悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

オープン・ウォーター 実話ベースの怖~いサメの話

本日から完全にゴールデンウィークとなります。
朝、ニュースを見ていたら、すでに高速道路の渋滞が始まっているとかでした。
そんなニュースを見ながら、私は仕事へ行ってきました。


休日でもっと暇なのかと思っていたら、欠勤があったりとかでバタバタしていたりします。
もう慣れてしまったところはありますが、新人は仕事ができるようになるまで時間がかかります。
それでも休まず真面目に勤めてくれる人は貴重な存在。
バイト感覚が抜けない人が多く、ゴールデンウィークになると「適当に休んじゃえ~!」って人が後を絶ちません。
毎年のことですね。

 

さて、昨夜、遅くに息子と見た家画がこの作品。
名前は聞いたことがありますし、DVDのパッケージもTSUTAYAでみたことがありますが、ここまで見たことがありません。

実話ベースということと、CGではなくサメも含めてすべて実写と息子から事前情報をもらっていました。

映画の概要

2003年アメリカ映画

監督:クリス・ケンティス

脚本:クリス・ケンティス

上映時間:79分

制作費:120,000ドル




あらすじ

ある夫婦が休暇に出かけたオーストラリア。
キューバダイビングを楽しむために、ボートに乗って、ダイビングポイントへやってきます。

このボートでは、ダイビングをする客を20名乗せていました。
そしてこの夫婦を含めて、顧客はダイビングを楽しむのです。

夫婦は水中で写真を取ったりしながら、水中の散歩を満喫していました。
そして約束の時間になったので、水上に上がってきた二人。
そこにいるはずのボートがいません。
午前10時30分のことです。
その時点で、同じようなレジャーボートは付近にいましたが、泳いでいくにはかなり離れています。
夫婦は、きっと迎えに来てくれると信じて、その場にとどまります。
しかし、待てどもボートはやって来ません。途中で疲れて眠ってしまう二人。
気がつけば潮に流されて、二人は離れてしまいます。
なんとかお互いに見つけ合うことができましたが、体は疲れ、空腹でした。
そして取り残された現実を見つめ直さないければなりません。
お互い罵り合う夫婦喧嘩です。
不毛な喧嘩が一段落すると、お互い協力します。
しかし、そこにはいないと言われていたサメがたくさんいるのでした。
そもそもダイビングしているスポットからは潮流によってかなり流されています。

夫は噛みつかれ、かなりの出血をしてしまいます。
妻はベルトで夫の傷口を縛りますが、サメがいなくなる様子は全くありません。
くたびれた二人は会話もなくなってしまいます。
妻が気づいたときには夫は死んでいました。
夫から離れた妻ですが、夫がサメによって餌になっていることがわかります。
妻もその後海の中へと引きずり込まれてしまうのでした。


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感想

このあらすじの通り、何の展開もないまま、ただ、夫婦が大海原の取り残されて、恐怖に苛まれながら過ごしていく映画です。
そこには何のひねりもありませんが、これが実話がベースになっているということと、下手な演出がまったくないことが恐怖を引き立てます。

音楽もなく、それがまた怖さになっていますが、特撮どころかCGすら使われていません。
つまり俳優さんの周りを泳いでいるのは本物のサメです。
もちろんジョーズなどに登場するホオジロザメとかではありませんが、それでも危険であることに違いはありません。
調教されたサメということになっていますが、サメなんて調教できるのでしょうか?
無理でしょう。
映画を見ればわかりますが、巨大なサメではないものの、そんなに小さなサメではありません。
2mくらいの体長でしょうか。
俳優さんは迫真の演技というよりも、実際に相当怖かったと思います。
制作費が120,000ドルですから、円安の現在でも1500万円ほどです。
CGを使う予算もなかったのでしょう。
日本映画の予算でも普通はもっとかかっていますからね。

それにしても冒頭の夫婦の裸のシーンは何のために?というのが妻の感想でした。
確かにいらないシーンだと思いますが、裸になれる許し合える者同士ということを表現したかったのかな?と思っておきます。

