悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

野球は確率のスポーツだ! ビッグデータベースボール トラヴィス・ソーチック

画像はAmazonより

Kindleで読みました。
先に購入したのは「マネーボール」だったのですが、そちらは積読状態です。
先に映画を見て興味を持って購入したのですが、まだほとんど読んでいないですね。

 

tails-of-devil.hatenablog.com

 

 

そしてこちらの本ですが、「マネーボール」よりも新しい本であり、より最新の技術を用いたデータ野球の本となっています。
サブタイトルに20年連続負け越し球団ピッツバーグ・パイレーツを蘇らせた数学の魔法となっています。
マネーボール」ではオークランド・アスレチックスでしたが、今回はピッツバーグ・パイレーツです。
どちらも弱小に違いなく、そしてニューヨーク・ヤンキースロサンゼルス・ドジャースのように大金を投じて補強するというメジャーリーグならではの手法は取れません。
なければないなりに知恵を絞った結果なのですね。


さて内容ですが、ちゃんとした読み物で、データ解析のための手法とかそういったものには重みを置かれていません。
なのでセイバーメトリクスについて詳しい内容を知りたい人にはあまりおすすめできませんが、プロ野球においてデータ革命がどの様に進んできたのかを知るうえではとても面白い本なのです。
野球が好きでセイバーメトリクスに興味はあるもののよくわからない、と言った人にはぴったりな本だと思います。

20年連続負け越しというのは地元の地域に根づいているプロスポーツにとって存在価値を疑われるようなものです。

そういう状況下で監督であるクリント・ハードルは、大胆なチーム改革に乗り出します。
もともとこのハードルという監督は保守的な監督で、昔ながらの野球のやり方でした。
その理論的根拠は、昔から伝統的に行われてきていることに間違いがなく、選手やファンを含めて受け入れられやすいからと言うのもありました。
しかし2シーズンともに序盤は期待をもたせつつも後半戦には失速し、終わってみれば「今年もまた負け越し」てしまいます。
勝つために知恵を絞った結果、大胆な改革に乗り出します。
マネーボール」も大変面白い話(映画)できっと本も面白いだろうと思っていますが、こちらの本もとても面白いです。
野球好き、特にプロ野球が好きな人ならば一度目を通したほうがいいと思いますね。
そして球界のご意見番とかいう「老害」に「喝」とか言わせている番組に「喝」と言いたいですね。
昨年、WBCで日本が勝ちました。
それはそれで喜ばしいことなのですが、「大谷翔平」という存在がとても大きいと思います。
彼のスキルはもちろんのこと、ダルビッシュと並んでチーム内に行き来革命を起こしたことが大きいと思っています。
若い選手が多く、メジャーへの意識ばかりが先行して肝心のシーズンがグダグダになってしまった感じは確かにありますが。
世界一になった結果、日本の野球は間違っていないと指導者たちが思っていたら、あっという間に世界の潮流から取り残されると思います。
たしかに日本の野球の素晴らしさはたくさんあります。
ただ、データを軽視してはいけないでしょう。
そして昔ながらの数値だけで評価を決めてしまうのも怖いところです。
強打者ばかり集めたら、ぶっちぎりで優勝できるというようなものではないです。
以前のジャイアンツを見ていればそれがよくわかりますよね。
野球は個人競技ではなく、チーム競技です。
チーム同士の闘いで勝ち負けを競うわけで、打率や打点、防御率や勝率というものがタイトルとして勝ちはあるものの絶対ではないということがよくわかります。
子供の頃から思っていたのが、投手の成績で勝利数というのがあります。
強いチームなら10勝以上上げるのはローテーション投手なら可能ですが、弱小チームで10勝するのは至難の業です。
また防御率に関しても、守備の良いチームだとヒットにならない場合もあり、そういった者は従来の成績では見えない部分です。
エラーは少ないけれど守備範囲の狭いショートやセカンドと、エラーはするものの極めて広い守備範囲でチームの危機を救う内野手とでは、ずいぶんと投手の防御率も変わってくるでしょう。
外野手にしてもそうです。
晩年の阪神金本さんのような状態で試合に出ていると、レフト前ヒットなら自動的にセカンドからホームインです。
あまり打てないけれどノイジーだとセカンドランナーも自重しますので、それらは目に見えない貢献度ですね。
そして守備シフト。
データに基づいた守備シフトとゴロを打たせる投球を組み合わせると強力です。
強打者のゴロは打球が速く、野手の間を抜ける確率が高いです。
ただ、打球の飛ぶ方向にはある程度法則性があり、その方向に守備陣形を敷くということです。
例えば右打者で引張専門の強打者の場合、一塁手を除いた内野手は二塁ベースと三塁ベースの間に布陣するとかですね。
そもそも投手の後ろ、つまり二遊間を抜けるヒットというのが案外多く、二塁ベース上に野手が入るとセンター前に抜けるヒットはほぼありません。
一塁と二塁の間ががら空きだから、そちらに流し打ちをすればええやん、と誰もが思うのですが、強打者はだいたい強振しますので、軽く合わせていないところに打つ、なんてことはなかなかできません。
しかも投手もプロです。
一瞬の判断でバットに速い球を合わせるわけですから、狙いすましたようにいないところに打つなんてことが簡単にできるわけでもないでしょう。
そもそもそういうことをして自身のバッティングフォームやタイミングを狂わせてしまっては元も子もありませんし。

