悪魔の尻尾

みなさ~ん、元気にしておりますか?

チンギス紀 北方謙三 1~3巻

紙の本を読むのは久しぶりです。
しかも文庫本で文字が見づらいですね。
北方謙三さんの作品は、三国志や水滸伝、それに楊令伝というものを読んでいます。
どの作品も歴史小説と言うよりはその次代を描いたドラマと言う感じで、人物描写、心理状況などが熱く語られ、読んでいる方も熱くなるような作品です。
(内容はもう全然覚えていませんが)

tails-of-devil.hatenablog.com

 


まあ、今回の作品もボチボチと読んでいます。
最初は読みにくい名前とかが多くて、今ひとつペースが上がらなかったのですが、2巻から3巻ににかけては徐々に物語がヒートアップしてきて、とても興味深く読めました。
まだこのあたりなので、読破していませんが、ここまでをまとめておきたいと思います。

 

各巻のあらすじ

第1巻 火眼 
放浪の旅と、運命的な出会い
物語は、父・イェスゲイを殺害され、モンゴル族キヤト氏の幼き首長・テムジンの放浪の旅からです。
家族と共に追われる身となり、極限の飢えと孤独を味わう中、のちの右腕となるボオルチュと運命的な出会いを果たします。
さらに、旅の途中でたどり着いた金朝の都にある妓楼で、蕭源基(しょうげんき)と出会い、そこで「外の世界」の広さと知性を知る。
文字を覚え、ただの野生児だった少年が、世界の広さに触れ、視座を広げていく重要な転換点となります。

第2巻 鳴動
小さな軍の出発と、同い年の盟友ジャムカ
自らの足で立ち上がり始めたテムジンは、小さな規模ながらも「自分の軍」を組織して進み出します。
そして、同世代にして同じように荒野に生きるジャンダランのジャムカとの出会い。お互いの力量を認め合い、深い友情で結ばれていきます。
ともに若く、似たような境遇と圧倒的なカリスマ性を持っており、何かをやってくれそうな気配を持つ二人です。
その絆がのちにどのような運命をたどるのか……どちらも小さいながらも独立した勢力であり、不穏な予感も漂います。

第3巻 虹暈
理不尽な強さ・玄翁の登場と、タイチウト氏との因縁
3巻で大きな存在感を放つのが、理不尽なまでの強さを誇る謎の傭兵・玄翁(げんおう)です。
その圧倒的な戦闘力と凄みで物語に強い刺激となっています。
一方で、父の死後、キヤト氏を乗っ取ったタイチウト氏の二人、タルグダイとトドエン・ギルテとの長きにわたる争いが描かれていきます。
この二人はライバルながら、同盟のような関係でテムジンたちと闘うのです。
幾度も牙を剥いてきたトドエン・ギルテとの因縁がついに決着を迎え、トドエンが命を落とす展開は、胸がすくようなすっきり感と同時に、血を流し合う草原の残酷さが描かれます。

魅力的な登場人物たち

テムジン(のちのチンギス・ハン)
弱小部族の長として生まれながら、冷徹な現実を見据え、仲間との絆を武器に這い上がる。まだ「英雄」と呼ばれる前の一人の少年としての泥臭さと、底知れないカリスマ性が同居している。

ボオルチュ
テムジンの最初の忠実な仲間。彼のまっすぐな誠実さが、孤独なテムジンの心をどれほど救ったことかわかりません。

ジャムカ
テムジン同い年の友であり、後に最大のライバルとなります。
圧倒的な魅力と独自の死生観を持つ危険な男。
配下の武将も多彩でそれぞれとても魅力的です。

蕭源基
妓楼という異郷の地でテムジンに大きな影響を与えた知的な人物。
荒くれ者ばかりの物語に、深みと奥行きを与えています。
著者の創作人物で史実にはいません。

玄翁
圧倒的な武力を持つ傭兵。
その存在自体が、この時代の過酷さを象徴しているのかもしれません。
この人物も北方謙三さんらしい描き方で創られた人物です。

タルグダイ & トドエン・ギルテ
キヤト氏を裏切り、テムジンたちの前に立ち塞がり続けた宿敵。特にトドエンの最期は、一つの時代の節目を感じさせてくれます。


彼ら以外にもちゃんと味付けされたキャラクターが物語を盛り上げてくれます。

 感想

一言で言うと史実ではなく史実をベースにした歴史ドラマです。
北方謙三さんの作品の最大の魅力は、歴史の教科書に載っている「偉人」を、血の通った、泥臭い一人の人間として描いてくれるところですね。
いわゆる北方ワールドですね。

「チンギス紀」でも、それは健在です。
草原を生き抜くためには、時に非情にならなければなりません。
しかし、その冷酷さの裏には、家族を奪われた哀しみや、信頼する仲間への熱い想いがあるのです。
誰もが自分の正義と誇りをかけて、文字通り命を削りながら生きている姿が格好いいんですね。
妓楼での蕭源基との会話のような、静かな知的駆け引きのシーンがあるかと思えば、次の瞬間には玄翁のような圧倒的な暴力が支配する戦場に放り込まれる。
この緩急の激しさが、読者を全く飽きさせない感じですね。
まだ3巻が終わったばかりですが、ここからテムジンがどのようにしてあの巨大なモンゴル帝国を築き上げていくのか。
想像するだけでワクワクしますね。
綺麗事ではない、泥と血と熱気に満ちた歴史大河を体感できるような熱い作品ですね。

Copyright ©悪魔の尻尾 All rights reserved.