研修中の離職

読書は通勤の時間を利用して、というのが多く、知らない間に何冊か本を読み切っています。
せっかく読み切った本ですから、自分の中に少しでも残しておこうと思って、書評らしきものをこのブログで書いてみたりもしています。

ゲームもあれだけ長い時間かけてプレイしているのだから、何らかの形で残したいと思いつつも、やったらやりっぱなしというパターンが多いですね。

本もゲームも新作に飛びつくことはあまりなく、ある程度落ち着いた状態で、価格もこなれてから手にすることが多いですね。
(貧乏なので?心は豊かなんですけどね)

それでも、積読の本や積みゲーが大量にあり、消費しきれないというのが正直なところです。

さらには映画も結構好きな方なので、ジャンルを問わずいろんな映画を見ています。
映画評というか見た記録としてブログに書いてみたりもしますが、時間が経過すると本当に記憶ってあやふやになってきますね。

せっかく読んだ本について書いていくつもりでしたが、仕事でなんだかんだ帰宅が遅くなり、自宅でパソコンを開く時間が少なくなりました。
日によっては、自宅のパソコンを起動しない日もあります。

お客様相談室というところで仕事をしています。
いわゆるコールセンターですね。
お客様から色々な質問やら相談やらを受けるコールセンターと呼ばれる職場です。
電話で話をしたりすること自体があまり得意でない自分ですが、こんなに長くこの職業をしているとは思っても見ませんでした。
そして長い間に色んな経験もさせてもらいました。
今はその経験をもとに新人たちの指導もしたりしています。
OJTと言われるものですね。

で、最近の新人(こういう言い方は年寄りくさいですし、若い人を一括りにするつもりは全くありません)の離職が多いと感じていることです。

お客様相談室という職場は新卒のピカピカの人と言うのはまずありません。
どちらかというと掃き溜めのような職業だと自分でも思っています。
ただ、そんな仕事だからと気を抜くつもりもなく、やはりその仕事によってお金を得ている以上、責任はありますし、誇りも持って仕事をしているつもりです。

自分で言うのもおこがましいですが、自分の娘や息子くらいの若い人もいるわけです。
前職がどういう職業だったのか、ということなんかはタブーではないですが、あまり個人的に根掘り葉掘り問いただしたりはしません。
そういうことをすると、すぐにセクハラだのパワハラだの言われてしまうと後々面倒なことになります。
そんな若い人に対して、自分の子供にいうような言葉遣いはもちろんしません。
私は基本的に年下の人に対しても、さん付け、君付けです。
呼び捨てにする習慣はありません。
親しくなって愛称で呼べる中に慣れば、親しみを込めて言いますが、なかなかそこまでならずに辞めていく人が多いです。

仕事なので、個人的な付き合いというのは不要ですが、職場で直に接しているわけです。
挨拶や言葉掛けと言うのはしっかりと行うべきところ。
そういう点が全然できていない人が増えました。
朝、あったら「おはようございます」と声をかけるのですが、軽い会釈だけと言う人とか。
無視されてはいないものの、ちょっとどうなんだろうと思ってしまいます。
挨拶なんて社会人として基本中の基本だと思うのですが、照れ隠しかなにかだったとしても、普通にすればいいだけのことです。
私たち内部のスタッフに対して挨拶しても、もちろんお金にはなりませんが、そんな基本を疎かにする人はやっぱり本番の顧客対応もうまくいきません。

電話相談室にかけてくるお客様の大半は、何らかの困っていることを抱えて連絡してきます。
世の中にはこれだけ情報が溢れていますから、インターネットから情報を取り出して総合的に判断して対処できる人=リテラシーが高いひとは基本的にあまり相談がありません。
困ったら電話する人はたいてい高齢者か、機械などが苦手な人です。
そういう人たちを相手に話をしながら状況を聞き出す問うのがこの仕事のポイントだと思っています。
ところが、最近入ってくる新人たちは、最初の関門で「できない」と諦めてしまうようなのです。
他人と会話するのが苦手なんでしょうか。
お客様でもない、こちらのスタッフに対しても「壁」があります。
「自分の殻」を持っていて、その中には当然立ち入れませんが、仕事中くらいはそこから出てきてほしいものなのです。
なので、こちらが教えたい本当のところが、上辺だけしか伝わっておらず、理解してもらえないのですね。

