アジアカップ優勝おめでとう。
予選リーグの時の戦いぶりからとても優勝できるとは思わなかった。多分多くの人がその時点ではそう思っていたはず。
格下のヨルダンに足元をすくわれかけ、なんとか引き分けに踏みとどまった試合。今にして思えば、あの引き分けは大きかった。
終始攻め続けながらも、決定力不足を露呈。逆に守備は敵のワンチャンスを止めることができなかった。
それでもロスタイムに何とか追いついた。負けなかったのがよかった。負ければ次の試合も引き分けで終わっていたかもしれない。
そうなれば今回のサウジみたいなもんだろう。
シリア戦もやばかった。先制はしたが追いつかれる展開。初戦を引き分けた日本は引き分けでは決勝トーナメントが相当厳しくなる。
引き分けるわけにはいかない。微妙な判定はあったもののGK退場、PKで同点に追い付かれるという最悪の展開。
しかし10人になってから開き直ったかのような果敢な攻めを見せた。途中出場の岡崎がいい働きをした。今大会のMVPともいえる働きぶりだったと思う。
3戦目はサウジアラビア戦。これほどまでにやる気のないサウジアラビアもなかった。日本らしくなく早い時間帯に先制、2点目と入り楽な展開。
この試合だけは楽勝だった。
予選リーグを1位通過した日本は開催国カタールとの戦い。判定に？がつくシーンも多かったが、この試合でも10人になってしまう。しかも劣勢に立つ。
以前の日本チームなら意気消沈であったが、まだまだ闘志がみなぎっていた。こんなところで負けてたまるかという気迫があった。その気迫により逆転する。カタールはベンチに下がった選手もうつむいて泣いている。この違いが鮮明に記憶にのこっている。
準決勝は宿敵韓国。この日もPKで先制を許す。しかし左サイドからの切れ込んだ長友からのパスをフォワードの前田が見事に決める。その後も両チームは一進一退を繰り返すが、決まらず１−１のまま延長戦へ。延長前半に日本は1点をもぎとるが、延長後半のロスタイムに失点。120分で決着がつかず、PK戦へ。ここから川島に何かが取り付いたかのような鬼セーブを連発。立て続けに2本を止め、3人目はゴールマウスを外してしまう。日本は3人目が外したものの、4人目の今野が決め、決勝へ。
決勝はかつて苦い思い出のあるオーストラリア。あの頃の主力、キューエル、ケーヒルがそのまま残っている。そして大きな体と強いあたり。高さではことごとく負ける。こういう大型のチームにぶつけたいのは香川のようなキレのある選手だが、前試合で骨折。日本もオーストラリアもお互いにチャンスを作りながら決定力がなく90分を過ぎて０−０。まあ、どちらかというとオーストラリアの押し気味の試合であったが、川島を中心によく守った。1対1の場面もよくしのいだ。決勝も延長戦となった。延長線となって運動量の落ちた両チームの選手の中にあって、無尽蔵のスタミナを誇る長友が大活躍。ついには左サイドから決定的なクロスを上げる。ゴール中央には途中出場の李忠成。トラップすることなく豪快にボレーを振り抜いた。きれいなゴール。高さではかなわないと見た日本はクロスを高いボールではなく低いボールをニアに合わせて蹴り出していた。この時だけはお手本通り中央へ高いたまを上げる。オーストラリアのDF陣は完全にゴール前のFWをフリーにしてしまった。そこで見事に決めた美しいボレーシュート。なんどもテレビで流れることになるだろう。
いやあ、本当にいい試合の連続で、ひやひやしながらも全試合をしっかり見た。感動を有難うと言いたい。
MVPには本田が選ばれたが、順当。確かにゴールこそなかったが、攻撃の起点となっていた。ザックジャパンの中心選手であるのは間違いないだろう。
決勝ゴールを決めた李忠成はヒーローだが、お膳立てをした長友も褒めてあげたい。まさにスタミナの塊。スピードもある。そして彼がすごいのは相手が強くなればなるほど力を発揮するタイプのようである。1対1も強かった。
攻撃陣では岡崎の貢献ぶりを上げたい。ディフェンダーの裏へ走りこむ、愚直なまでに動きまくる。そして得た、値千金のPK。いい動きだった。
日本のボランチも素晴らしいと思う。世界を探せばすごいボランチはいるだろうが、現在の日本では遠藤、長谷川に代わるものはいないと思う。長谷部の体を張ったプレー、高いキャプテンシーは見ていて気持ちよかった。また遠藤も地味ながらも随所にバランスをとる、全体を見渡す力でチームをコントロールしていたと思う。ふたりともお疲れ様。
DF陣はこれからだと思う。特に期待したいのは若い吉田。恵まれた体格としっかりとしたテクニックがあるのであとは経験を積んで奢らず精進してほしい。今後10年は頑張るつもりで日本の中心DF、CBになってもらいたい。
長友はもはやワールドクラスなんじゃない？言うことない。日本の誇る武器になるだろう。逆サイドの内田にはスピードを生かした攻撃力を活かしてもらいたい。DFとしてはまだまだ怖い。1対1での信頼がおけないのでフィジカルを含めてもっと鍛えてほしい。
GK川島はポジショニングの悪さで失点はあったが、よく止めてくれた。高い能力を持っていると思う。韓国とのPK戦は神がかり的だった。今後も語り継がれると思う。
