館シリーズを離れて、綾辻作品を読んだ。
眼球綺譚。なんとも変なタイトル。
はじめからなんだか恐ろしげな話が続く。
これはミステリーではなく、完全なホラー。表現もグロいものがあり、読み手を選ぶ。
咲谷由伊という女性が登場するので、つながりが何処かにある。きっと最後にどんでん返しが…。
と思いながら気持ち悪さを辛抱して呼んでいたが、3編を読み終えて、完全につながりがないことを確信。
同じ名前を使って読者を混乱させるとは・・・・。
まずは「再生」。生えてくるという表現がなんとも。ヒロイン咲谷由伊は結婚するが、彼女には秘密があった。それは再生能力。
そしてそのせいで彼女はかなり不幸な人生を送ってきた。作中の表現もかなりグロい部分がある。
衝撃のエンディングだが、きちんとオチが付いている。傑作。
2編目は「呼子池の怪魚」。この作品もなんだか奇妙でゾクリとする。エンディングがまたなんとも嫌な感じ。
気持ち悪い作品。
そしてこの本最大の傑作?3編目は「特別料理」。これは食いしん坊の私でも食欲を無くしてしまうほど、エグい、グロい表現が多数ある。
当然読み手を選ぶ作品。主人公は若くてお金も稼ぐ美しい奥さんと結婚し、そこそこ裕福な暮らしをしているが、誰にも言えない変わった性癖があった。ゲテモノ食い、イカモノ食いといわれる類である。珍味というレベルははるかに超えており、書くのもためらうほどである。その主人公が奥さん(ちょっと頭が弱い)と食べに行く料理店がいわゆるそういう人達に愛されているレストランである。その究極の料理とは…。
そしてこのブラックユーモア?といってもとても笑えないエンディングが不気味すぎる。
「バースデー・プレゼント」グロさはすごいけど、良くわからないストーリー。
「鉄橋」一番普通っぽい作品。ゾクリとした怖さはあるものの。この本を手にとった人からすると物足りないかも。
「人形」これもよくわからない作品だった。例にもれず、終盤になって怖さを増す。
「眼球綺譚」もうなんだかよくわからないまま終わってしまった。これが一番面白いという人もいるけど、私はなんだか消化しきれず。
前半3作がよかった。もっとも不快感の強い「特別料理」が一番印象に残っているというのが、なんとも言えない。
ホラー好きな方にはいいが、一般の人にはおすすめできないな。グロい。
- 作者: 綾辻行人
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1999/09/17
- メディア: 文庫
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