悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

サバイバル・ウェディング 大橋弘祐

Amazon Prime Reading にて無料で読んだ本。
いや、面白かった。
テレビドラマみたいなと思っていたら、すでにドラマ化されていて、また映画化されているとか。
主人公の「黒木さやか」は三十路前の女。彼女の本音がズバズバと描かれていて、それでいて頑張り屋でもあるところから、思わず応援したくなるようなキャラクターだった。
一方、彼女との結婚直前に結婚を取り消した元彼氏のサイテーっぷりも、ここまでサイテーとなると潔い気もする。物語の初めから終わりまでサイテーだったが、最後には輝いていた高校生の頃のことも少しは書かれていた。
まあ、人生のピークが高校時代だった気の毒な人ではある。
友人の多香子も話せる女性。物語の中で同期でありながらもこれまで接点がなかったが、さやかの寿退社失敗→出戻りで急に親しくなった。二人の友情の話もなかなか濃い内容が多く、面白かった。
酒が強くて、本音をズバズバいう点も、行動力がある点もさやかとは違った魅力のある女性。男運はさやかに劣らず悪いイメージ・・・。
そして何よりもこの物語を盛り上げてくれたのが雑誌rizの編集長である宇佐美氏。
キザなセリフを連発する中年ながら、仕事に対する思いは強く、彼がファッション業界の置ける人物の「名言」をたとえに出してくる話は、コミカルながらもまるで「ビジネス書」のようなところもあり、深くうなずけるような内容もある。
自分が大好きなナルシストであり、それが笑いネタになっているが、なかなかどうして魅力的な男性で、なぜ結婚しないのか謎な存在。
主人公のさやかに対してはドギツイいじりを連発するが、その裏は非常に思いやりのある優しさを持った熱い男である。
まさにこの出版社におけるスーパーな編集長で、父のいないさやかにとっては本当に最後には父代わりに結婚式にエスコートしてくれる。
物語の途中では上司との恋愛になるんだろうかという予感もちょっとはあった。
なにしろさやかは物語スタートで29歳。途中で30歳のバースデーを迎える微妙な年齢。一方編集長は41歳で恋愛対象には充分なる年齢。しかも自分が格好良すぎると思い込んでいる性格はともかく、容姿は悪くはない。
ともあれこの本の重要人物である。
最後は恋の相手になる柏木祐一。イケメンで誠実、夢に向かって努力をする熱い男。何かもパーフェクトなイメージだが、彼の夢はインドで旗揚げすることである。大きな会社の社長の息子だが、父親は厳しい。裏返せば息子に対する過保護でもあるが・・・。
彼の夢を支えていけるのかどうか揺れる女の本音も描かれていて面白い。

 

 

サバイバル・ウェディング

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