綾辻行人の館シリーズである。
今回も例によって、中村青司の奇妙な建物、時計館が舞台。大学のミステリーサークルがこの舞台の獲物である。あれ?これって同じようなパターンが・・・。ただ、今回はミステリーと言っても推理小説ではなく、超自然現象、霊的なものなどを研究するサークルである。いつもどおりのお寺の放蕩息子の島田潔も登場。ただ、この作品では鹿谷門実という名前で推理小説の作家としてデビューしたあとの設定となっている。
閉ざされた空間の中で繰り広げられる連続殺人。犯人は誰か。終盤になり犯人像が明らかになってくるが、どうもしっくりこないと思っていたら、最後にどんでん返しが待っているというパターン。つじつまが合わないというよりも強引な展開という感じが否めない。しかし読み物として非常に面白い。
最後の方の一文が良かったな。
引用ーーーーーーーー
お前にとって時間の本質とは何か、と質問されたとき、僕はいくらか考えあぐねた末、多分に自嘲的な気分でこう答えざるを得ない。つまりそれは、時計の動きであると。この機会によって初めて、僕たち現代人は”時間”を明確な形として捉えることができる。僕らは時計によって時を計り、時を支配しているつもりでいるけれども、実のところは逆に、時計の動きが創りだす”時間”によって肉体と精神を拘束され、支配されているのに他ならない、ということです。
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今までの作品で最もボリュームがあるが、興味のある人は是非読んでもらいたいと思う。

- 作者: 綾辻行人,皆川博子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1995/06/07
- メディア: 文庫
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