悪魔の尻尾

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ワルキューレ

ナチス・ドイツヒトラー暗殺計画を描いた映画。第2次世界大戦も末期になり、ドイツは次第に苦しい立場に追い込まれていた。連合国に完全に叩き潰される前に現政権を打倒する必要があるといことを多くの人が考えていた時代。史実に忠実に作られているという。なかなか見応えのある作品だった。
いきなり主演のトム・クルーズが演じるシュタウフェンベルク大佐が戦地で負傷。左目、右手、左手の指2本を失うというところからスタートする。前線を指揮する勇敢な軍人だが、現在のドイツナチスの体制を憂慮していた。本国へ帰国し、反体制派のオルブリヒト将軍の紹介によりグループに加わる。そして反ナチスの実行部隊の作戦を練り、「ワルキューレ」は実行されることになった。

歴史の通り、この計画は失敗に終わるが、初動時に時間を無駄にしたことが悔やまれる。軍事行動に政治家を加えてしまうと判断が鈍るというようなシーンがあったが、まさにそのとおり。最初のチャンスは実行せず、2度目も決断が遅れ、初動が遅れる。その原因が反政府グループの軍部の重鎮オルブリヒト将軍の腰抜けぶりである。こういう計画は実行する側にとってはまさに「伸るか反るか」である。「リスクがありすぎる」という発言をあの時点で行なっている時点で適任ではない。結果遅れながらも実行され、人間としては悪人ではないが、上に立つものとしての度胸が足りなさすぎる。見ていてもどちらが上司かわからない状態。
通信を担っている部署も事のあまりの大きさに態度を決めかねる。反政府側の命令と政府側の命令が同時に来た時である。
「どちらも流せ。我々の任務は伝えることだ。判断するのは上だ。」
お役所仕事である。まあ、お役所だけど。

信念に従い、実行部隊を最後まで指揮したシュタウフェンベルク大佐は「ワルキューレ作戦」は失敗したものの、ドイツの英雄だそうである。クーデターという方法を取るしかなかった時代だが、これだけのことを立案実行できたのだから優れた人だったのだろう。ヒトラーを殺すということだけでなく、その後どうするかも綿密に計画していたようである。

単純に楽しむという映画ではないが、なかなかよくできた映画だった。見て損はない。

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