悪魔の尻尾

みなさ~ん、元気にしておりますか?

セーヌ川の水面の下に

Netflix

Netflixで公開されているのを見ました。
ちびゴリさんが、ブログに上げていたのを見て、セーヌ川?サメ?と不思議に思っていたのですが、評価は上々、これは見なければ!と思っていたところ、Netflixを再開したので早速見てみたのです。

chibigori.hatenablog.com

あらすじ

海洋学者のソフィアが主人公なのですが、大西洋の海洋ごみの調査中に過去に調査のためにタグを付けていたリリスというサメに再会します。
リリスは想定外に巨大化しており、そのサンプルを取得しようとしてサメに襲われ、仲間を失います。
サメの保護を訴えるNPOであるSOS(Save Our Sea)という団体のミカという女性が、ソフィアにリリスセーヌ川にいて、その保護を手伝ってほしいというのでした。
ソフィアは若いミカをたしなめるのですが、サメは人間を襲わないと信じて疑わないミカは公的機関に知らせずにサメを海へ誘導しようとします。
ミカは不審者として警察に捕まります。
ミカからの連絡で警察に呼び出されたソフィアは、セーヌ川にサメがいることを伝えるも、警察は信じてくれません。
そんなタイミングでサメに襲われたと思われる死体が発見されます。
そしてソフィアを伴って警察はそのサメの調査に乗り出します。
調査の結果、巨大な生き物がいることがわかりましたが、NPO活動に身を投じるミカはリリスの保護に乗り出します。
警察署長は然るべき手を打つのですが、パリ市長はオリンピックを控え、国際トライアスロン大会の開催が眼の前に迫っているため、そういったネガティブな声は封印します。
ミカたちNPOの勝手な行動を止めるべく警察はその場所へ向かい、NPOの人たちを保護しようとしますが、ミカはサメは人を襲わないという自分の信念を曲げません。
しかしミカはサメに襲われ、そこにいた協力者たちは一斉にパニック状態に陥ります。
救助をしようとする警察官たちも含めて多くの命が失われます。
パリ市長に報告しますが、彼らの声を聞かず、サメの情報は公開しません。
そして警察ではなく軍に警備を任せて、彼らの動きは止められてしまいます。

 

感想

サメ映画の金字塔である「ジョーズ」と同じような強さとサメによるパニック要素を合わせたような映画ですね。
サメがセーヌ川という淡水に生息するというのも???という感じでしたが、この映画の冒頭には、有名なダーウィン
「生き残るのは最も強いものでも賢いものでもない。 変化するものである。」
という言葉が出てきます。
なんとなく想像できそうな展開。
その言葉の通り、このサメは変化できる”新種”です。
そのあたりは「ディープ・ブルー」の遺伝子組換えのサメを外洋に出して繁殖してしまえばどうなるのか?という点にも似ています。

汚いセーヌ川で視界が悪く、サメの姿はなかなか見えてきませんが、そういった恐怖感は「ジョーズ」で散々使われてきた手法です。
そういう見せ方はうまいですね。
ジェイソン・ステイサムの「MEG・ザ・モンスター」シリーズにはない恐怖感です。
しかし、この映画は、「ジョーズ」のように小さな島の話ではなく、その標的もリリス1匹ではないのです。
最終的には多くの人、トライアスロンの競技にも乱入した凶暴なサメたちによって阿鼻叫喚の世界になります。
更には司令系統のずさんな軍の指揮下に置いて銃を乱射し、セーヌ川の底にある不発弾が破裂し、パリの街は壊滅的な状態になって終わるというバッドエンドな映画です。
そこがハッピーエンドで締めくくるハリウッド作品と異なるフランスシネマなのでしょうか。

20歳のNPOのミカの暴走も気になるところ。
彼女の環境保護に対する危機意識は大いに尊重したいですが、社会のルールを破って警察の制止を振り切って勝手な行動をするのはどうなのでしょう。
警察と学者の調査中にサメを殺させないために妨害するのも非常に危険なことですし、その後の行動も大変です。
彼女を見ていると幼い子供なのに眉間にシワを寄せて訴えかける環境保護活動家のグレタ・トゥンベリさんを彷彿とさせます。
いや、もう彼女が暴走しなければ、大事にならずに住んだのに~と思っていたのもつかの間。
死者が出てもオリンピック開催が第一でその前哨戦としてのトライアスロン大会は中止するつもりはまったくないので、結局は大惨事になっているでしょう。
何よりも末端よりも上層部の判断ミスで大事になるというのは強烈な風刺で、これぞフランス映画の真骨頂?と言えなくもないです。
それにしても悲惨な状況でエンディングを迎えた映画。
水没し、オリンピックの競技場も水の下になってしまいます。
パリ・オリンピックどころではないですね。

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