商品を購入したお客様からの相談を受けた場合、通常、普通に御礼の言葉が出るのが人としてあるべき形だと思うのですが、出てきません。
また、商品を利用していて、ご不満がある場合は、まずはその点に関して軽くでもお詫びするのが当たり前です。
それができないのですね。
いろいろな知識が乏しく、精神的にもアップアップな状況であることは理解していますが、そのためにやってきたロールプレイングという模擬電話トレーニングなのですが、活かされていません。


お客様(以下客):先日〇〇電機というお店で、そちらの〇〇という商品を買ったのですが~
新人OP(以下新):はい。
客:…〇〇の機能が動作しないので、聞きたいのです。
新:はい。(〇〇の機能ってなんだろう?)
客:… (なんか、頼りなさそうなひとだなあ~)
新:…
客:あの、ちょっとわかる人に替わってもらえませんか~

こういうパターンが山ほどあります。
商品知識が経験豊富なベテランと比べて乏しいことは致し方ないですが、挨拶くらいはまともにしようよ~というのが私の考え方です。
そのためのポイントは、お客様の置かれている状況を想像できるかどうかです。
新しい商品を買ったということに対して、普通は「ありがとうございます」と言う言葉が「自然に」出てくるものです。
そういう言葉が出ないこと自体に私は驚きがあります。
そしてお困りの状況を想像できないのか、おわびの言葉も「自然に」出てきません。
多分新人OPの頭の中は、質問された内容で研修中に学んだことを必死で思い出しているのでしょう。
そこにはお客様が存在していません。
お客様相談室なんて、お客様がいて初めて成り立つ仕事です。
お客様から電話で相談を受けて、気持ちの良い対応で、「やっぱり〇〇と言うメーカーの対応は違うな。次も○○の商品を買いたいな。」と思ってもらえるような対応をしていかなければ、これからのお客様相談室としての価値はありません。

人とのコミュニケーションと言うのはなかなか難しいとは思います。
ましてや初めて電話してきた初めての方とお話をして、対応すると言うのはやってみれば案外難しいものです。
だからこそ研修にも力を入れています。
ただ、その席に座って時間が来れば仕事が終わりと言う、アルバイトのような感覚でされては困るんですね。
だからこそ、気持ちを持ってお客様に寄り添ってほしいのです。
無茶なことをいうお客様もたまにいることはわかっています。
新人にそういう顧客の対応を押し付けたりしません。
そもそもそういう客はすぐに交代しろといいますしね。

特別難しいことを言っているつもりはないのですが、仕事としてお金をもらっている以上、研修中であっても、研修が終わった後でも、それ相応の責任感で仕事にあたってもらいたいと思います。

エミリの小さな包丁 森沢明夫

 

以前に読んた「ヒカルの卵」。

この小説がよかったので、この作品を手にとって読んでみる気になりました。

「ヒカルの卵」は山奥の限界過疎集落が舞台。

 

tails-of-devil.hatenablog.com

 

「エミリの小さな包丁」は海辺の小さな田舎町がぶたいですが、主人公エミリが都会から逃げてきたところから、始まります。

 

 

目次

プロローグ

第一章 猫になりたい カサゴの味噌汁

第二章 ビーチサンダル アジの水なます

第三章 彼女の毒 サバの炊かず飯

第四章 夜のブランコ チダイの酢〆

第五章 失恋ハイタッチ 早良のマーマレード焼き

第六章 やさしい武器 黒鯛の胡麻だれ茶漬け

エピローグ

登場人物

エミリ
タイトルにもなっている通り、この本の主人公。
あまり目立たず、友達も少ない。
とあることが原因で、都会から逃げ出します。

大三
もうひとりの重要人物がおじいちゃんの大三さん。
御年80歳にもなる老人ですが、無口で無骨。
風鈴作りを生業にしている職人気質で、ちょっと人が近寄りがたい雰囲気を纏っています。
釣りの名人であり、この作品で数々の美味しい料理を見せてくれる料理の達人でもあります。



 

