Amazonプライムのせいでついつい動画を見てしまう。
深夜食堂というドラマ。
基本的にテレビドラマはあまり見ない方だが、見てしまった。
第1話と第2話。
もうハマってしまっている気がする。
そして映画版の「深夜食堂」を見た。
映画だけあっていつものドラマのように食堂内の会話で完結するのではなく、周りの風景も描かれる。
主演はもちろん小林薫。常連さんも同じ。
なんてことのないドラマなのだが、味わい深い。
そして映画版も同様。
深夜食堂という普通の人は食事をしない時間に訪れる客。
皆それなりに事情があって、それをマスターにこぼす。
マスターはあまり喋る人ではない。
喋らずとも、作る料理に客は癒やされて、ついつい愚痴をこぼす。
変に気を使って相槌を打つわけでもなく、また無視をするわけでもない。
程よい空間。
メニューは豚汁定食とお酒のみ。
それ以外のものはお客様の注文に応じる形。マスターが作れるものは注文をすれば作ってくれる。
営業時間は夜の12時から明け方の朝7時頃まで。
当然、そんな時間なのでお酒を飲む人も多い。
しかし居酒屋ではなく「めしや」なのである。
店の作りは綺麗ではない。
どちらかと言うと小汚い飯屋に過ぎない。
しかしこんな時間にその店に入って、気に入ってしまった人たちは常連として通い詰める。
毎日のように来る人もいるだろうし、定期的に顔を出す人もいる。
常連の好みの品も色々ある。
オカマバーのママ?は甘めの卵焼き。
ヤクザは赤いウインター炒め、いわゆるタコさんウインナー。
お茶漬けシスターズ。
マスターの作る料理はどれも豪華なものでも何でもないが、どれも美味しそうである。
ドラマのラストには料理のコツみたいなものがあって、ああいうのを見ると全く料理をしない、出来ない私でも卵焼きでも作ってみようかなと思ってしまうのである。
さて映画版の「深夜食堂」も基本路線は同じ。2時間ほどの映画なのでドラマのようにシンプルではなく、ちょっと凝ったものとなっている。
ナポリタン
とろろご飯
カレーライス
と話は3つに別れている。
不動産屋社長の妾で社長が亡くなり、もらえると思っていた遺産ももらえず、スポンサーがいなくなった女性「たまこ」。演じるのは高岡早紀。
遺産をもらえず愚痴る「たまこ」をホッコリさせるのは「ナポリタン」である。
その「ナポリタン」をきっかけに、彼女と全く似合っていない若い冴えないサラリーマンの「はじめ」が交際をはじめる。
どちらも間違いに気づくのはそんなに時間がかからなかった。
本妻が遺書をかきかえたのがバレて、「たまこ」は遺産をもらえることになった。つまりカネを得たので若い冴えないサラリーマンはお役御免である。
冴えないサラリーマン、「はじめ」役は柄本明の息子の柄本時生。ピッタリである。
「とろろご飯」のお話は食い逃げから始まる。
食い逃げをしなくてはならないほど困窮を極めていた女性が多部未華子演じる「みちる」という女性。
何日も風呂にも入っておらず、公園の水で飢えを凌ぐほどの生活。
いったん食い逃げをした「みちる」だが、また「深夜食堂」に戻ってきて、お詫びに働かせてほしいという。
ちょうど手首の調子も悪く、マスターはとりあえず手首の調子が良くなるまで食堂の上にある空き部屋で住み込みで働いてもらうことになった。
料理の道を目指していた「みちる」にとっては居心地のよい空間となったが、マスターの手首の調子が癒えてくるとこの食堂には不要な人材。
去らねばならない。
この店の常連の一人でもある一流の料亭の女将(余貴美子)が彼女を自分の店で働かせることになるという話。
彼女が困窮を極めた原因がやはり男。どういう関係なのかは明確には描かれていなかったが、女のなけなしのカネを持ち逃げするような男である。
貧乏な田舎の娘。両親も幼い頃からおらず、祖母にそだてられた「みちる」だが、この食堂との出会いをきっかけに新しい生活へスタートを切る。
最期の「カレーライス」の話は東北の震災の影響の話と絡む。
ボランティアに精を出す「あけみ」と東北の男との話。
女を追いかけて東北から東京にやってきた男。
その男を拒絶する女。どちらも嫌いではないが、男にも女にもそれなりの事情があり、どちらも自分を許せていない。
この「深夜食堂」を舞台に彼らの本当のことが浮かび上がってくる。
最後に登場した大物女優、田中裕子はゲスト出演的なちょっとした出番のみだが、存在感あり。
映画のはじめのほうに登場した骨壷をこの食堂に置いていった張本人でもある。
ドラマ版ではよくわからない人物、おそらく作家?くずれ?の人物として常連客の一人である人物を演じていたオダギリジョーが近所の交番のおまわりさんとして登場。
これが一番以外だったが、どちらの役もハマっていると思う。
いい映画だわ。
小林薫はやっぱり存在感そのものがいい感じである。
「なんだい」「そうかい」というそっけない一言、口下手な感じが非常にいい。
朴訥な感じがこの店の雰囲気と相まって良い空間、雰囲気を出している。