悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

軍師の門

 

Kindle Unlimitedで読んだ本。
上下巻あり、そこそこの分量もあるので通勤で読むには時間がかかる。
読んでみると何故かストーリーがすんなり入ってくるのはNHK大河ドラマの原作だったからか。
軍師官兵衛はこれがどうやら元になっているらしい。
当時、女房とよく見ていたので、あの大河ドラマを見ていた人は読みやすいと思う。
まあ、上巻の竹中半兵衛編は大河ドラマには殆どなかった部分もあるが、下巻の黒田官兵衛編を読むにも竹中半兵衛の話があるとずっと面白くなるのである。
人物としてみると諸葛亮孔明のような超人的なところは竹中半兵衛のほうがイメージが合うが、泥臭い交渉ができるのが黒田官兵衛というイメージ。
斎藤家の家臣でありながら、僅かな手勢で難攻不落の稲葉山城を乗っ取った軍略の奇才であるが、我が身の病弱さよりどこか世捨て人的なところがあり、それだけに死というものに対して恐ろしいほどに客観視している天才である。
一方の黒田官兵衛は4つ年下でまだどこか青臭い若造であった。
稲葉山城を乗っ取りながらも、すぐに城を返上し、若くして隠棲するという竹中半兵衛に対して勝手な憧れを抱いて、はるば会いににやってくるが、そこで現実を突きつけられ、一気に嫌悪するようになる。
そういったいきさつの後、半兵衛は秀吉の軍師として三顧の礼をもって迎え入れられる。半兵衛は自分の短い寿命をこの秀吉という時代の寵児にかけてみようと思い、臣従する。またたく間にその才能を発揮し、秀吉は織田家にとって書かせぬ人材となっていく。
一方黒田官兵衛はまだ小寺家の家臣でその才能を評価されながらも、世に名を知られるまでにはなっていない。何よりも当主の小寺政職には彼の才能を活かすこともできず、どうにもならない。
しかしながら、時代は動く、圧力を強めてくるのは西側の毛利だが、毛利には天下を治める器量がないことを官兵衛は見抜く。そして自ら小寺家を織田家重臣となった秀吉に売り込みに行くのである。
小寺家が織田家に臣従するようになり、半兵衛と再会を果たす。ライバルであり、意識せざるを得ない存在だが、次第に彼の心と通じるものができてくるあたり、歴史の様々なことを通して描かれる。
黒田官兵衛荒木村重の謀反によって有岡城に囚われ、黒田官兵衛自身が信長に嫌疑をかけられる。
そんな中、冷徹と思われていた半兵衛だが、その心は「友」を大切に思う心に満ち溢れていた。人質となっていた官兵衛の息子は信長の命令によって処刑されることになっていたが、匿い、育てていた。もちろん自らの命もかかっているのである。
やっとの思いで有岡錠から救出されるが、そのときには半兵衛はすでにこの世の人ではなくなっていた。
彼の残した軍扇を受け取り、秀吉の軍師となって活躍する。

秀吉が天下人になってからは遠ざけられていたが、秀吉没後の争いに乗じて九州を抑えて自ら天下に号令しようとしたところなど黒田官兵衛らしい。

 

 

 

軍師の門 上 (角川文庫)

軍師の門 上 (角川文庫)

 
軍師の門 下 (角川文庫)

軍師の門 下 (角川文庫)

 

 

Copyright ©悪魔の尻尾 All rights reserved.