼ばれることはありませんでした。
しかし、やたらと強い。
西部劇のガンマンと言うのはありえないほど強いのですが、ここでもクリント・イーストウッドは無双ですね。
町の人達も町を守るために銃を取るのですが、それは当たらない。
あまりの下手さに流れ者も呆れる始末です。
そんなことはどうだっていいのが、こういう西部劇、マカロニ・ウエスタンですね。
派手な殺し合いがあればいいのです。
しかし、冒頭で3人をあっという間に殺害する以外には、実はそんなに派手なシーンはありません。
そして悪党3人というのも部下を連れてやってくるのか?と思っていたら、本当に3人だけでした。
あれ?これならイーストウッド一人で十分勝てるんじゃない?と思ってしまいます。
「荒野の用心棒」だと荒くれ者が多数いて、その多人数を相手に早打ちで殺してしまうのですが、そういったシーンはありませんでした。

町がチープでした。
うーん、いくら小さな町と言えども、宿、飲み屋、散髪屋、よろず屋と言った僅かな店しか見当たらない町。
これで経済的に成り立っているのかどうかすら怪しい町です。
町を赤のペンキで塗りなおせと命令する流れ者。
その町を少し離れた場所から映し出したシーンが有るのですが、ゲームのドラクエなどの町でももう少し大きいのではないか?と思えるほどみすぼらしい町です。

50年前の映画ですし、イーストウッドが監督として2作目の作品なので、そのあたりは多めに見えあげたいところです。
映画には細かい説明がなく、殺された保安官とこの流れ者は何らかの関係者だったのか?という点も疑問が残ります。
また流れ者に絡んだ挙げ句、犯されてしまった女性の役割もいまいちピンとこないです。
主人公の流れ者は決して正義というわけではなく、割と無茶苦茶なことを町の人に押し付けたりします。
理不尽な事が多いですが、それがまた無法地帯ということなのでしょう。

 


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エンリオ・モリコーネの音楽が素晴らしい。
ドル箱3部作と呼ばれたセルジオ・レオーネ監督の作品。

セルジオ・レオーネをマカロニ・ウエスタンの巨匠なる第一歩である作品がこの「荒野の用心棒」。
原作は黒澤明監督の「用心棒」ですね。
もう格好良すぎますね。
バック・トゥ・ザ・フューチャー3」でもこのシーンが使われています。
ちなみに「続・荒野の用心棒」という映画も大好きなのですが、続編でもなんでもありません。
Djangoというのが原題で、全く別の映画です。
監督もセルジオ・レオーネではなくてセルジオ・コルブッチとややこしいですね。


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「荒野の用心棒」は文句なく大好きな映画なのですが、この夕陽のガンマンも素晴らしいです。
賞金稼ぎの話ですが、リー・ヴァン・クリーフの代表的な作品でもあります。
「荒野の用心棒」で敵役だったジャン・マリア・ヴォロンテがここでも敵役として登場します。


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さて、「続・夕陽のガンマン」ですが、これも「夕陽のガンマン」の続編でもなんでもありません。
「属・荒野の用心棒」といい、ヒットした映画のタイトルを付けたいがためのタイトル詐欺みたいなものですかね。
この時代には許されたことなのでしょうか。
善玉・悪玉・卑劣漢という3人のキャラクターとの三つ巴、という点では確かに続編ぽいのかもしれません。


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