 さて、この本で描かれているのは割と最近のピッツバーグ・パイレーツの戦いです。
2013年のシーズンでの戦いです。
先程述べたように20年連続で負け越すという不名誉な記録を持つパイレーツ。
私の若い頃の記憶では、デーブ・パーカーという強打者が強烈に残っています。
何と言っても江口寿史さんの漫画「すすめパイレーツ」にも登場したスタープレイヤーです。
2メートル近い長身と100キロを超える巨漢でしたが、シュアなバッティングとともにバズーカ砲と言われた強肩外野手でした。
その頃のパイレーツはまずまず強く、バリー・ボンズという大物新人が登場してからも強かったのですが、ボンズが抜けてから20年間負け越しが続いたんですね。
俗に言う「ボンズの呪い」と言われるものですね。

保守的な野球しかしてこなかった監督のハードル。
このままだとクビが確定的な監督で、彼もまた「マネーボール」の主人公ビリー・ビーンと同じく新人時代に大きく期待されながら、選手としては全くパッとしなかった人です。
ハードルと同じくクビのかかったGMが連れてきたのは元野球選手ではなく、野球オタクとも言えるデータマニアです。
分析官としてダン・フォックスとマイク・フィッツジェラルドの二人です。
当然現場を知らない二人の意見が簡単に通るはずもなく大変だったとは思います。
そして補強のキーマンとなったのが、キャッチャーのラッセル・マーティンです。
すでにある程度の名声をドジャースヤンキースという超有名な球団で得ていましたが、それに見合う活躍ができず、すでに終わった選手と見られてもいました。
彼をトレードで獲得したときにファンは落胆したといいますが、データ分析官が彼を強く推したのはピッチフレーミングの技術でした。
捕球の際にミットがブレず、主審はつい「ストライク」と言いたくなるようなキャッチングをするタイプの捕手です。
ギリギリのところでストライクになるのかボールになるのかで野球というのはものすごく差が出ますが、そういった点の評価はこれまでされてきませんでした。
またリードを含めた小さな心配りができる選手で、彼を獲得したことが大きなプラスでした。
彼とともに大きく成長したのが未完のエースであったフランシスコ・リリアーノ投手。
球威は申し分ないがコントロールに難があり、伸び悩んでいたところをピッチフレーミング技術があり、投手の良さを引き出すことができるラッセル・マーティンとの組み合わせによって、大活躍します。

本当に読み物としても面白いです。
ただし野球が好きなら、という条件がつきます。
野球にそれほど興味がなく、ホームランや勝ち星はわかりやすいけれど、打率や防御率なんて数字にはあんまり興味がない人にはつまらないでしょう。
野球は確率のスポーツです。
数試合で決着がつくのではなく、長いシーズンを戦うのがプロ野球です。
データは無視できません。
そしてこれまで行われてきた経験則、これが全てでしたが、それを覆すだけのデータがあれば、そちらに従うというのが現代のデータを駆使した野球、ビッグデータベースボールです。
野球の経験者にしかわからないこともあるでしょう。
しかし野球の選手は自らの成功体験からしか得られないデータで戦っているわけで、データそのものは専門の分析官に委ね、それを活かしていくという手法が必要だとも感じます。
日本はそういった点ではまだ遅れているでしょう。
WBCで勝った日本の野球が正解なんだという人もいますが、野球を科学し、データから分析するということが加わればより進化した野球となっていくと思いますね。

