悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

最後のドン 飯干晃一

Kindle Paperwhiteを通勤時の読書に使っています。
購入してから5年を過ぎ、バッテリーもかなりヘタってきたような気がします。
以前は1ヶ月位充電しなくても使えたような気がしますが、今は油断しているとバッテリーが上がっていたりします。
というか、Kindle Paperwhiteでバッテリーが上がって使えなくなったのは初めてだったので焦りましたね。

飯干晃一さんといえば、娘さんの飯星景子さんを思い出します。
同世代の彼女は、有名な父を持つ娘で、美人でしたから、どういう人生を歩むんだろうと思われながらも、統一教会に入信してしまいます。
父の飯干晃一さんは、娘を取り戻すために統一教会と戦い抜きました。
その激烈な闘いの影響でしょうか?
あっけなくなくなってしまいましたね。

さて、飯干晃一さんといえば、「仁義なき戦い」ですね。
血で血を洗う広島やくざの抗争を描いた深作欣二さんの映画で有名ですね。
あの独特のテーマ曲。
何度も聞いています。


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特に広島死闘篇が好きでしたね。
この作品に出ていた俳優さんたちは、それぞれ大物でしたが、徐々にお亡くなりになりましたね。
さみしい限りです。

 

目次

第一章 突発的なできごと

第二章 若頭選びの入り札

第三章 組を襲う暗闘と亀裂

第四章 彼らは首脳を失った

第五章 義の理念と最後のドンは消えた

あらすじ

鬼頭組鬼頭竜夫は今や巨大組織の頂点に立つドンでした。
鬼頭組の配下には直系の子分がおり、それぞれが組を持つ親分でもあり、それらの幹部を束ねている最高幹部会が実質的にこの巨大組織の運営基盤となっています。
最高幹部会のトップである若頭大江常安が突然交通事故により亡くなってしまいます。

鬼頭は現在の組織において最も気を使ったのが組織のバランスでした。
そういう意味で地味ながらも親分の心を読むが如く、大江常安はこの組織を束ねる上で得難い人物でした。
しかし亡くなってしまったからには次の体制を構築しなければならなくなります。
若頭だった大江常安を除き、幹部である若頭補佐は6名いました。

塩田博夫
坂東健男
山形一太郎
磯島半次
室田清一郎
荒巻修介

塩田と坂東は同期で起動がまだ若い頃から付き従ってきた人物。
ちなみに亡くなった大江常安も同年齢で彼らは同格でした。

山形一太郎、磯島半次、室田清一郎、荒巻修介は、若い頃から鬼頭に付き従っていたものではなく、一時は敵陣営にいたものもいました。
塩田、坂東は子分になってから26年。
山形は12年。
磯島は13年。
室田は14年。
荒巻も14年ですが、年齢は鬼頭のひとつ上であり、更に鬼頭組内では最大の勢力を誇り、軍事力、経済力ともに抜き出た存在でした。

鬼頭は、昔から付き従った子分を差し置いて、お気に入りの山形を推す事もできず、力のある荒巻をもってくるつもりもありません。
結局のところ、年功序列からシオヒロこと塩田博夫かバンタケこと坂東健男のどちらかになるしかないと思うものの、帯に短し襷に長し、鬼頭は長く思案したあげく、入り札という方法を取ることにし、幹部会で1週間後に極秘に行うことを告げます。

幹部会には次の親分候補でもある若頭に色めき立ちます。
荒巻はこの入り札に目をつけます。
頭の良い彼は、どう考えても自分に若頭になる見込みはないとみるや、自分が御しやすい若頭を担ぎ上げようと画策します。
昔気質な坂東よりも事務的な人間でもあるシオヒロを傀儡政権として担ごうとしました。

荒巻の卒のない動きにより入り札で塩田に決定したかに見えた若頭でしたが、姐さん、つまり鬼頭の妻である起代が反対します。
塩田と起代は長い付き合いであるものの、昔から反りが合わないのでした。
一方のバンタケは今もちょくちょくやってきては、色々と話しをする仲であり、起代にとっても可愛げのある人物だったのです。
そして決まりかけていた若頭には鶴の一声、ドンによって坂東健男に決まるのでした。

バンタケは感激し、颯爽と若頭として采配を振るうことになります。
しかし、タイミングも悪く、オイルショックによる景気後退と物価高というスタグフレーションによって、巨大組織の切り盛りに苦悩します。
バンタケは6名の若頭補佐を追加することによって、自分が采配を振るいやすいように最高幹部会の改革をします。
そんな折に下部組織である組同士のつまらぬ喧嘩をきっかけに火種が発生。
ドンの鬼頭は火種を本格的な火事にならないように幹部会の連中に仲裁を禁じます。

ところが、荒巻はコッソリと片方の組に肩入れするのでした。
もちろん荒巻の名前が出ないように厳しく釘は刺したのですが、下部組織の組としてはなかなか交渉がまとまりません。
そして思慮の足りない組の幹部が交渉に焦れたのが、ポロリと荒巻の名前をちらつかせてしまったのでした。

それを聞きつけたバンタケはさっそく荒巻を最高幹部会のメンバーである若頭補佐から外しました。
そしてドンの鬼頭へ報告をします。
それとともに、巨大な力を持つ荒巻の力を削ぐために画策していくのでした。

感想

ヤクザが好きということはありません。
ただし、あまりにも自分の生きてきた世界とはかけ離れているので、こういった物語、ゲーム、映画などを通して楽しんでいます。
ゲームは龍が如くシリーズ。
所詮ゲームと言ってしまえば、それまでですが、独特の世界観をインタラクティブに楽しめます。
そして映画では何と言っても「仁義なき戦い」シリーズですね。
この本も原作者は同じで、登場人物こそ違うものの、世界観は同じです。
映画もいいですが、本を読んでみるのもいいですね。

仁義なき戦いは広島やくざのお話ですが、この最後のドンでは、地元大阪が舞台で、西成やら高槻、大淀と言った地名が出てきます。
時代もかろうじて私が子供の時代とかぶりますので、なんとなく雰囲気がわかってしまうんですね。

最後のドンというタイトルですが、ドン鬼頭竜夫が活躍するシーンと言うのはそれほどありません。
そもそも鬼頭はドンで、活躍するのは組を切り盛りする若頭です。
更にドン鬼頭は終盤には亡くなってしまいます。
ドン亡き後の跡目も決まらず、若頭として力をつけてきたバンダケも体を壊し、あっけなくこの世を去ってしまいます。
もう一人のドンは鬼頭竜夫の妻、起代ですね。
気丈な女性で、ヤクザとは縁もゆかりもない高学歴女性ですが、一本気で、真実を見つめる力のあった鬼頭を愛し、半ば駆け落ちのような結婚をしたのですね。
彼女は鬼頭が若い頃から一緒になった女性で、彼の子分たちが幼い頃から面倒を見てきたのです。
彼女の半生もこの本の一つのテーマではないかと思います。

そしてこのヤクザの物語を通して見えたのが、世の中の縮図。
今の日本も巨大な暴力団組織と何ら構造的に変わるところがなく、力、利権による派閥争いに終始。
昔と違いおいしい親分稼業を手放さない高齢の親分たちが居座り、下の者たちの不満鬱憤がたまりまくっている状況ですね。

 

 

 

 

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