悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

荒野のストレンジャー

クリント・イーストウッド主演、監督の映画です。
いわゆるマカロニ・ウエスタン。
実は西部劇、特にマカロニ・ウエスタンは好きなのですね。
そしてセルジオ・レオーネ監督です。
マカロニ・ウエスタンで有名になり、巨匠と呼ばれるようになったのですが、晩年はマカロニ・ウエスタンから脱しようとして苦悩していたのかもしれませんね。
そんなレオーネ監督を見習うかのようなイーストウッド監督の作品ですね。

 

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代表作の一つでもある「荒野の用心棒」や「夕陽のガンマン」と比べるとかなり落ちますね。
とは言え、短期間で作られた映画の割には売れ映画だったようです。
やはりクリント・イーストウッドの名前が大きいのでしょうか。

 

映画の概要

監督:クリント・イーストウッド

脚本:アーネスト・タイディマン

製作国:アメリ

公開年:1973年

上映時間:105分

製作費:550万ドル

興行収入:1570万ドル

あらすじ

ある寂れた町にやってきた流れ者。
よそ者を見定めるようなならず者たち。
流れ者はたちまちならず者たちを射殺します。
闘うことを好まないこの町の住人たちは、その流れ者に、町を守ってもらえないかと打診します。
流れ者は、はじめは断りますが、たっての要望と彼への待遇で了承します。
この町には3人の悪党がおり、その3人が酔ったスキに捉えて監獄へ送りましたが、刑期を終えて出てきます。
当然彼らはこの町に復讐するためにやってくるでしょう。
腕の立つ流れ者のガンマンになんとか守ってほしいのです。
ところがこの流れ者の要求は次第にエスカレートし、一部の人間はこの流れ者を排除しようと動きます。
流れ者はそういった裏切り者をあぶり出すためにやっていたことかもしれません。
実はこの町は金鉱があり、それが国有地であることを知った前の保安官であるダンカンは国へ正直に報告しようとします。
ところがこの保安官を亡き者にしようとした人たちがいました。
また保安官は悪党3人にムチでなぶり殺しされてしまうのですが、町の人々は誰も足す歌謡としませんでした。
保安官は最後に残した言葉は、「みんな地獄へ落ちろ」でした。
ステイシーとカーリン兄弟は町へやってきます。
流れ者は彼らを殺します。
そして正しいことを行おうとして無念の死を遂げた元保安官の墓標を見届けて、街を去っていくのでした。

感想

ものすごく台詞の少ない映画です。
冒頭は主人公のセリフは「ビールと酒」と言ったくらいで、ほぼ喋りません。
そしてなにより、この主人公、名前がありません。
初めから終わりまで名乗ることもなく、町の人からも名前を呼ばれることはありませんでした。
しかし、やたらと強い。
西部劇のガンマンと言うのはありえないほど強いのですが、ここでもクリント・イーストウッドは無双ですね。
町の人達も町を守るために銃を取るのですが、それは当たらない。
あまりの下手さに流れ者も呆れる始末です。
そんなことはどうだっていいのが、こういう西部劇、マカロニ・ウエスタンですね。
派手な殺し合いがあればいいのです。
しかし、冒頭で3人をあっという間に殺害する以外には、実はそんなに派手なシーンはありません。
そして悪党3人というのも部下を連れてやってくるのか?と思っていたら、本当に3人だけでした。
あれ?これならイーストウッド一人で十分勝てるんじゃない?と思ってしまいます。
「荒野の用心棒」だと荒くれ者が多数いて、その多人数を相手に早打ちで殺してしまうのですが、そういったシーンはありませんでした。

町がチープでした。
うーん、いくら小さな町と言えども、宿、飲み屋、散髪屋、よろず屋と言った僅かな店しか見当たらない町。
これで経済的に成り立っているのかどうかすら怪しい町です。
町を赤のペンキで塗りなおせと命令する流れ者。
その町を少し離れた場所から映し出したシーンが有るのですが、ゲームのドラクエなどの町でももう少し大きいのではないか?と思えるほどみすぼらしい町です。

50年前の映画ですし、イーストウッドが監督として2作目の作品なので、そのあたりは多めに見えあげたいところです。
映画には細かい説明がなく、殺された保安官とこの流れ者は何らかの関係者だったのか?という点も疑問が残ります。
また流れ者に絡んだ挙げ句、犯されてしまった女性の役割もいまいちピンとこないです。
主人公の流れ者は決して正義というわけではなく、割と無茶苦茶なことを町の人に押し付けたりします。
理不尽な事が多いですが、それがまた無法地帯ということなのでしょう。

 


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エンリオ・モリコーネの音楽が素晴らしい。
ドル箱3部作と呼ばれたセルジオ・レオーネ監督の作品。

セルジオ・レオーネをマカロニ・ウエスタンの巨匠なる第一歩である作品がこの「荒野の用心棒」。
原作は黒澤明監督の「用心棒」ですね。
もう格好良すぎますね。
バック・トゥ・ザ・フューチャー3」でもこのシーンが使われています。
ちなみに「続・荒野の用心棒」という映画も大好きなのですが、続編でもなんでもありません。
Djangoというのが原題で、全く別の映画です。
監督もセルジオ・レオーネではなくてセルジオ・コルブッチとややこしいですね。


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「荒野の用心棒」は文句なく大好きな映画なのですが、この夕陽のガンマンも素晴らしいです。
賞金稼ぎの話ですが、リー・ヴァン・クリーフの代表的な作品でもあります。
「荒野の用心棒」で敵役だったジャン・マリア・ヴォロンテがここでも敵役として登場します。


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さて、「続・夕陽のガンマン」ですが、これも「夕陽のガンマン」の続編でもなんでもありません。
「属・荒野の用心棒」といい、ヒットした映画のタイトルを付けたいがためのタイトル詐欺みたいなものですかね。
この時代には許されたことなのでしょうか。
善玉・悪玉・卑劣漢という3人のキャラクターとの三つ巴、という点では確かに続編ぽいのかもしれません。


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