 

追記

今年からMLBではルール改正があり、その中でよく取り沙汰されるのがピッチクロックです。
しかしそれ以外にもシフト守備の禁止というものがあります。
昨年までのように塁間に野手を3人配置することはできなくなりました。
この本の内容が一部否定されることになりますよね。
また牽制球の制限もあります。
シフト守備により塁間を鋭いゴロで抜けるヒットは圧倒的に減ってしまい、それに伴い”フライボール革命”なるものが登場しました。
これによってホームランが増えましたが、同時に三振も増え、野球が大味になってしまいました。
変革を恐れないメジャーリーグは、ベースボールとはもっとスピーディでスリリングなものだと考えているのでしょう。
シフト守備に制限を加えて、ホームランか三振か?みたいな大味な野球を改めさせようとしています。
ピッチクロックを導入して野球時間の短縮に努め、客を飽きさせない工夫を。
さらには牽制球の制限によりスリリングな盗塁を増やそうと企んでいると想像できます。
実際に牽制球を2回投げてしまった後は、ランナーはリードを取りやすくなり、投手はよほどのことがない限り牽制球が投げられなくなります。
これらのルール改正に選手たちは猛反対しているようです。
やはり人間はこれまでやってきたやり方を変えられるというのはたまらないのでしょう。

 

 

 

今年初の野球観戦

金曜日の午後、友人と一緒に野球観戦に行ってきました。
オリックスvs日本ハムでした。
京セラドームです。

リーグ3連覇中のオリックス・バファローズですが、エース山本由伸投手が抜け、ローテーション投手の山崎福也投手も抜けてしまいました。
昨年は打線の中心であった吉田正尚選手が抜けるなど、リーグ連覇を話して言いますが、主力の相次ぐ離脱で戦力ダウン。
それでも次から次へと新しい選手が台頭してくる、というのが強いチームの特徴です。
この日も東晃平投手が好投。
昨年も活躍した好投手ですね。
神戸弘陵高校出身の6年目。
球もそこそこ速く、ツーシームカットボール、スライダーと多彩です。
3回をパーフェクトに抑えるピッチングでした。

一方の日本ハムは若きエースの伊藤大海投手。
WBCでも活躍したピッチャーで、今年は開幕投手です。
新庄監督からも信頼が厚いのでしょう。
この日も立ち上がりから素晴らしいピッチングでした。
度胸満点で粘り強いピッチングが持ち味ですね。
この日も4回に満塁のピンチがありましたが、無失点で切り抜け6回を零封し、勝利投手に。

野球自体は地味な試合でしたね。
投手戦なのですが、どちらかというと貧打戦と言ってもいいくらいのさみしい試合でした。
手も足も出ないというほどのピッチングではなかったのですが、両軍合わせてわずか6安打。
勝った日ハムはわずかに2安打でした。
唯一の得点シーンは初安打の五十幡選手の盗塁でタッチしようとした紅林選手のグラブが弾かれてボールが転々とする間に3塁へ。
続く打者のボテボテの3塁ゴロをさばいてバックホームするが間に合わずにフィルダースチョイスでの得点。
両チームともとにかく打たないというか打てる気配がなく淡々と試合が進みました。

これもまた野球なんですね。
毎回華やかな打撃戦でもないし、バッタバッタと快刀乱麻のごとく打者を翻弄するような投球でもなかった地味な試合でした。

いつも通り、友人とお酒を飲みながら野球談義半分、世間話やら半分といった具合。
野球談義のお供に、今回は選手名鑑を持っていきました。

一番データが多そうなので、購入したのはいいのですが、とにかくこの本はサイズが大きいです。
そのため、カバンに入りづらいというか、結構邪魔ですね。
そして大きな本だから見やすいのか?というと、データが多いのでかなり文字が小さくてわたしたち老眼世代には辛いですね。

