ニュースやダイジェストで結果を知っていたので、点差だけを見れば王国スペインの崩壊という図式しか見えてこないが、点差ほど差はない試合だったらしい。
自分の目で見ないとということで録画していた試合を休みの日にじっくり見てみた。
今大会グループリーグ注目の一戦である。なんといっても前回南ア大会の決勝戦のカードだし。
雪辱を期しているオランダはじっくりと王者スペインに対する策を練ってきており、5枚のDFにボランチが2枚という守備的な布陣。
攻撃は世界有数のタレントであるロッベン、ファン・ペルシーというストライカーと司令塔スナイデル。この3人の個人技頼みという感じか。
さすがにスペインとは言え、ボールは支配できても攻撃にリズムが生まれない。
それでもシャビからジエゴ・コスタへの裏へのパスでペナルティエリアでファウル。PKをで先制する。
俄然有利に試合を進められるはずだが、余裕がありすぎたのも問題なのかもしれない。
勝ち慣れすぎた?
前半はスペインらしさがあまり出なかったとはいえ、内容は悪くはない。ボールを支配していたのはやはりスペインだったと思う。
しかし、1点リードで折り返すと思われた前半終了間際のファン・ペルシーのヘディングが素晴らしかった。
1-1の同点で折り返す。
後半も前半と基本的には同じ。ボールを保有して華麗なパス回しで攻めるスペイン。
対してオランダはディフェンシブでロングボール。堅守速攻型。
勝ち越し点はロッベン。ロングボールのトラップが素晴らしかった。シュートがディフェンスにあたってGKカシージャスが逆をつかれたような感じ。
更に残念なのは3点目。ゴール前のクロスにせったファン・ペルシー。キーパーがキャッチできずに詰めていたプレイヤーに決められる。
キーパーチャージでは?という風にも思ったが、審判の判定は覆らず。
1-3と圧倒的に不利になったことでリズムは大きく崩れてしまう。
王者とはいえ、相手は強豪、前回の決勝の相手。この点差で焦るなという方が無理。
焦りはさらなるミスを生む。カシージャスがトラップミスでファン・ペルシーにこの日2点目のゴールを決められる。
攻めるスペインを更に追い詰めたのはロッベンのスピード。ロングボールがディフェンスの裏に。ディフェンダーとの駆けっこではロッベンは負けない。5点目。ロッベンもこの日2点目。
結果1-5という大敗だが、日本が負けたことと単純に比較しても意味が無い。
同じパスサッカーをするスペインと日本が負けたということでやはりパスサッカーの限界を指摘する人もいるが、そんなものではない。
日本の敗退は攻める姿勢にかけていたこと。ボールを支配されすぎていたことが原因。
そしてあまりに短い時間に立て続けに決められたこと。
逆に本田のゴールの後、日本は攻めている時間帯があった。決めきれなかったこと。
大敗したスペインだが、実力差があったとは思わない。前半にも突き放すチャンスもあった。
気になったのはブラジル代表をやめてスペイン国籍を選んだジエゴ・コスタ。
スペインのワントップとして先発したが、ボールに触れるたびに大ブーイング。会場全体を敵に回したのかアウェーのような状態だった。
スペインも日本もまだグループリーグ敗退が決定したわけではない。
前回優勝したスペインも初戦でスイスに敗退している。
しかしデータが示す通り、初戦を落とすと厳しいのは間違いない。
不運だったことに加えて相手は強豪。単純に点差で強弱は語れない。
もちろん得失点差になった時にはこの初戦の大敗は大きな意味を持つ。
それでもスペインの決勝トーナメント進出と日本の決勝トーナメント進出の確率を考えると日本はまだ相当厳しい。
スペインも死のグループであるが、最大の強敵オランダ戦が終わった。チリも強豪だが、チリとオーストラリアに2連勝することは十分可能である。
更に言うならこの日のFWに変えて大舞台に強いトーレスや前回大会の得点王ビジャもいる。セスクも出ていない。まだ試せることはたくさんある。
一方日本。コートジボワールが強かったというよりも日本らしさが出せなかった。
ギリシャ、コロンビアに続けて勝つのは至難の業。FW柿谷はまだほとんど機能していないので期待だが、こうやって見ると選手層が薄いことに気づく。何よりもCBの吉田、森重がともにカードを1枚ずつもらっているので、ギリシャ戦後どうなるかも微妙。
厳しい戦いが続くがまずはギリシャ戦を勝たないとどうにもならない。