悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

正欲 朝井リョウ

Amazonより

妻が購入してきた本です。
文庫本なのですが、紙の本を読むのは久しぶりです。
紙の本というのもいいものですが、文庫本は文字が小さくてやっぱり大変だな~と思うこともあります。
電子書籍では、結構大きめの文字で読んでいたりしますし。

カバーの写真を始めてみました。
妻から借りた文庫本では本屋のカバーがかかってありました。
カモですよね。
最初は急降下しようとしているのか?と思ったのですが、よくよく見てみるとカモの左足にはリングがハマっていて、それで吊るされているようなのです。
なんとも不気味です。

 

登場人物

寺井啓喜
検事。
妻の由美と小学生の息子泰希との3人で暮らしています。

桐生夏月
寝具店に再就職したOL。
中学時代に自分と同じ匂いを持つ佐々木佳道の存在を認識します。

佐々木佳道
食品会社に勤めるサラリーマン。
中学時代に桐生夏月の存在を認識します。

神戸八重子
金沢八景大学の学生で学園祭の実行委員を務めています。

諸橋大也
金沢八景大学の学生でダンスサークルに所属。
前年の学園祭のミスターコンテストで準ミスターに選出。

 

あらすじ

寺井一家の話。
寺井は検事ということもありおそらく学業も優れていたでしょう。
息子の泰希も私立の小学校に入れるなど、学業には力を入れていいる家庭ですが、その息子が小学生にも関わらず不登校になります。
なんとか学校に戻って欲しい父親とYouTuberとして新しい人生にチャレンジしようとする息子。
そして息子に寄り添う妻。
YouTuberとして楽しんでいる息子のことを理解できません。


そして桐生夏月と佐々木佳道の話。
彼らの中学であまりに小さいニュースが二人の性癖を呼び覚まします。
水道の蛇口を盗んだ男の逮捕。
その後、二人で校舎の裏にあった壊れかけの水道を蹴って、水を撒き散らした思い出。
二人は異性には興味を抱けず、水の形、水の吹き出している姿そのものに性的な刺激を感じるマイノリティーなのです。
結局彼らは社会での収まり具合を考えて契約結婚をします。
性的交渉はないですが、結婚しているということ自体が彼らにとっては大事なのです。

3つ目は大学でミスコンなどではないイベントを企画した神戸八重子と彼女が追いかけているダンサーの諸橋大也。
神戸八重子は見た目にコンプレックスがあり、また引きこもりの兄の性癖を見て、男性に対する恐怖心があります。
諸橋大也は桐生夏月や佐々木佳道と同じ性癖を持つ人。
神戸八重子は異性に興味を示さない諸橋大也を自分と同じ種類の人間と思い、寄り添おうとしますが、諸橋はそんな彼女を疎ましく思います。

感想


そもそも小説としてこれはどうなのだろう?と思ったりもします。
エンディングもいまいちでした。
ただ、読んでいるときはなんとも言えない気持ち悪さがありました。
そしてその表現、ところどころドン引きしてしまうようなところもありました。
性癖マジョリティ代表であるみたいな立ち位置の寺井啓喜ですが、妻と交わりで興奮する描写がなんとも言えない表現でした。
性器を押し込んだ分だけまるで心太のようににじみ出てくるを見ていた。そんな行為を繰り返すうち、啓喜はいつしか、由美の涙を見るだけで興奮するようになっていった。

こんな表現は今までになかったですね。
そしてこれもすごい性癖には違いないと思いました。

群像劇なので、主人公がどうなってというストーリーではないです。
ストーリーはありますが、それを追っていて楽しい小説でもないです。
桐島、部活やめるってよ」という本は読んでいませんが、映画はとても面白く、何度も見ました。

 

tails-of-devil.hatenablog.com

 


この作品も映画はかなり評価が高いみたいです。
そしてこの本を読んでみて、本自体はなんとも言えない味わいを出していますけれど、読んでいてワクワクしてくるような、ドキドキした展開があるなどそういうタイプではないです。
考えさせられるところはあるものの、自分の琴線には触れなかったという感じですかね。

 


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最近LGBT系の話題が多く、性的マイノリティの声をちゃんと聞いてあげてほしいという意見をよく耳にします。
ニュースなんかでも流れてきますが、そういうこと自体が「うざい」、「もう放っておいてくれ」、「構うな」ということもあるのではないかと思います。
実際わかってあげようとすること自体が迷惑だってのがこの本の主題でもあったりするわけです。
どうせわかりっこないのに、わかったつもりで接してくるというのはやっぱりうざいのかな?という気もします。
マイノリティはマイノリティで、LGBTだから~と声を大きくして主張するようになったらそれはもうマイノリティじゃないです。

また、性的マイノリティをどうこう言うつもりはないけれど、性的マイノリティのために、普通の人が気を使いまくらなければいけないというのもなんだか違うような気もしています。

 

この本の主題ではないですが、不登校少年泰希が年号が変わることに着目して、「時代は変わっていくんだ、学校なんか行かなくっても生きていく道はあるんだ」として不登校少年同士でYouTubeのチャンネルを立ち上げます。
個人的には「ゆたぼん」が頭に浮かびました。
少年革命家ですか。
結局中学に戻ったのかな?彼は。

 

 

 



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