友人も私も野球の試合を見るのは好きなのですが、その選手のデータやこれまでの成績などを見たりするのも好きなんですね。
昨年の成績、これまでの実績なども面白いですし、年俸や出身高校、大学などを見るのも面白いですね。

打者なら三冠である打率、打点、ホームランがやはり目立ちますが、それ以外にも評価軸があって良いと思うようになりました。
もちろん打撃3部門の成績がいい人ほど高い年俸をもらっていますが、守備やフォア・ザ・チームのバッティング、走塁などなかなか数字に現れにくい部分もあります。
いくら打撃の成績が良くてもワンサイドゲームで数字を上げる(これも大事な能力だとは思いますが)のと、接戦で大事な場面でいい仕事をする選手なら、当然後者が評価されるべきでしょうね。
投手も同じで評価されやすい勝ち星や防御率ですが、先発ならクオリティスタートという試合を作る能力も大事です。
いいときは凄いピッチングをするけれど、悪いときは初回に試合をぶっ潰してしまう、なんて投手は監督としては使いづらいですよね。

野球は確率のスポーツで、数字と言うもがはっきりと現れますが、最終的な目的はチームの勝利なんです。
チームで戦うスポーツであり、チームの勝利こそが大切で個人成績はチームの勝利の結果ついてくるものなんです。

 

 

ミステリと言う勿れ 菅田将暉主演のミステリ映画

画像は公式サイトより

後で知ったことですが、漫画が原作だそうです。
CMでよくやっていたので、なんとなく面白そうだし、見てみようと思いました。
妻も見たいと言っていましたし、評価も良いので、U-NEXTで視聴しました。

後で知りましたが、すでにドラマで放送していたらしいですね。
TVではこの映画のCMをいやというほど見たので、印象に残っていますが、ドラマも人気があったんですね。
登場人物の名前を見て、こりゃ漫画だな~と思っていました。

まずは主人公、探偵役となるのが天然パーマの大学生、久能整(くのうととのい)。
久能という名前も珍しいけれど、その名字に整(ととのい)という名前を持っているなんて漫画やラノベにしかないだろうと思います。

そして今回は広島県の旧家の遺産相続事件に巻き込まれてしまいます。
その旧家が狩集(かりあつまり)家。
この名字も相当に珍しいし、知り合いに一人もいません。
この狩集家の遺産相続人が4人おり、そのうちの一人である汐路(しおじ)という女子高生が、強引にこの久能整を相続の立会に連れてくるのです。
狩集の4人は莫大な遺産の相続はしたいのですが、そのために相続人同士が血みどろの闘いをする!というのは横溝正史犬神家の一族です。
この映画にも「まるで犬神家の一族だ」というセリフがあったように、ネタであり、血なまぐさい事件は起こりません。
ただ、狩集家の相続は分割するのではなく、たった一人の相続人が全部を相続するというしきたりがあり、相続人は死亡したりとミステリな要素満載。
こんな理由のわからない事件を解きほぐすのが探偵役の久能整で、なんとも微妙な人物です。
金田一耕助もさえない探偵でしたが、現代版金田一耕助なんでしょう。
どこかコミカルですが、鋭い観察眼で状況をしっかりと把握、判断していきます。

さて問題の狩集家の4人です。
狩集理紀之助(かりあつまり りきのすけ)を演じているのは二枚目俳優の町田啓太さん。
波々壁新音(ははかべ ねお)役には、萩原利久さん。
赤嶺ゆら役には柴咲コウさんが演じています。
この映画のヒロインとも言える女子高生狩集汐路役には原菜乃華さんです。
残念ながら原菜乃華さんって誰か知らなかったですし、萩原利久さんも知らない俳優さんですね。
脇を固める俳優陣も実力派俳優を揃えていて、漫画原作ですが、見苦しい出来栄えではなくしっかりとした映画でしたね。
松下洸平さん、滝藤賢一さん、段田安則さん、松坂慶子さんなど豪華ですね。

犬神家の一族のパロディといえばそうかも知れませんが、全然違いますし、面白かったですね。

 


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