悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

臨機応変と朝令暮改

臨機応変という言葉が嫌いです。
自分が人に指示するときにこの言葉を使うことは可能な限り避けています。
簡単に言うと、「状況に応じてうまくやれ」という指示ですね。

この「臨機応変」というのは良い意味で使われる言葉だと思うのですが、私はどうしてもこの言葉に良い意味を見いだせなくなってきました。
この言葉を好んで使う上司とかをたくさん見すぎたせいかもしれません。

もちろん「臨機応変」に対処しなければならないシーンは多々あります。
ただ、いきなりではなく、予めどうなるか事前に色んなパターンを考え、それに対する備えというものが大事です。
つまり具体的な内容を伴った「指示」が必要なんですね。

事細かく、指示を出すというのは難しいでしょう。
大きな枠組みの中で、いくつかのパターンを考え、「方針」としての考え方や指示は必要なのです。
そしてそれはきちんと形を持ったもの、具体的なものでないとイケないと思うのです。

概念的な指示を出して、人によってはいろいろな判断、Aとも取れるし、Bとも考えられるというような指示は、全然指示になっていないのです。

臨機応変
とても便利な言葉で、この言葉を多用する人は信用できません。

一方、逆に悪い意味で使われる言葉でも、良い印象を持っている言葉もあります。
その例が朝令暮改
もともとは漢の時代の故事で、朝に命令を出したものが夕方には別の命令となっていることから、コロコロ指示が変わるという意味です。

この朝令暮改を嫌う、あるいは一貫性を保ちたいという気持ちが働くのか、「男に二言はない」みたいな人たちは柔軟な変化ができません。

故事にある「朝令暮改」は本来悪い意味で使われますが、変化の激しい現代では、「朝令暮改」を辞さない人が上に立たないと、時代に取り残されます。

優れた指導者というのは、時として、急に考え方や方針を改めます。
変化の激しい今の時代には必要な資質ではないかと思うのです。

方針をコロコロ変えることを良しとしているわけではありません。

やはり方針を大きく改める場合は、まずはこれまでの誤りに気づいたことを伝え、場合によってはお詫びし、新しい方針について、きちんと説明をする必要があります。

説明を省いて、方針を変えてしまうと、現場は大混乱に陥り、まさに故事のいうところの「朝令暮改」となるわけです。

そんな「朝令暮改」となじられることを苦にもせず、改めなければならないと思えば、「武士に二言はない」みたいな変なこだわりも捨てられる人でないと、この激動の時代の舵取りは難しいと思っています。

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