悪魔の尻尾

50代から60代へ~まだあきらめない

強運の持ち主 瀬尾まいこ

こちらは妻が買ってきた文庫本です。
どうせ読み終えたらまたブックオフで売り払ってしまうでしょう。
妻はしっかりしていると言うか、ものに固執がないというか、本などでもあまり溜め込まないですね。
読んだら売るなり上げるなりしています。
なので、読み終えてからすぐに私が借りて読みました。

この本の目次

ニベア

ファミリーセンター

おしまい予言

強運の持ち主

登場人物

ルイーズ吉田
吉田幸子というのが本名。
もと営業のOLから仕事を変えて、現在は占い師として活躍。

 

通彦
ルイーズ吉田と一緒に暮らす彼氏。
公務員で帰宅がいつもルイーズよりも先なので、夕飯は彼の仕事。
微妙な料理が多いが、美味しそうに食べるのです。

 

ジュリエ青柳
ルイーズの占いの師匠に当たる人物ですが、ルイーズ以上にいい加減な占い師なような気がします。
ルイーズの彼氏である通彦を「ぼーっとした男」と呼んでいます。

 

一ノ瀬堅二
小学生ながら、祖父母からお金をもらい、惜しげもなくくだらないことで占いを依頼してきます。

墨田まゆみ
今風のどこにでもいる女子高生。
ある男性の興味を引くためにどうすればよいかという「ありがちな女性更生の悩み相談」とたかをくくっていたルーズですが。

 

武田くん
アルバイト(無給)で強引にルイーズのもとにやってきた大学生。
関西弁を操るかるそうな男ですが、終わりが見える特殊能力を持っています。

 

竹子さん
一人が好きなルイーズでしたが、アシスタントを雇い入れることになりました。
師匠に相談して採用したのが自分とは正反対のシングルマザーの竹子さんです。
真面目で努力家なのですが、占いというビジネスでうまく立ち回ることができません。

 

あらすじ

ニベア
一ノ瀬堅二という小学3年の男の子が占いにやってきます。
1回の相談で3000円ですから、小学生のお小遣いでは厳しいはず。
しかしこの子供はちょっと変わっていました。
ルイーズに「お父さんか、お母さんのどちらかを選ばなければならない」という子供にとっては究極の相談を持ちかけてきたのです。
子供相手に適当な占いでお金をもらっていたルイーズは、これは大変なことだと腹をくくります。

 

ファミリーセンター
恋多き女子高生は占いが大好きです。
墨田まゆみも今風の女子高生で、ある男性を自分に振り向かせるにはどうすれば良いか?という相談をルイーズに持ちかけます。
ルイーズはいつものように占うのですが、ことごとく失敗します。
いつもは適当なトークで適当な占いをするルイーズでしたが、何度もお金を払う彼女に同情したのか、色々と深いところを聞き出してみると~。


おしまい予言
関西弁を操る馴れ馴れしい大学生の武田平助がやってきます。
そしてルイーズのアシスタントとして強引にその日から占いのブースで居座るのでした。
アシスタントとはいえ、無給で掃除もしてくれる武田君は、終わりが見えるという特殊能力を持っているのでした。
彼の能力は確かでした。
普通は、「終わり」を宣言されることを嫌いますが、時にはとても役立つこともあるようです。



強運の持ち主
アシスタントを募集することになったルイーズ。
そして入ってきたのは、竹子さんという真面目なシングルマザー。
師匠のジュリエ青柳の「アシスタントは自分と違うタイプを選ぶこと」という言葉を真面目に受けて、正反対の竹子さんを採用しました。
ところが彼女の仕事のやり方がルイーズには合いません。
真面目で人間も悪くないのはわかっているのですが、何から何まで自分と違って合わないんですね。
占い師を業務としてやっていくにはあまりに正直すぎるんです。
向いていないと思ったルイーズは、「終わりの見える力」を持つ武田君に竹子さんを見てもらいます。
しかし竹子さんには終わりは全く見えないというのです。

 

 

感想

通彦の変わった創作料理。
はんぺんなど練り物がたくさん入ったシチュー。
納豆入りサラダ。
お鍋の締めにマカロニ。
カレーに葛きり。
お鍋の中に泳がせるそうめん。
うーん、瀬尾まいこさんのこのセンスが素敵です。
料理、味付け次第で、美味しく作れるのかもしれませんが、文字、文章だけで見ると美味しそうには全く見えません。

武田君の甘くて美味しい「あげさん」もなかなか捨てがたい魅力があります。

はい、食べ物の話題は、この物語の中心にはありません。
そしてこの物語の中心にはいないはずの彼氏である通彦は、これらの創作料理をうみだした犯人です。
この通彦というキャラクターも不思議な魅力なのですが、このぼ~っとした彼氏をゲットしたルイーズ吉田もなんだか恐ろしい女性なんですね。
瀬尾まいこさんは、ルイーズ吉田が彼氏を「強奪」したこの経緯をさり気なくサラリと書いていますが、なかなかしたたかで、怖い女性なんですね。
いや、面白かったです。
どこにでもあるショッピングセンターの一角。
そして特にすごくもない占いコーナーで、占いをビジネスにしている女性「吉田幸子」が主人公の物語なんです。
どこにでもありそうですが、占い師というビジネスを面白おかしく描きながらもほっこりするようなそんなお話です。
1話はちょうどよい長さで読みやすく、そしてそれぞれの話は独立しながらも、続いているんですね。
妻はこの本を偉く気に入ったのか、続編が読みたいとか。
瀬尾まいこさんが書いてくれるまで待つしかないですよね。


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