悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

すばらしき世界

Amazonより

Amazonプライムビデオで視聴しました。
実は旅行に行く前にスマートフォンにダウンロードしておいて、飛行機での移動中に視聴したものです。

映画の概要

監督:西川美和

脚本:西川美和

原作:佐木隆三「身分帳」

上映時間:126分

キャスト

三上正夫:役所広司

津乃田龍太郎:仲野太賀

吉澤遥:長澤まさみ

庄司勉:橋爪功

庄司敦子:梶芽衣子

松本良介:六角精児

西尾久美子:安田成美

 

あらすじ

三上正夫は、殺人の罪で服役していました。
彼は刑期を終えて出所します。
身元引受人になった庄司夫妻に暖かく迎え入れもらい、感極まって涙を流します。
そして出所と同時に彼は母親探しのためにテレビ番組に身分帳を送ります。
テレビでは人生の大半を刑務所で過ごした殺人犯の出所後のドキュメンタリーを企画しています。
小説家を目指している津乃田はテレビディレクターの吉澤にそそのかされて三上の取材を引き受けることに。

三上はかつて車の運転もしていましたが、すでに失効。
長い刑務所生活で体調も悪く、高血圧のために仕事もまともにできない状態。
そこで生活保護を受けるのですが、本人はそういうものの世話にならずに自ら稼いで生きていきたいと思っています。
そんな中でスーパーで万引きを疑われます。
スーパーの店長の松本は町内会の会長でもあり、三上のことも知っているようでした。
三上の疑いは晴れ、松本は精一杯詫びることに。
そして彼らは九州の同郷人であることがわかり、以降は懇意になります。

一本気で自分が正しいと思ったことは突っ走る三上。
悪い人間ではないと彼を知る人間はわかっているのですが、この世の中にうまくとけこむことができません。

三上は運転をしない介護の仕事に就くことになりました。
晴れて就職が決まり、みんなでお祝いをすることに。
そして自転車もプレゼントされます。


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感想

引き込まれる映画でしたね。
飛行機に乗っている間は寝ようと思っていたのですが、ついに寝ることはできずに見てしまいました。
映像はゆったりと流れて、邦画ならではなのですが、眠気は来なかったですね。
やはり主役。
主役を務める役所広司さんの演技が全てだと思います。
ケンカ早い人物、曲がったことが嫌いな人物という微妙に難しい役どころを見事に演じきっていました。
現在の日本映画界においては最高の俳優でしょう。
そんな一流の主役を固める脇役も素晴らしかったです。
身元引受人夫婦の橋爪功さんや梶芽衣子さんはやはり雰囲気が素晴らしいです。
そしてキーマンの一人である小説家になりたい津乃田を演じる仲野太賀さんも良かったです。
テレビとして面白い映像が撮れればいいと企むディレクター役を演じているのがやりての美人長澤まさみさん。
スーパーの店長役の六角精児さんもいい感じでした。
それにしても、こんなに真っ直ぐで、真っ直ぐだからこそ、うまくいい人を演じて裁判を乗り切ることもできなかった三上正夫。
殺人は許されることではないけれど、決して性根が卑しい人間ではない。
ただ、今の時代にうまくいきていくことが難しい、そんな人物を本当に見事に演じきっていました。

「すばらしき世界」というこの映画のタイトル。
不思議な感じがします。
刑務所と比べて、シャバは決して素晴らしい世界ではないです。
前科者の烙印を押され、仕事はなく、生活保護もなかなかすぐには受けられない、長い間社会との隔絶のために今の世の中に馴染めないなどつらいことだらけです。
でも素晴らしい人達との出会いで、彼はもうヤクザには戻らない、まっとうに生きるんだと奮闘します。
途中で挫折したシーンもありますが、彼をやくざ者に戻さない運命の力が働いたのでしょうか。
彼は人生の大半を刑務所で過ごし、出所後、ようやく日の当たるところに出てきて、ようやく人として生きていける道ができつつあったのに、あっけなくなくなってしまいました。
なんとも言えない終わりでしたが、彼はまっすぐに生きるということをみんなに示してくれたのだと思います。

様々なメッセージが詰まったこの映画。
見る人によって感じ方は様々だと思いますが、いい映画でした。

 

 

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