あらすじ

両親が子供の頃に離婚し、母はとっかえひっかえ新しい男を作っているような女性でした。
兄は高校卒業後にそんな家を飛び出し、今はアメリカで暮らしています。
エミリは街で働いていましたが、耐えられない出来事があって、逃げるようにして「海のおじいちゃん」のところへ転がり込むのでした。

おじいちゃんは母方の祖父で大三という風鈴作りをしている人。
寡黙で近づきがたい雰囲気はありますが、釣りの名人であり、料理もとても上手なのです。
エミリが転がり込んできた日に、一緒に釣り上げたカサゴを料理して振る舞ってくれました。

龍浦という街は、海が近い綺麗なところですが、若者がほとんどいない田舎です。
それでもこの土地には同世代くらいの若者もいるのです。
一人は漁業をする心平さん。
そしてもうひとりはカフェを営みながらも、良い波が来ると店を放り出して海へと行くサーファーの直人さん。
心平さんと同級生で仲良しだが、エミリはすぐに気になる存在になります。

そしてエミリにはとても気になる人がいました。
直人さんと幼なじみの京香さん。
この街には似合わないほど洗練された美人で、人のあしらいもとても上手な方です。
直人さんとの関係がとても気になるエミリでしたが、ライバルにもならないほど素晴らしい人でした。

この街にも慣れ、きれいな海で釣りをし、美味しい魚の絶品料理を食べることで、癒やされてきたエミリ。
そしてエミリがいることで街の食堂へ働きに出ることになったおじいちゃんの大三さん。

そんなときに街から逃げてきたのに、友人の沙耶が押しかけてくることになりました。
エミリは本当は彼女のことはそれほどスキでもないのですが、もともと友人が少ない彼女にとっては貴重な人間の一人だったのでしょう。
強引に押し切られるようにやってくるのでした。
エミリにとってはあまり会わせたくなかったものの、直人さんや心平さん、京香たちと一緒にお酒を交わすことに。

そこで事件は起きてしまいます。
エミリの過去を知る沙耶は直人さんが目当てですが、京香さんがいることで面白くありません。
お酒が深酒になり、絡み酒となって、エミリの過去を酒の肴にぶちまけてしまうのでした。


感想

「ヒカルの卵」もとっても良い話でしたよね。
今回の主人公のエミリもとっても魅力的な可愛らしい女性なのですが、自分をアピールすることができずにいつも控えめなのです。
そして幼い頃父を離婚ということで失ってからは、恋愛も歪な方向に進んでしまって、その泥沼から逃げ出してきたんですね。

エミリは全く悪くありません。
ついでにいうなら、エミリの母の麻衣子もきっと同じで悪い母ではないはずです。
そんなことは十分わかっているのが、80年という長い人生を武器にしている大三さんです。
彼の作る風鈴はとても味わいがあり、趣があります。
この小説の所々に挿入される-凛-という音。
これは音を表しているのか、心の音を表しているのかはわかりませんが、良いタイミングでエミリのところに響いてくるのです。

そしてこの小説は料理、グルメの小説でもあります。
こういう小説としては「鴨川食堂」と言うシリーズがありますが、あれとちょっぴり近いかも知れません。
あの小説は短編で、それぞれの登場人物の人生を描いていますので、ドラマ「深夜食堂」に近いといったほうがい良いですかね。
鴨川食堂でも毎度食事の説明があるのですが、この小説でも大三じいちゃんが手作りの料理の解説があるのです。
おそらくどんな料亭へ行っても食べられないだろうな、と思わせるような逸品があるのです。

自称エミリの友人である沙耶は、もうメチャムカつく女で、この小説にはなくてはならないヒールです。
彼女の見たエミリは、男に上手に媚びて要領よく生きるずる賢い女に見えているらしいです。
人を見る目はその人を鏡のように映し出すと言いますが、まさにそれはそのまま自分のことを表しているのでしょう。
結局は魅力的なエミリに強い「嫉妬」をしていたのでしょう。
だからこそ、彼女をこき下ろすことによってのみ自分の存在が確認できるというか、悲しい人ですね。

 

最後は本当にほろりとさせてくれます。
良い小説ですので、興味のある方はぜひお読みくださいね。

オススメします。

 

 



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